副島先生、私の胃袋は、いまだ健在です!(14)転院
伊藤睦月です。
1 がん専門総合病院に転院して、最初の診察。今までの経過について、主治医による、確認の問診の後、胸部・腹部レントゲン、造影剤を入れてのCTスキャン、病院専属の糖尿病専門医の診察、問診の後、再度主治医との診察、面談があった。これまで、医師はすべて女性だった。
2 主治医の説明はおおむね以下の通り。
(1)伊藤さんの胃には、胃がんはみつからなかった。
(2)リンパの腫れは見られる。
(3)最初の病院は、スキルル胃がんのリンパ転移、という診断だったが、逆に悪性リンパ腫が胃に転移したのではないか、と考えられる。
(4)そのため、胃部ではなく、リンパ腺の組織を採って、検査したい。
(5)一週間ほど入院してもらうことになる。
(6)但し、検査の担当科は、泌尿器科になる。採取個所が、大動脈あたり、腎臓付近なので、当科(消化器外科)では、器具を下腹膜に通していくので、遠回りになる。泌尿器科の方がショートカットでき、リスクが少ない。
以上のことを、畳みかけるように、話された。
3 私は、結局は、入院検査に同意したが、それに際して、次のようなことを話した。
(1)転院を希望した理由は最初の病院の説明に不安を感じたから。
(2)セカンドオピニオンでは、追加検査ができない、と聞いたので、転院を決意した。
(3)まず、私の「がん」の正体をみきわめたい。そのために、徹底的に検査してもらいたい。
(4)そのうえで、治療法のベストチョイスを提案してもらいたい。
伊藤睦月です。近藤医師の本には、検査はしてはいけない、と書いてあったが、ここまでくれば、検査を徹底してもらいたかった。がんの、種類、程度、発症場所、転移状況、など徹底して知りたかった。職場にカミングアウトした結果、来年度の、嘱託契約が更新されなくなり、私の生活設計も狂ってしまった。検査を徹底することによって、治療の確度を上げることもあるが、手術や抗がん剤投与を、できるだけ先延ばししたかった。近藤本を信じるなら、治療に移れば、オシマイ、と思っていた。
(5)主治医は、意志が固そうな、やり投げのメダリストのような風貌(愛想はなかった。しかし、かえって信頼できそう)の女性、だったが、私の訴えをいちいちうなずきながら聞き、そうですね。最近は抗がん剤も細分化されているから、最も適切なものを選ばないといけません。そのためにも、しっかり検査しましょう、と言った。傍らには、部屋付きの女性看護師が2人。一人は私の顔をみていちいちうなずいてばかりいた。もう一人はパソコンに向かってひたすら、キーボードをたたいていた。
(6)その日のうちに、泌尿器科の外来に回され、医師の診察を受けた。医師は男性で、頑丈そうなガタイで、声は大きくて、ガハハ、という感じ。入院日を決めた。仕事のスケジュールの都合で、6週間後になった。こんなに引き延して大丈夫か。余命4か月の3か月は使ってるぞ。
(7)その医師は、血糖値が高すぎる、(ヘモグロビンA1Cが、11あった。7以下もしくは、食後血糖値を200以下にしないと手術ができないらしい)血糖値コントロールが必要。検査入院自体は長くて1週間だそうだ。糖尿病の管理については、かかりつけ医の指示に従うよういわれた。
(8)引き続き、入院予約手続き、オリエンテーションを済ませた。その日のうちに、かかりつけ医を受診。がん専門病院の方針で行くことを確認し、インスリンの投与量が倍増した。
(9)6週間後、入院した。血糖値コントロールに4週間かかり、検査手術後1週間で退院した。8月に入っていた。余命4か月は過ぎていた。しかし、医師、看護師だれも、そのことを、話題にすらしなかった。
小休止、伊藤睦月筆