ブレイク:教養・文芸書における、最強、最速の読書術(523からの続き)

伊藤 投稿日:2024/12/12 14:54

伊藤睦月です。

 前回、『人生を狂わす読書』を紹介したが、作者紹介、内容要約、読みどころ、気の利いたコメント、など、世間話程度なら困らないぐらいの知識がゲットできる。通常はそれで十分でしょう。掲載作品50冊、そのラインナップも、しゃれている。例えば、『高慢と偏見』、『オリガモリソブナの反語法』、『死の棘』、『堕落論』、『チョコレート語訳乱れ髪』、『私を離さないで』など。興味がわいた本だけ、個別に読めばよい。1日で50冊読破!といってもたぶんごまかせる。

(2)次に、『100万回死んだ猫 覚え間違いタイトル集』これもスグレモノ。見開き2ぺージで、90作品。福井県図書館司書たちによる、生真面目な反応がくすっと笑えて頭に残る。

たとえば、(引用開始)

22 Q 『100万回死んだ猫』貸してください。 A こちらでしょうか。

 『100万回生きた猫』ですね。この猫は100万回死んで100万回生きているのであながち間違いではありません。100万回の生き死にを繰り返しても泣かなかった猫がはじめて他者に惹かれて愛を知る、絵本の名作中の名作。あまりに有名なので、こういわれても悩むことなくご案内できるはずです。ちなみに『100日後に死んだ猫』という覚え違いのパターンもありました。こちらはワニの影がちらついてちょっと悩みます。・・・(引用終わり)

 伊藤睦月です。この作品は、名作なので、読めば大概の人は泣けます。(私も泣きました・・・)が、これだけ知っていれば、読まなくても、これから先の人生困らない、と思います。

 そのほか、いくつかの「覚え違い」があります。本の帯に紹介されているものとして、

『衝撃の巨人』、『下町のロボット』、『とんでもなくクリスタル』、『昔からあるハムスターみたいな本』、「なんかが強く吹きすぎている本』・・・など。いくつ、わかりますか。この作品たちもその中で特に気になるものをチョイスして読んでいけばよい。読まなくてもあまり支障ない。これも1日で90冊読破、です。

 最後のきわめつけ。「解説目録」です。岩波文庫、岩波新書、中公文庫、中公新書、講談社文庫、講談社学術文庫、東洋文庫など名だたる文庫、新書、教養書を、120字程度で要約、解説してみせるスグレモノです。(受験対策にもなるかも・・・)

 私は高校時代、解説目録を集めて読んでいました。当時は本屋でただでくれましたし、ないときは、出版社ではがきで申し込めば、ただでくれました。この本のおかげで、古今東西の、古典から最新作まで、人文・社会系古典的作品の作者名、作品名と主な内容を頭に入れることができました。専門にしなければ、知ったかぶりならば、これで充分だと思います。これも、気になれば、作品自体を読めばよいのですが、たいてい歯が立ちませんでした。(大汗)ほかに、「日本の名著・世界の名著」(中央公論社)などの目録がありました。今でもあるのかな。

 実はこの方法は、多くの「読書家」がやってる方法だと、知ったのは、30代の時、谷沢栄一という読書家で知られた、書誌学者、評論家の本で知りました。そのころは、もうそういうことに飽きていましたが。これで、ざっと2千冊くらい、カバーできるのでは。

 「広く浅く、とりあえず」なら、これで充分かと。あとは、自分の好きな分野、必要な分野を「深堀り」していけばよい。あとはお金をかけてよいなら、「名言集」、「読書論」、「書評本」とかの活用もあります。ITもありますが、アトランダムになりがちで網羅性に欠けます。ここに紹介した方法が、コスパ高いのでは。騙されたと思って、お試しあれ。あとアマゾンの紹介ページや読者感想にも読み応えあるものが散見されます。

 もちろん、佐藤優氏が推奨するように、幅広い基礎教養、高校英数国理社の知識をしっかり身に着けること。それに比べれば、別次元、低レベルの話で恐縮ですが。以上「爺さんの読書談義でした」

以上、伊藤睦月筆