病院の黒字化と国家財政
今回のお話は、全国をしらべたわけでもないし、いい加減といわれても反論しようがないが、武弘道という、公立病院再生の請負人みたいな人の著作(「こうしたら病院はよくなった」)を読んでの感想で、、、
こういう人が全国にうじゃうじゃ出てきているんです。
患者を顧客ととらえて、営利的に経営する手法を導入する病院が。。
しかし、こういうベクトルがすすめば、日本の財政はどんどん、破滅に道を歩むと私は思います。
黒字化した病院というのはようするに、日本的営利企業化した病院と言うことができると思います。
つまり、職員は「社員」であり、病院組織を愛し、忠誠をつくす、戦後経済成長下で、日本が邁進した会社中心主義の思想とそっくりなわけ。
私はこうした「黒字化した病院」の方向性に昨今の世界的潮流と日本が置いてけぼりにされた構図と似たような微妙な矛盾と危険を感じるようになった。
そのような主義のもとでは個性より連帯感が尊ばれる。
無論、赤字化していた病院がよいとは言わない。しかし病院の赤字とは公立病院の場合、何を指すのだろう?
営利企業が赤字という場合、これはとてもわかりやすい。
つまり売り上げに対し、収入が少なく、経費がかかり、「赤字」なわけである。
そのまま続けば、当然倒産だ。
しかし、公立病院が赤字とはどういう事であろうか?
患者は自己負担を払い、そのかかった医療費の、7割から10割を「保険請求」の形で病院は自治体に請求する。
当然、
1)患者負担 保険請求=病院の収入
であるわけだ。
それでもって、赤字とは、
2)
人件費 病院運営費(建物、材料、薬剤費、検査器具、未収金、税金、もろもろ)>1)
となる。
そして赤字は、税金で補填される。
ものすごく、ぶったぎっているが。。勘弁してね。
さて、ここで考えてほしいのです。
公立病院は実は営利企業とは全く、コウゾウが異なることを知っておいてほしい。
何か。。
とてもとても当たり前すぎて、でも、私のひねくれた文章をよんでいたたけた方はわかりますよね。
これら、病院の収入を巡る、お金の行き来が患者の自己負担を除いてすべて「税金」であると言うことを。
つまり、あなたの懐から、「徴収」されている、ということ。
公立病院を黒字化しようと思えば、当然、収益をあげるには、人件費を減らし、病院運営費で儲けようとする。
おっと、これは営利企業の理屈だ。
しかし、現実にそれは行われている。
そして、形だけの民営化、すなわち、「独立行政法人化」が日本全国で行われている。
結果、黒字化した、と自慢する自治体が跡を断たない。。
医療収入は入院の場合は、患者の回転率と相関する。
つまり、入院をできるだけ多くとり、できるだけ早く退院させること、および病床を開けないことが至上命題となる。入院後はなるべく検査しない、、最近の診療報酬のシステムでは、ある病気に対して収入が決まっており、検査をするとそれだけ収益が引かれてしまうから。。。無論、薬も少ない。。
少なくとも、入院中は。。
大きな病院に入院した人は経験するだろう。入院の時は笑顔の医者が、退院を渋ると、恐怖のモンスターに変わることを。。
外来の場合は、「検査」である。
だから、ひたすら検査する。しまくる。
そして、薬は院外薬局で儲けないのも関わらず、薬を出しまくる。
日本人のほとんどはそういう医療が、「世界標準」だと思っている。
ところがである。保険請求は当然、「税金」なのである。
つまり、税金をもっとよこせ、そうすれば黒字になる、、という仕組みなのですよ。
当然の結果として、黒字化した病院が増えるほど、全体の税金がボウタイになる。
これが社会保障費にしめる医療費であり、昨今それが、ほぼ一次関数的に増えているのはみなさんご存知だと思う。
つまりは、病院の経営改善が社会保障費を増やす、という構図ができているわけである。
さて、それで喜ぶ人々はだれであろうか。。
皆さん、ご存知ですね。
「官僚制度」なのですよ。。。
だから、最近は病院の黒字化を総務省が指導することがありますです。。
病院がつぶれないと言うことはすなわち、公務員の位置が守られると言うことです。
そいで、最近はそれが世間にばれてはずかしいのか、例えば、看護師採用の場合、若い人は、「臨時」として採用、当然、給料安い、、中間層は、遠距離の生きたくない部署へとばし、パワハラで、解雇する、そして、じいさん、ばあさん、およびこれを指導する、中央の役所は生き残るというパターンを構築しつつあります。
そして、もっと驚くことに、、
これは公立病院だけの話ではありません。
私立病院でも、そうたいして構図は変わらないんです。当然です。保険請求は「税金」ですから。
そして、医療法人法~社会福祉法人などの法人法で、医療機関は実質、公立化されていると言ってよいのです。
簡単に言うと、法人化された病院はすべて、税金の優遇措置があります。
どんなに儲けても、3割以上税金がとられることはありません。
民間からすると、おいしすぎますよね。。
しかも、私立病院は世襲、まったくオーケーで、ハードル、ちょー低いです。
前は医者でないと理事長になれなかったのですが、いまは基本、だれでもいいのです。
おめかけさん、30人いる、どら息子やブランドもので身をかため、白馬の王子が迎えに来てくれると信じているドラ娘でも経営者になれます。
その代わり、経営トップ理事長の年収は、約4000万くらいで、「名目上」抑えられているんです。そして、儲けすぎたら、経営者で分配する、なんつうことはできず、人件費や設備費で「消化」しなければなりません。。
まったく社会主義ですね。。
無論、抜け穴はいくらでもありますので、例えば、ばれないように、法人名義で車をかったり、飲み食いしたりは日常です。ほんとは違法なんですが。。
だから、時々、監査がはいったり、医者をとっつかまえたりします。
それは見せしめでもあるし、システムから逸脱した金儲けをすると、役人が黙っていません。
奈良県で生活保護ロンダリングで設けていた病院は、虎の尾をふんだんですね。
なにしろ、生活保護は自己負担ゼロの、100%税金だから。。
ばれて当然です。しかも制度をあからさまに悪用している。
まあ、これはばれたから問題だけど多かれ少なかれ、病院と言うところは生活保護者は「おいしい客」と思ってますよ。
総じて、ものすごく、乱暴に簡単に今回の話の骨子を言うと、
病院の黒字化が社会保障費を増やし、国家財政を圧迫する。。
ということなのですよ。
みなさん、あの病院は経営が安定していて、よい病院だ、職員の対応もすばらしい、、だから、日本の医療はさいこーだ!
なんて考えるのはイイですが、それで、国家財政がどんどん、破綻し、子供達が焼け野原に住むことになるんだということも、頭に入れておいてね。
つまり、財政を改善するには、人々が病院に行かないように指導する、しかないんです。
第一、日本人の平均余命って、増えてます?
自殺者が相殺しているんじゃないですか、出生率低下もそれを相殺しているでしょう。(統計的には関係ないですが。。)
そもそも長生きしても、その質は問われています?
日本の医療崩壊、云々さけばれていますけど、民間の論理からすると、まったくつぶれる割合からいって、少なすぎますよね。
だからこそ、いつまでも医者と看護師は売り手市場なんですよ。。
逆に言えば、製薬会社、検査会社が、なぜ、マスコミをつかって、病気の宣伝をするか、よーくわかりますね。。
患者を作り、病院に行かせたいわけです。
薬の研究開発より、宣伝費が高くなるのは当然ですね。
でも、こういう護送船団が続くのも、あと数年でしょう。
ちょっと大論文になっちゃった、すまん。