「口蹄疫の原因」

直木 明 投稿日:2010/06/03 08:09

「心に青雲」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年06月03日 | 食
「口蹄疫の原因」

 目下、普天間基地移設の問題で揺れている。沖縄の珊瑚礁を守ることに異論があるわけではないが、それよりもっと重大な環境破壊というか…われわれの体の健康に直結している重大事を放っておいて、沖縄の珊瑚礁だけが大問題で、あとはどうでもいいようなサヨクの甘ちゃんに一言言っておきたい。

 それは現下のもう一つの大問題、宮崎県で発生したウシの口蹄疫事件である。ワクチンを打てばいいなんていう付け焼き刃の対応では困るのだ。肝心な問題を無視して、野党もマスゴミも、農水大臣が外遊したからけしからんなどと…、アホか。

 これに関しては、本ブログ「日本武士の誇りの巻」(5月17日)に「九州人様」からコメントをいただき、あれには何か裏があるのではないか、ブログ主様の考察をお聞かせ頂ければ……とお尋ねがあったので、陰謀の可能性に関してお答えしておいたのだけれど……案の定、その後不審な情報が出てきている。

 けれど、今日は陰謀は除外した話にしたい。
 そもそも口蹄疫という病気は、たしかに感染するのだろうが、感染しただけでは発病しないのであり、発病するからには発病するだけの、牛の飼育環境のまずさがあると思われるのだ。
 牛は本来、牛舎などで飼うものではなく、野っぱらにいるものなのだから、不自然な飼い方をしている。
 だからちょっとの病原菌やウイルスに抵抗できない体になっていると思われる。これはニワトリもブタも、養殖魚もみな同じである。

 この問題にしぼって考察してみたい。というか、先日、道場でこの問題を取り上げて講義を行ったので、こちらにもその内容を書いてみようと思っている。
 その講義のキッカケは、道場生の一人が、今日は会社の同期の男性がまだ50代半ばで癌に倒れ、その葬儀に行ってきたと言っていたからである。

 ガンの話は、このブログでもたびたび取り上げたと思うが、大事なことなので、再度講義することにした。端的に言えば、ウシの口蹄疫や狂牛病(BSE)も、人間の癌も、同じ原因で起きるのである。

 ウシは日本ではほとんどほとんど放牧されていない。
 牧草地は結構あるが、ウシが放牧されている牧場は、実にその2~3パーセントしかない。ほぼ全部のウシがケージ飼いだ。牧場にウシはいるのだが、のんびり草っ原で遊んでいるものはなく、牛舎に囲い込まれて、身動きもとれない状態で飼育されている。

 豚も鶏も同じように、運動らしい運動はさせず、コンクリの床で、屋根付きの小屋で一生を過ごすのである。人間なら生まれたときから独房暮らしである。
 そんな家畜の肉を、みなさん喜んで食べている。オーストラリアやニュージーランドあたりだと、ウシやヒツジは放牧されているようだから、どうしても肉が食べたい人は、オージービーフにしろとわが流派の最高指導者は注意している。

 ウシでも豚でも鶏でも、動物はコンクリの上で生きるようにはできていない。人間もそうである。いくらド田舎の、自然がいっぱいで、おいしい空気や水があろうとも、牛舎に閉じ込めれば、そこで自然(地球)を遮断してしまう。
 これが彼ら家畜の遺伝子を狂わすのだ。

 癌とは遺伝子の狂いである。つまり本来、細胞は死んでつくりかえられるものなのに、生き続けてしまう細胞が癌細胞なのだ。それが遺伝子の狂いで生じる。遺伝子が狂って癌になる理由は食事なのだが、住居とか衣服、光線、水なども大きく関係する。

 人間も牛が牛舎で暮らすのと同じくで、アスファルト道路を靴や靴下を履いて歩き、コンクリのマンションで暮らし、同じくコンクリのビルで働き……。これはウシが牛舎で一生を終わるのと環境的には大差ない。
 こういう都会のコンクリート生活は、人間の遺伝子にはなじまないのである。ウシも豚も、彼らの遺伝子は土の上で生きていくようにプログラミングされている。
 それをブチ壊すのだから、人間も、ウシも豚も、みな遺伝子が狂わされていき、癌になったり、口蹄疫になったり、不妊になったりするのである。

 みなさんは、例えば潮干狩りや海水浴で海につかると気持ちがよいと感じるだろうし、裸足で土や草の上を歩くと、生き返ったような気分になるだろう。それは言ってみれば、私たちの遺伝子が正常状態にスィッチが入るからだ。

 木造住宅に入ったときと、コンクリの高層マンションに入ったときの、感覚は明らかにちがうでしょう。最近、ある方から都心の高級住宅街のマンションに引っ越したと案内をもらった。気密性が高くて静かなのが良いなどと喜んでいたが、その静寂と引き換えに、地球を遮断しているのだから、これは怖いものがある。

