免疫が強ければいいってもんじゃない(メモ)
朝日新聞では生活面に「患者を生きる 免疫と病気」というシリーズを連載しています。
医療サイト・アピタルで3ヶ月分のバックナンバーを読むことができます。
http://www.asahi.com/health/ikiru/</a>
1996年(平成8年)から連載されており、現在は10月18日から「免疫と病気」という連載が始まっています。本日で連載2054回目です。
人気ダンスグループエグザイルのMATSUというダンサーが実はベーチェット病という免疫異常による腸や神経系に炎症を引き起こす病気で失明の恐怖に苦しんでいることを紹介する記事から連載が始まります。
免疫によるいろいろな症状をもつ患者が登場していきます。関節の痛み、皮膚の痛み、血栓による流産、リュウマチ、天疱瘡・・・
なにも手だてがないものから、新薬のいたちごっこ、血液中の抗体を取り除く治療などが紹介されています。
免疫異常の病気はすべて難病です
よく知られた膠原病なども未だに原因も治療法もありません。
同じ紙面の裏にテルモの広告記事が載っており、そこで免疫(医療の挑戦者達 運を天に任せる輸血から科学に基づく輸血へ。「血液型」の発見)の発見の歴史が載っています。
なんと血液型の発見は20世紀初頭まで知られていませんでした。ですから輸血は運試しの最後の治療法だったそうです。1900年(明治33年)にオーストリアの化学者、カール・ラントシュタイナーが他人同士の血液を混ぜ合わせると凝集するものとしないものの組合わせに規則性を発見し、血液の抗原抗体反応であることを確認しました。「抗体」という概念は10年ほど前に北里柴三郎が発見しているので、世界の化学者は知っていました。
ラントシュタイナーは輸血の安全性向上に貢献して1930年(昭和5年)にノーベル生理・医学賞を受賞しています。
この連載を読むと、現代の難病はカール・ラントシュタイナーが確認した抗原抗体反応によって引き起こされるものばかりのように思えます。
自分の身体を自分の免疫が抗体で攻撃し、炎症を起すものばかりだからです。
記事ではありませんが、肺がんの原因も喫煙や石綿や粉塵が原因であることは少数派であって、ほとんどが原因不明、もしくは活性酸素による嚢胞(のうほう)からの癌化、さらには自己免疫が原因であることも疑われています。
このように免疫はばい菌からの自己防衛機能でもあり病気の原因であるという二面性を持っています。
免疫と病気シリーズは読み応えある連載です