教科書と実臨床の違い

もう 投稿日:2011/02/09 22:51

みなさんこんにちは、「もう」でございます。横幕様のご投稿はいつも興味深く拝見させていただいております。今回は茶々を入れるようで誠に恐縮なのですが、痛みに関する実臨床の状況を述べさせていただきます。
臨床医学は教科書通りにやって60点、それを個々の患者さんの状況に合わせて70点80点の医療に上げてゆくのが臨床医の腕の見せ所と教えられ、現在も後輩達に教えています。その意味で各疾患の臨床ガイドラインの遵守率を求めるような答申が今厚労省で出されているのですが言語道断、臨床を知らない医師(官僚?)の誤った政策であると厚労省に対して意見具申をしています。
それは基礎医学や生理学においても言える事で、確かに痛み刺激は痛覚の末端の受容体刺激によって起こるというのが教科書的な常識ですが、持続的な神経繊維の刺激によっても痛覚が起こるというのが実臨床における真実です。例えば癌が浸潤して脊髄神経を圧迫すると支配領域に転移がないにもかかわらずその部位の痛みが生じてきます。西洋医学は万能ではありませんが、50年前30年前に比べると夢のような発展を遂げていることは明らかなので、良いものは良いと認めることが誠実な対応であり、徒に西洋医学に対する不審を唱える事は謹むべきです。
おじいさん先生が指摘されるように、健康人を対象にした予防医療、商売医療については私は反対であり、孫子の代まで日本の優れた医療体制を維持するためには切るべき所は切ってゆくべきだと私は思います。その意味でアメリカ医療の無制限の導入の危険性があるTPPについては十分注意を払うべきだと考えています。
以上雑駁な話しですみません、投稿させていただきました。