ブレイク:華僑だけでは、国は作れない。

伊藤 投稿日:2025/01/15 10:51

伊藤睦月です。日本書紀(天皇系図)の解読も自分としては、一区切りついたのので、その他をいくつか。

1 華僑は実権を握っても、政治の表舞台に立つことはあまりない。

1-(1)岡田英弘博士は、日本という国は華僑がつくった、と主張されている。(日本史の誕生ほか)

そして、その成り立ちの様子を、現代のマニラやジャカルタ、クアラルンプールといった東南アジアの華僑社会の観察から論を組み立てられている。

1-(2)私、伊藤は、華僑だけでは、国はできず、(シンガポールのように、マレーシアの国策の影響で、仕方なくできた国もあるが)現地民とのコラボが不可欠と考える。

1-(3)なぜなら、華僑は、ユダヤ商人と同じ、基本は根なし草(デラシネ)、儲かるところ、ビジネスチャンスを求めるからだ。基本性格として「国際性」をもつ。土地への執着心や「愛国心」はない。

2 商売人は基本搾取する。

2-(1)岡田博士の主張のように、まず華僑が日本列島(以下「列島」という)に上陸したのはその通りだと思う。商売には、相手がいる。その相手は、原住民だ。華僑同士の取引もあったかもしれないが、例外的だと思う。

2-(2)岡田博士が、原住民との取引の始まりを描写しているが、私には「実感こもった」ものではなく、野生猿の餌付けのような印象を持った。文明人の華僑にとって、原住民は「サル同然」だ。

2-(3)原住民は、読み書き計算ができない。そんな存在と取引をする、華僑にとっては、「ぼろい相手だ」。朝貢貿易とは逆だ。むしろ朝貢貿易の方が商売抜きの政治ショーであって、通常は、商売人がだます(もちろん、建前は正当な取引だ)。

2-(4)原住民は最初は喜んだろう。例えぼられていても。しかし、直にわかってくる。原住民の中にも、読み書き計算が多少ともできる人間が現れると

通用しなくなる。そうなるとどうなるか。最悪身の危険が迫ってくる。

2-(5)そのとき華僑はどうするか。ハードな対策としては、「後ろ盾」を使う。中国本国とその出先(帯方郡とか)をちらつかせる。必要に応じ、彼あrに「来日」してもらって威圧する。軍隊を派遣してもらうこともあるかもしれない。そ

2-(6)ソフトな対応、としてその原住民の王と友好関係を結ぶ。考えられるのは、搾取の仲間に入れる、ともに暴利をむさぼる。そうなれば、原住民の王が華僑を守ってくれる。原住民の王(以下「酋長」とよぶ)たちは、頭が悪いが、腕っぷしは強いのだ。

2-(7)そういった関係を結ぶのに有効な手段が「婿入り」だ。酋長の娘と結ばれれるということは、その部族の一員となり、味方、場合によっては「家臣」になってくれる。岡田博士は「現地妻」とよんだが、単なる「華僑のセックスの相手」でなく、自身を守るための、政治的行為なのだ。

2-(8)酋長の娘との間に、子ができれば、その子は男子であれば、「正統な王子」、女子であれば、「権威あるシャーマン」になる。そうなると地盤が安定する。

2-(9)私、伊藤は、いわゆる「神武東征」も、倭国を後ろ盾にもつ、先行華僑(ニギハヤヒ)の搾取に不満を持った、奈良盆地の酋長たちが、神武たちを受け入れた経過を伝えている、と考える。

3 酋長たちは政治的には華僑を支配する。

3-(1)華僑は、交通の要衝を押さえて、居留地とする、いわば点の支配だ。質を武器にする。

3-(2)酋長たちは、華僑に物資を提供するための耕作地や鉱山といった「土地」とそれらに携わる人員を支配する、面の支配である。量は、こちらが優位。

3-(3)国を作るためには、質量ともに必要。どちらかといえば、馬鹿でも「数」で圧倒される。

3-(4)酋長たちは、華僑を政治的に優位にしなかった。スポンサーとして、官僚として、技術者としてつかった。(これは、華僑だけでなく、ユダヤ人など、古今東西同じこと。日本でも帰化人出身の豪族は、政治的に優遇されなかった。(平安時代でも5位の国司クラスが最上)

3-(5)その例外が蘇我氏、だから、酋長たちの王(天智、天武)から排除された。

3ー(6)その後、華僑たちは、政治の表に出ることなく、スポンサー、黒幕に徹した。(秦氏が典型)

3-(7)そして、酋長たちにうまく利用されながら、逆に利用して一族の繁栄を実現しようとした。

3-(8)華僑たちの政治力の源泉は、「財」と「宗主国の後ろ盾」だが、「面従腹背」の遣唐使などで、本国との関係を断ち切られ、「宗主国の後ろ盾」をなくし、しかし、「財」だけはある、華僑たちは、政治力のある、酋長たちに利用されることに甘んじるしかなかった。という見方もできると思う。

4 その他

 華僑やユダヤ人などの「根なし草の商業民族」は古今東西に一定数存在するが、面の支配を実現、長期に維持した例は、私の知る限り、ない。

 岡田英弘博士のいわれる、「華僑」が、国づくりに大いに貢献したことは認めるが、それだけではないということを、リマークしたかった。

以上、伊藤睦月筆