プーチンが「哲人王」であることがよくわかる本を紹介する⇒「コールダー・ウォー」

かたせ2号 投稿日:2022/06/05 14:40

1.最初に

かたせ2号です。
副島隆彦先生の重たい掲示板への投稿の一部を引用します。

記事名:[3391]ウクライナ戦争。13本目。なぜ核戦争、そして世界大戦になるのか。
投稿日:2022年4月30日

(一部引用開始)
プーチンは政治の天才である。いや、それを通り越して、philosopher king 「フィロソファー・キング」、哲人王(てつじんおう)である。哲学者(深い知恵の人)でありながらそのまま指導者、支配者だ。人類史に滅多に出現しない。
 この哲人王は、紀元前451年に、古代のアテネに、”賢帝(けんてい)” ペリクレス(BC495ーBC429)が出現して、人類史上初めての、デモクラシー(民主政体)を実現させた。ペリクレスよりも26歳年下の、ソクラテスが、これを支えた。
(一部引用終わり)

かたせ2号です。
これから、プーチンが「哲人王」であることがよくわかる本を紹介します。
そしてこの本は2015年の発刊ですが、2022年の現在、その予測がズバズバ当たり始め(実現し始め)ている本でもあります。

(アマゾンでの情報引用開始)
書籍名:コールダー・ウォー:ドル覇権を崩壊させるプーチンの資源戦争 (2015/5/14)
副題:プーチンが仕掛ける新冷戦(コールダー・ウォー)がアメリカの覇権を終焉させる!?

http://www.amazon.co.jp/dp/4794221312
草思社刊,マリン・カツサ(著), 渡辺惣樹(翻訳)
本の内容説明:東西冷戦をはるかに超えた熾烈な戦いが始まった。
ロシア・プーチンは膨大なエネルギー資源を武器に、アメリカ覇権の核心たるペトロダラーシステム(ドルベースの資源取引)を打ち砕き、大ロシア帝国を再興するべく世界各地で着々と歩を進めている。
ヨーロッパ各国は半ばプーチンの軍門に下り、オバマのアメリカの敗色は濃厚だ。
この劣勢は挽回できるのか。日本は一蓮托生、アメリカと共に沈むのか。
資源開発現場で得た最新情報をもとに、世界激震の背後にあるプーチンのしたたかな資源戦略を洞察。現在の米露関係とロシアによる覇権争いを予見した全米ベストセラー。

<目次開始>
第1章 失われた十年の終わり
失われた十年/モスクワデビュー/アパート爆破事件/第二次チェチェン戦争/プーチンの実権掌握

第2章 新興財閥(オリガリヒ)との戦い
共産主義体制崩壊で生まれたビジネスチャンス/ミハイル・ホドルコフキー追い落とし/株式引換券(バウチャー)の買い占め/ユコスの手法/プーチンからの提案/鉄槌/死屍累々/誰もが気づいたプーチンの思惑/生き残った男たちの栄華/プーチンのグランドデザイン

第3章 グレートゲームと新冷戦
最初の一滴/パイオニア/巨大化/石油、戦争そして平和/貨幣の歴史とドル支配工作/誰にも必要とされるドル/トリック

第4章 スラブ戦士プーチンの登場
幼少期/青年期/スパイ時代/グルジア問題 その一/グルジア問題 その二

第5章 ウクライナ問題
プーチンのウクライナ観/天然ガスパイプライン問題/セヴァストポルおよびクリミア半島/ロシアの安全保障/緩衝国/ソビエト崩壊後の対ウクライナ外交/選挙/マイダン改革分析/クリミアはロシアに還る/【ウクライナのエネルギー資源事情/炭層メタンガス(coal bed methane:CBM)】

第6章 プーチン分析
ユーラシアユニオン構想の狙い/繰り返す歴史

第7章 プーチンの石油戦略
北極圏石油開発/ヨーロッパ石油事情/ロスネフチ社/OPECへの気配り/石油パイプライン敷設
第8章 天然ガス戦略
新パイプライン建設/LNG(液化天然ガス)戦略/ヨーロッパ事情/ガスプロム社/アフリカ戦略

第9章 ウラン戦略
長期的に不足するウラン資源/ウランの基礎知識/供給量不足を補う暫定的要因/プーチンのウラン戦略/ウラン鉱山囲い込み/モンゴルにおけるウラン開発/最終目標/ウラン市場の短期的ダブつき傾向

第10章 対中東戦略

第11章 黄昏のペトロダラーシステム

第12章 ペトロダラーシステム崩壊後の世界
日本語版のための最終章
<目次終わり>

(アマゾンでの情報引用終わり)

かたせ2号です。
なお、上記本の内容説明にある、ペトロダラーシステム(ドルベースの資源取引)。
これは、2003年の副島隆彦先生がすでに、著書「『実物経済』の復活」の中で、その存在を主張している「米ドルでしか世界中の石油の輸入代金の決済をしてはならない」という秘密協定と、実は、「全く同じ内容」です。ですので、副島隆彦先生の著者に親しんでいる方なら、そういう意味でもオススメの本です。また、副島隆彦先生の言論の「凄み(すごみ)」を再確認できる本であるともいえます。

