ネオ・ニコチノイド系農薬の恐怖

2407 下川 投稿日:2010/06/03 18:35

日本の食卓にならぶ食材について、脅威は何も中国産野菜や狂牛病ばかりではありません。
1990年代から人体に害の少ない殺虫剤として導入されている農薬に、ネオ・ニコチノイド系があります。
ミツバチの大量死の犯人として俎上に上がっているものです。
(欧州では使用禁止や制限がされているようですが、日本では使用拡大の方向にあります。)

以下の中日新聞の蜂の特集が、良くまとめてある取材だと思います。
連載記事1~7

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201005/CK2010052502000171.html

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201005/CK2010052602000177.html

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201005/CK2010052702000158.html

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201005/CK2010052802000160.html

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201005/CK2010053002000143.html

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201005/CK2010053102000128.html

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201006/CK2010060102000149.html

コラムの趣旨は、蜂群崩壊症候群(CCD)について、農薬(ネオニコチノイド系など)、ビニルハウス内のストレス(高温、閉鎖空間、花の種類が単一)、を原因と推定する解説内容です。
他の要因としては、ダニによる被害、ウィルス感染と気象変化もあります。

JA指針の野菜、稲、果樹の農薬散布の防除暦(殺菌剤と殺虫剤)では、殺虫にネオニコチノイドを組み込んでいます。
そして、その適用は拡大方向にあります。

農家の現実の対応としては、蜂の保護のために開花と受粉時期の前後に使わない・・・1回の使用量を減らす加減・・・という配慮ぐらいしか対応できないでしょう。
ただし、この問題に気が付いている農家は僅かしかいません。

ネオ・ニコチノイド系農薬  神経伝達を阻害する効果。
http://homepage2.nifty.com/~tjinfom/agmini038.html

http://homepage2.nifty.com/~tjinfom/agmini039.html

ネオニコチノイド系農薬には、散布形式だけでなく、粒剤があります。(化成肥料のように根元に撒いて根から吸収し、葉を食べる害虫に効く・・・商品名アドマイヤーとダントツ)
つまり、葉の表面に薬剤を降り掛け虫に直接触れさせての効果ではなく、虫に食べさせる。
ですので、当然、野菜に吸収後の残留性が問題になります。
欧州基準に対し日本の基準が10~100倍・・・甘い設定が問題。
日本と中国で多用・・・日本では中国の100倍使用。

フランスは最高裁が使用を禁じたのが2006年・・・蜂や動物人体の健康被害との因果関係が
はっきりしてなくとも、かなり疑わしいし耐性がつく・・・ということでの判断らしいです。
イタリアでは、トウモロコシ栽培で使用をやめたら蜂が戻った話もあるようです。
日本では岩手で2005年に養蜂組合が県と全農に対して補償を求めた。
稲のカメムシ対策に散布したネオニコチノイド系農薬・・・直後に蜂が大量死したという問題です。

・・・あれこれネットで探すとでてきます。

(おそらくは)ハウス栽培のイチゴを食べた幼児が突然具合が悪くなった・・・下剤と解毒剤によって治り、翌日は歩いて通院できたという事例。
(ハウスものは閉鎖空間なので怖さがあります。)

ネオニコチノイドの半減期は5~10日ということです。
少なくとも雨にあたれば表面の残留分は洗いながされます。

ということで、りんご栽培のシーズンに4~5回使う機会がありますので、頭が痛くなります。
来季は、ネオ・ニコチノイド系をできるだけ処方しない方向を模索します。

同級生の専業農家が、地域の中心的存在ですので、事ある毎にこうした話をして相談してます。
この件も、彼もミツバチがらみでこの農薬の問題ぐらいは見聞きしてましたが、実は表で報道されていない
上記のような問題がいろいろあることはこの度知り始めたところです。
ネオ・ニコチノイド系は、もう放置できないです。

製造メーカーは欧州バイエル、日本では日本曹達と住友化学。

有機リン系が半径100m汚染に対し、ネオニコチノイド系は4km先の有機栽培農地まで拡散し汚染。
水溶性であることがその原因。

http://www.maroon.dti.ne.jp/bandaikw/archiv/pesticide/insecticide/neonicotinoidx.htm

以下2冊は読んでおくべきでしょう。  
「悪魔の新農薬 ネオニコチノイド」  船瀬俊介(環境ライター)

  (イタリアでトウモロコシ栽培にネオニコチノイドをやめ、蜂が戻ってるらしい。)

http://www.amazon.co.jp/悪魔の新・農薬「ネオニコチノイド」―ミツバチが消えた「沈黙の夏」-船瀬-俊介/dp/4883204324/ref=sr_1_24?ie=UTF8&s=books&qid=1275478111&sr=1-24

「蜂はなぜ大量死したのか」   ローワン・ジェイコブセン
http://www.amazon.co.jp/ハチはなぜ大量死したのか-ローワン・ジェイコブセン/dp/4163710302/ref=pd_sim_b_1