プーチン曰く、「(彼女は)ちょっと気が触れた女の子」。イギリス元首相リズ・トラスの外相時代の発言の後始末をしておく。

かたせ2号 投稿日:2022/10/30 09:21

かたせ2号です。

<最初に>
リズ・トラスは、イギリス首相としては短命で終わり何の業績も残さなかったが、首相になるまでの外相時代、2022年の数ヶ月間、「ロシアを滅ぼすべし」派の世界的なエースとして、重要な役割を果たした。

具体的には以下の通り。

・2022年4月3日のブチャのでっち上げ事件直後から、ウクライナのゼレンスキー大統領と連携、ドイツを筆頭とするEU諸国を、ロシアへの強硬な(=EU諸国の経済にとって過酷な)制裁へと追い込んでいった。
その際、2022年4月5日、当時のジョンソン首相をさしおいて、ロシアの資産凍結金額が約40兆円、約6割超であると、西側で最初に世界に公表する「栄誉」に与(あずか)っている。
(詳細は、ふじむら掲示板:[271]ブチャの事件の目的は、ドイツをロシア産天然ガスの年内輸入停止に追い込むことだった。)

・2022年4月27日には、マンションハウス(ロンドンの金融街シティーの行政長にあたるロード・メイヤーの公邸)で、「冷戦後の新たな地政学の追求の為に(台湾等と連携した)グローバルNATOが必要」と世界的規模の戦略を披露した。
これは、ユーラシア大陸の東西で戦火を起こし、最終的に中露を滅ぼすという、ジョージ・ソロスの構想と一致する。
(詳細は、ふじむら掲示板:[300]2022年4月27日英国外相トラス演説の重要性。「中国に日本をぶつけて中国を崩壊させる」計画の「キックオフミーティング」でもある。)

かたせ2号です。
これに付け加えるべき発言が残っていたの発見したので、以下に記録する。

<本投稿の本文>

ロイター記事。
記事名:世界は第二次世界大戦以来の最も危険な10年に直面=プーチン氏
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-putin-nuclear-idJPKBN2RM1QA
2022年10月28日配信
(引用開始)
ロシアのプーチン大統領は2022年10月27日、世界は第二次世界大戦以来、最も危険な10年に直面していると述べ、衰退している西側諸国がロシアに対して核による脅迫を行っていると非難した。
ロシア専門家との会合「バルダイ・ディスカッション・クラブ」で、ウクライナへの軍事侵攻に後悔はないとし、西側諸国が戦争をあおり、世界中に混乱をもたらす「危険で血に染まった汚い」地政学的ゲームを展開していると非難。「西側諸国が世界情勢を一手に支配してきた歴史的時代は終わりを告げようとしている。われわれは今、歴史的な境目に立っている。この先はおそらく、第二次世界大戦以降、最も危険で予測不可能かつ重要な10年になるだろう」とした。
また、トラス前英首相が状況次第では英国の核抑止力を行使する用意があると発言したことを引き合いに出し、核の緊張をあおったのは西側諸国だと主張。さらに、放射性物質をまき散らすことを目的とした「汚い爆弾」をウクライナが使用する可能性があるとの見解を改めて示した上で、ウクライナ側はこのようなロシアの見解はロシア自身が「汚い爆弾」を使用する計画があることを意味すると主張しているが、それは誤りだと強調した。
核兵器の使用についてロシアが言及したことはないとした一方、核を巡り激化する可能性については、核兵器が存在する限り、その危険性は存在するとした。
また、ロシアの軍事ドクトリンは防衛のためにのみ核兵器を使用することを認めているとし、ロシアがウクライナで核兵器の使用を検討しているとの主張を否定。核戦争寸前まで達したキューバ危機を巡り当時のジョン・F・ケネディ米大統領とともに状況を打開した旧ソ連最高指導者ニキータ・フルシチョフ氏のような立場になることは望まないとした。
さらに、ロシアは米国と核軍縮を巡る協議を再開する用意があると指摘。ただ、ロシア側が提案した「戦略的安定」に関する協議について、米国から何の反応もなかったとした。
(引用終わり)

かたせ2号です。
リズ・トラスの発言を調べ直した。
「トラス前英首相が状況次第では英国の核抑止力を行使する用意があると発言した」のは、おそらく、以下の発言のことだろう。

