お茶とコーヒーの密接な関係

5980 投稿日:2015/12/06 10:42

四十からの健康 ・・・若返りと長生の医学・・・ 杉 靖三郎 著 昭和三十年九月十五日
  

お茶を飲みすぎるな

害になる濃いお茶

「お茶は、中世に中国から渡来したもので、以来、日常嗜好品となつたものである。それは、ねむけをさます作用があるが、一時に多く飲むのはよくない。食後などに、熱いモノを少量のむのがよいが、塩を入れて飲んだり、空腹に飲むのは腎臓などを害する。また、あまり濃いお茶もよくない。虚弱な人、病気の人は、とくに、新茶の濃いのを飲まない方が良い。・・・」これは、貝原益軒先生の「養生訓」巻四に述べてあるところだが、まことに、現在からみても、用意周当な注意である。
 茶は、インドが原産であるが、栽培して飲料にしたのは、中国の漢から唐の時代で、このお茶の実を日本へ持ち帰つたもは、伝教大使である。はじめは薬用としてお茶を飲んだに過ぎなかつたが、その後三百年たつて、京都建仁寺の開山、栄西禅師が宋から茶の実をとりよせて、筑前の背振山に植えてから、茶と禅とが不可分となつて、禅宗の発展とともに、喫茶がさかんになつた。
「喫茶養生記」最初のところに、「お茶は養生の仙薬なり、延令の妙術なり」とある。
 それ以来、お茶は日本人にひじようにこのまれている。日本民族ほどお茶を愛好するものは他にあるまい。お茶が一種の延命の薬であることは、一般に信じられている。お茶にはビタミンCとカフェインとが入つており、利尿、強心興奮の作用がある。すなわち、疲労をとり、精神的にも肉体的にも元気を回復させる。ビタミンCのほかAもあり、ヨード、抗糖尿性物質も含まれているという。とくに、緑茶、玉露、抹茶は、ビタミンCに富んでいるから、野菜の欠乏によつておこる壊血病をふせぎ、満蒙地方の冬ごもりになくてはならなぬものになつている。
 ビタミンCは熱湯以外の湯には、あまり破壊されない。だからふつうのお茶のいれかたではCも多く含まれ、衛生に良いことは、科学的に証明されているわけだ

お茶の好きな人は短命か

 ところが、日本の長寿者をしらべた結果によると、その中の、もつとも多数の九十六人は、全然お茶を飲まなぬ人たちだつた。その次は、ふつうにお茶を飲んでいた人三十人、第三は、少量にお茶を飲んでいだ人で二十五人、もつともお茶がかえつて寿命をちぢめているようでもある。だが、茶といつても、種類も多く、益軒もいつているように、あまり濃いお茶は、よくない。ことに腎臓を刺激するので、老人には、上等なものや濃いお茶はいけない。
 だから、茶が延命に効果があるというのも、害があるというのも、すぐには断定できないわけで、飲み方にもより、茶の種類にもよるわけだ、茶のみ友達 などといつて、老人にとつて、茶はこよなき嗜好品になつており、茶をたのしむのはよいことであるが、あまり濃くないものを、少量もちいるのがよい。
また、寝る前に茶を沢山飲むと、不眠をおこす。これはコーヒーと同じことで、カフェインの作用である。茶飲みに三杯も飲めば、コーヒー一杯と同量のカフェインを含んでいる。 また、コーヒーは、カフェインが濃い上に、クロロゲンという苦みをふくんでおり、これは胃腸を刺激して下痢をおこさせる。これに対して、お茶や紅茶はタンニンを含んでいるので、便秘を起こす傾向がある。紅茶も、お茶よりはカフェインが多い。(しかし、紅茶は蒸して酸化酵素を働かなくしてあるので、ビタミンCはなくなつている。)とにかく、寝る前には、少量に止めておくべきである。
 日本人は、一体にお茶を飲み過ぎる傾向がある。水の代わりにガブガブ飲むが、これは多すぎる。どこへ行つてもお茶を出す。家にいても朝から晩まで、たえまなしにお茶を飲んでいるのは珍しくない。これは、やはり西洋流に お茶の時間をきめるのがよい。ちよつとの訪問客にも、お茶に、紅茶に、コーヒーと、次から次へと出すのは、考えものである。ことに老人には、お茶の飲み過ぎは(ビタミンCは多くてもよいが、カフェインが過剰になるので )胃腸や腎臓に有害に働くから、気をつけなければならない。

「疲れ」がとれないのは糖質が原因だった。 溝口 徹 著

副腎の疲れを加速させる食べ物、嗜好品 P163
・・・カフェインの多いコーヒーや紅茶、お茶も飲みすぎには注意が必要だ。
カフェインはアドレナリンの分泌を刺激するため、さらなる副腎の疲労をもたらす。仕事はじめにコーヒーを飲まないと頭が働かない、という人は、カフェインの刺激がないと働けなくなってしまっている状態であるといえる。
 そこでおすすめしたいのは、1週間でいいからカフェインをやめてみることだ。体からカフェインが排出されるのに、1週間ほどかかる。そうしていったん副腎をリセットするのだ。
 また、アルコールもその代謝の過程で大量のビタミンB群を消費してしまうため、副腎のことを考えるととらないことが望ましい。アルコールは寝酒にいいと思っている人もいるようだが、実はアルコールは代謝される過程で覚醒物質をつくり出してしまう。つまり、一度は眠くなっても、そのあと眠れなくなってしまうということだ。アルコールもカフェイン同様、1週間でいいから禁酒して、副腎の回復に努めてほしい。
「疲れているからこそ、カフェインやアルコールが必要じゃないか!」と言う気持ち
はよくわかる。しかし、カフェインもアルコールもしばらく抜くと、副腎はかなり元気になってくる。それは体調にもあらわれる。この調子の良さをぜひとも実感していただきたいのだ。そうすれば、カフェインやアルコールによって、いかに体が疲れていたのかがわかるはずだ。・・・

「飲み物は水」が基本 P143

 水以外のものを飲む動物は人間だけだ。ヨーグルトドリンク、スポーツドリンク、清涼飲料水など様々な飲み物が出回っているが、飲み物は水か麦茶、ほうじ茶などのノンカフェインのものを選ぶようにしよう。カフェインと糖質が大量に含まれる缶コーヒーはもってのほかだ。
 ちなみにアルコールは副腎疲労を防ぐためにも我慢してほしいものだが、なかでもビールや日本酒などは糖質が多いので、特に避けてほしい。ウイスキーなどの蒸留酒のほか、醸造酒のなかでは例外的にワインが低糖質なので、どうしてもという人はこれらをのむようにしよう。