以下、この本を知ったきっかけをお伝えし、本の内容の一部補足引用します。

2.この本を知ったきっかけ。

以下の、J_satoさんのツイートから知りました。

2022年3月21日
https://twitter.com/j_sato/status/1505767889810628611
(引用開始)
石油業界の人から薦められた2014年のベストセラー本。NATOによる事実上のロシア仮想敵国宣言となった2008年ブカレスト宣言から、ロシア・プーチンは世界の中心を米欧G7からBRICS+産油国にシフトするシナリオを描き、着実に実行してきていると。
https://twitter.com/j_sato/status/1505767889810628611/photo/1
(引用終わり)

2022年3月30日
https://twitter.com/j_sato/status/1508994078389661697
(引用開始)
ウクライナを使ったアメリカとロシアの代理戦争を読み解く上での必読書。アメリカの相対的国力低下、シェール革命→中東産油国への関与低下→サウジ等の米国離れ、脱炭素教の推進等を背景に、資源国+新興国連合のチェスをプーチンが進めてきたことがわかる。エネ取引でのドル離れ、米国の富の源泉を切り崩し、世界の多極化が加速。
https://twitter.com/j_sato/status/1508994078389661697/photo/1
(引用終わり)

2022年3月30日
https://twitter.com/j_sato/status/1509045672019865600
(引用開始)
「The Colder War」の「第5章 ウクライナ」のDeepL翻訳を 
@Alzhackerさんが公開されています。ここだけでも読んでみて興味深かったら、1冊読んでみることをオススメします。
https://alzhacker.com/the-colder-war-5/
(引用終わり)

3.補足

「コールダー・ウォー」の中から一部引用します。ご参考ください。

P56.~P.57
(引用開始)(下線部はかたせ2号が引いた)
グランドデザインには十の原則がある。次章からはこうした原則を念頭にした上でプーチンの狙いを明らかにしていきたい、
【原則1】ロシアは外国からの攻撃や嫌がらせに屈しない強国でなくてはならない。
【原則2】ロシアを脅かす力を持っているのはアメリカである。
【原則3】ロシアの周辺国はロシアの安全のためのバッファーとして機能させる。したがって、そうした国がアメリカと連携することは許さない。
【原則4】ロシアの安全保障のためにも、国民は豊かにならなくてはならない(そのことが自身の政治的安定を確保することになる)。
【原則5】ロシアの繁栄は天然資源とりわけエネルギー資源に依存する。
【原則6】資源から得られる収入が軍事予算を担保するが、それだけではなく、資源輸入国をロシアに依存する国に変えられる。そうすることで、ロシアの国際政治の動きに追従されることができる(ロシアに遠慮した行動をとらせる)。特に、ロシアと国境を接する国あるいは近い国がそうなることが望ましい。
【原則7】ロシアの資源エネルギー関連産業(石油精製、石油化工あるいは運輸)における圧倒的な力が、ロシアに依存せざるを得ない国を作る。依存国からロシアの必要とする技術サービスを確保できる。またそうした国の石油、天然ガスあるいはウラン供給もコントロール下に置ける。
【原則8】ロシアの資源エネルギー開発には資金と技術が必要である。したがって海外からの投資は歓迎する。しかしエネルギー産業は安全保障問題そのものであり、ロシア政府の全面的監督下に置かなければならない。
【原則9】エネルギー資源輸出国の立場からすれば、ロシア国外におけるエネルギー事情の混乱はロシアに有利となる。とりわけ、中東における騒乱は有利であり利用すべきだ。
【原則10】アメリカの弱体化はロシアの安全保障を高める。アメリカドルが世界の準備通貨になっている現状を変更できれば、アメリカに打撃を与えることができる。したがって、アメリカドルの強さのベースとなっている「ペドロダラーシステム」(後述)に風穴を開けることが重要となる。
(引用終わり)

P78.~P.79
(引用開始)(「ペトロダラーシステム」の説明)
(ニクソン政権の)アメリカは(サウジアラビアに)見返りに二つのことを要求した。一つは同国の石油販売はすべてドル建てにすること、そしてもう一つは、貿易黒字部分で米国財務省証券を購入することであった。(略)サウジアラビアがこの要請に応える協定書にサインしたのは一九七四年のことであった。一九七五年には、ニクソンとキッシンジャーの狙いどおりOPECの他のメンバーも原油のドル建て取引を決めた。
アメリカのやり方は実に賢いものだった。世界の石油需要の増大に伴いアメリカドルへの需要も増えていった。金とリンクさせたドルよりも石油取引とリンクさせたドルの方がアメリカにとっては格段に有利であった。面倒だった金との兌換取引もなく、思う存分にドルを刷ることができた。膨れ上がる輸入決済にそのドルを使い続けることが可能になったのである。
アメリカにとって最高のメカニズムの完成であった。石油には世界中からの需要があった。その石油を買うためにはドルが必要になった。石油購入のためにはドルを貯めなくてはならなかった。世界的な需要が高まるドルを連邦準備銀行はほとんどゼロコストで発行することができた。
これがニクソン政権が作り上げた「ペトロダラーシステム」だった。これによって、アメリカの経済覇権は長期化した。しかしこの体制を脅かす男がヨーロッパの東端に現れた。荒廃した国を建て直し、再び世界の覇権を争うパワーゲームにその男がチャレンジを始めたのである。
(引用終わり)

以上