航空万能論サイトから。
記事名:英首相候補のトラス氏、地球滅亡の危険があっても核兵器による報復を命じる
2022年8月25日
https://grandfleet.info/european-region/uk-prime-minister-candidate-truss-orders-nuclear-retaliation-even-if-the-planet-is-in-danger-of-annihilation/
(抜粋開始)
英新首相の座をスナック財務相と争っているトラス外相は2022年8月24日、Times Radioのイベントで「地球滅亡を引き起こす可能性があっても核兵器による報復を命じる覚悟がある」と示唆、会場の民衆は大きな拍手でこれを支持した。
イベントの司会者は「あなたが首相になればNumber10(ダウニング街10番地)のプライベートな部屋に通され、目の前に最終手段の手紙=トライデントを搭載する艦長への命令書と呼ばれるものが並べられるだろう。核兵器による報復を命令すれば地球規模の滅亡を意味する。私は核兵器のボタンを押すかどうかは尋ねないが、あなたはイエスと答えるだろう。この仕事に直面した場合きっと自分なら気分が悪くなるだろう」と述べて「あなたならどう感じるか?」と質問。
これにトラス外相は「首相としての重要な義務であり、私はそれを行う準備が出来ている」と答えたため、会場の民衆は大きな拍手でこれを支持した。
(抜粋終わり)

かたせ2号です。

以下は、私のコメント。

(1)「地球滅亡の危険があっても核兵器による報復を命じる」と、首相の座が決まる直前にもかかわらず言い切ったのは、さすが「ロシアを滅ぼすべし」派の世界的なエースだ。普通はもっと穏当な発言をするでしょう。
(2)イギリスの経済的苦境によって、リズ・トラスが早々に政治的影響力を失って、第三次世界大戦の可能性が少しでも減ったのは、大変喜ばしいことだ。2022年8月24日のリズ・トラス発言を知ってしまうと、そう判断せざるを得ない。
(3)ロシアのメドベージェフが、リズ・トラスの辞任直後に祝電ツイートを送った。このような背景がわかれば、その深い意味がよくわかる。

さて、プーチンは、このトラス発言をつかまえて、彼女を「ちょっと気が触れた女の子」と名付けた。ロシアのタス通信報道に、この発言が明記されている。(記事内容は上記ロイターの報道と同じだが、こちらの方がより詳しい。)

藤原直哉さんのツイッタースレッドに、タス通信報道の日本語訳が掲載されている。そこから、プーチンの発言の一部を抜粋する。
https://twitter.com/naoyafujiwara/status/1585742631078096896
【核の脅威について
核兵器が存在する限り、核兵器が使われる危険は常にある。ロシアが使用可能と考える状況は、ドクトリンに明記されている。
モスクワは核兵器使用の可能性を最初に言ったことはなく、西側指導者の発言に対して「ほのめかした」だけである。ロシアは、西側諸国が意図的に脅迫していると考えている。
例えば、「ちょっと気が触れた女の子」リズ・トラス(すでに元英国首相)の発言に、当時は誰も反応しなかったのである。
ロシアがウクライナに核攻撃を行うことは軍事的にも政治的にも意味がなく、「今、核の脅威で騒いでいる」のは、モスクワの同盟国、友好国、中立国に圧力をかけるためである。】

かたせ2号です。

以下は、私のコメント(続き)。

(4)プーチンの「(リズ・トラスは)ちょっと気が触れた女の子」発言について、以下の通り解釈する。
・「女の子」とは、自分で考えて出した結論を「大人」として発言していない、という意味だ。要は、誰かの発言をそのまま「スピーカー」として述べているに過ぎないという指摘(皮肉)。
・誰の「スピーカー」か? ジョージ・ソロスだ。だから、この発言は「ジョージ・ソロスよ、おまえはもう『ちょっと気が触れ』ているぞ、大丈夫か?」というメッセージでもある。
(5)何にしても、(3)の、ロシアのメドベージェフが2022年10月20日に発信し、イーロン・マスクが2022年10月22日に同意したツイート、これに私も同意する。
https://twitter.com/MedvedevRussiaE/status/1583100500030808064
【Bye, bye @trussliz, congrats to lettuce
(日本語訳)バイバイ、リズ・トラス。レタスよ、おめでとう】

以上で、イギリス元首相リズ・トラスの外相時代の発言の後始末を終わる。

終わり