 どうか、せめて週末には無理してでも自然の中で裸足や裸で、たっぷり触れ合うことをお奨めする。土の上を裸足で歩くだけで癒しになる。
 そうでないと、ウシが牛舎に閉じ込められたのと同じで、「口蹄疫」みたいな奇怪な病気を背負いかねない。
 しかし、自然に触れるだろうと思ってゴルフ場に行かれると、あそこは農薬漬けの極めて危険な場所となっているから、都会のコンクリ暮らしより大変なことになる。

 人間にとってはゴルフ場が怖いように、ウシにとっては牧場は怖い。
 牧場はとてもじゃないが、放牧できないほど農薬まみれである。まして、人間はゴルフ場で靴を履いているからまだしも、ウシはいうなれば裸足であり、足裏からもろに農薬が浸透してくる。

 こういう全国規模の大問題があるのに、サヨクのように沖縄のジュゴンを守れというのは、スジが通らない。同じように、牧場やゴルフ場、都会のコンクリート・ジャングルの環境問題を問うならいいのだ。

 ところで、最近はめっきり野菜や果物に「有機栽培」という表示がなされるようになった。いかにもこれは「環境にも優しく」「体にも優しい」かのようであるが、そうは問屋が卸さない。

 日本の有機農法は、JAS(日本農林規格)によって決められているのだが、これは畜産糞尿に由来する堆肥(コンポスト)を指している。
 堆肥なら化成肥料より安全なんだからいいじゃないかと思うのは、素人の誤解である。実はこの家畜の糞尿堆肥が問題なのだ。

 日本では牛の餌のほとんどが、濃厚飼料となっている。濃厚飼料とは早い話が牧草ではなく、小麦やトウモロコシなどの穀類、豆類を配合した餌のことだ。
 この配合飼料には、抗生物質やホルモン剤などがしこたまブチ込まれている。病気にさせたくないからだ。今度の口蹄疫や狂牛病などの予防のためである。
 宮崎県のみならず、どこの畜産農家でも濃厚飼料を食わせないところはないし、抗生物質を入れていない飼料を食わせるところもまずない。
 その怖い薬品が糞尿にまじって出てきて、そのまま堆肥になる。

 私は、松坂牛だの前沢牛だのという高級ブランド牛ほど薬漬けで危ないと思っている。ステーキ屋なんか、もう何十年も敬して遠ざかったいる。家でもすき焼きなんかは止めてしまった。

 乳牛の例でいうと、濃厚飼料を餌としなければならないのは、乳脂肪分の基準値に縛られるからだ。ホルスタイン牛の場合は、「乳脂肪分13.5パーセント以上」と決められている。それ以下の数値の牛乳は、正当な価格では乳業メーカーが買わないのだ。買っても安く叩かれる。
 この13.5%の基準値をクリアするには、のんびり放牧して草をはませていたのでは無理であって、狭いコンクリの牛舎に密集させて飼って、濃厚飼料を与えつづけないと実現できない。

 私たち消費者も悪いというか、騙されているというか、牛乳を買うときに乳脂肪分の数値が高いほうが栄養もあり、おいしいと思って選ぶ。消費者が求めるから、との屁理屈で乳業メーカーは、畜産農家に押し付ける。

 肉用牛も、霜降り、つまり脂肪がつかないと高く売れないから、これまた濃厚飼料にならざるを得ない。霜降り肉は食うなと、わが最高指導者も強調される。

 そういうシステムにしておけば、濃厚飼料も大量に売れて飼料メーカーが儲かる。病気が怖いから、これまた大量の抗生物質などを投与するから、薬品メーカーががっぽり儲かる。そういうメーカーに、役人が天下るから、官民挙げて民から絞る構造なのだ。

 また、濃厚飼料は全部、国内では生産されない。まずはアメリカのメーカーから買わなければならない。日本での牛の餌は、要するにアメリカの余剰農産物の捨てどころでしかない。うまく誑(たぶら)かされているのだ。
 
 そして、濃厚飼料を食わされた牛は、薬漬けになった糞尿を“生産”する。狭い牛舎で(豚もトリもみな同じ)密集して飼うからコンクリの上に大量に流れ出す。ウンチもおしっこも牧場でしてくれれば、自然に返るのに、それがないから、どこでも処理に困っている。

 つまりは、数千万トンというアメリカでつくられた穀物が、移動してきてウンチに変わるのだ。日本の土地で、アメリカ産の分を消化する(自然に返す)ことができればいいが、一時は糞尿公害で大問題になった。それを焼却したりなんたりで、莫大な費用がかかっている。
 仕方がないから、糞尿を堆肥にして処理しようとするのだ。
 
 ここでは堆肥(コンポスト)がなぜ問題なのかに話が戻る。
 配合飼料には実に122種類も許可された添加物が入っているそうだ。それが牛の胃腸を通過して、堆肥に化ける。それを肥料とした野菜や果物が有機栽培と称して、あたかも「体に優しい」顔してまかりとおっている。
 
 だから牛乳を飲むのも、牛肉を食べるのも、やめようじゃないか。

※参考資料 『究極の田んぼ』(岩澤信夫著 日本経済新聞出版社) 

(転載貼り付け終了)