トランプバブル崩壊でドル98円へ、市場は「はき違えている」とUBS(ブルームバーグ)

1886 大門 投稿日:2016/12/04 09:48

2017年の円相場の見通しについて日本語と英語でググったところ、何故か、ほとんどの記事が来年の円安を予想するものばかりでしたが、下の円高予想派の記事にようやく出会えました。

次期大統領トランプの選挙中の主張は、アジアの中国や日本の通貨安誘導政策を糾弾するもので、そのような人物が大統領に就任することにっても円安・株高になるというのは通常の頭では考えにくいことなんですが・・・。相手側のアメリカが円安を容認しなければ、為替介入等の反対売買をされて、円安誘導なんてできませんから。

(引用開始)

トランプバブル崩壊でドル98円へ、市場は「はき違えている」とUBS

野沢茂樹、Kevin Buckland

2016年11月29日 06:00 JST 更新日時 2016年11月29日 15:32 JST

トランプ氏の勝利後、円相場予想を上方修正-3カ月後に102円

良いところ取りで絵を描いているが誤解に近い、と居林氏

・UBS証券ウェルス・マネジメント本部でジャパン・エクイティ・リサーチの責任者を務める居林通氏は28日のインタビューで、トランプ次期米政権の経済政策について「皆が良いところ取りで絵を描いており、過度な幸福感に包まれているが、その解釈は誤解に近いのではないか」と指摘。「期待先行で買われ過ぎた相場は、思わぬところで急にはげ落ちる。対外政策と国内政策の時間差をよく考えるべきだ」と語った。
同社はトランプ氏勝利後の世界的な株高・米金利上昇・ドル高の中で、3カ月後の円相場見通しを1ドル=104円から102円に上方修正。6カ月後は102円、12カ月後は98円に据え置いた。市場で焦点に浮上している昨年6月の13年ぶり安値125円86銭の更新はないとの見方だ。

・トランプ氏が公約した大型減税や1兆円規模のインフラ投資への期待を背景とした円安・ドル高進行で、為替アナリストは円相場の見通しを相次ぎ下方修正。

・100円突破を見込む円高予想は90社のうち10社に満たない。

・居林氏は、トランプ氏の経済政策は「国内向けは財政出動で成長促進的だが、米議会の承認プロセスが必要だ。影響の顕在化までには時間がかかる」と指摘。一方、「対外政策は貿易に逆風で成長を抑制する方向だ。議会を通さずに執行する権限を大統領が持っているので、早く実施される可能性がある」とみる。

・居林氏は、米景気を押し上げるというトランプ氏の公約は実現するだろうが、「その原動力は海外はひとまず置いておき、米国内にとって良いことをやる、良くないことはやらないという政策だ」と指摘。市場は過激な言動の封印や減税・インフラ投資を好感するあまり誤解しているが、「ドル高は米企業収益にマイナスで、ひいては雇用に逆風となるので受け入れられない」と言う。

・榊原英資元財務官は米大統領選直後の10日のインタビューで、アメリカファーストを掲げるトランプ次期政権は「恐らくドル安政策だ」と分析し、「今後6カ月程度で90円もあり得る」と述べた。JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は17年末に99円と予想。来年は日本銀行の金融政策から米欧の政治に焦点が移り、保護主義の流れが波及する中で円高が再燃する可能性があると読む。

ドル高は「うれしくない」

・居林氏は、米金利上昇について、トランプ氏の「米国内重視で考えると、上昇がこれ以上続くと住宅ローンにマイナスになるので、米国民にとってうれしくない」と指摘。「過去のデータによれば、日米金利差が2.1-2.2%の時は円・ドル相場は100-103円程度に収まる」傾向があり、足元の金利差でも「妥当な水準はせいぜい105円程度だ。現在の円安・ドル高は長続きしない」とみる。

・UBSウェルス・マネジメントは米利上げが来月あると見込むが、居林氏は「既に織り込み済みだ。ドルはその後、FRBが示すフォワードガイダンスの影響を受けやすくなる」と指摘。来年1月に次期政権が発足しても財政拡張策の実施とその効果を早急には期待しにくい中、FRBは「先行き不透明感から慎重姿勢を強める」とみられ、円高・ドル安圧力が高まると予想する。

・居林氏は日銀の金融政策も円高要因になると言う。12年から昨年までの円安局面では、13年4月に導入した異次元緩和下で「日米金利差の拡大は緩やかだったが、円安・ドル高は急速に進んだ。この動きの約6割は日銀の量的緩和策によるものだ」と分析。「日銀は来年のどこかで、好むと好まざるとにかかわらず、国債買い入れ規模を徐々に縮小するテーパリングを始めるリスクがかなりある」と言う。

・居林氏は日銀による国債買い入れ規模の縮小は円高を促すと指摘。「円・ドル相場が1%動くと日本の企業収益は0.5%動く関係にある」ので、市場の一部にある「120円で日経平均2万2000円」といった楽観論には無理があるとみる。12カ月後に98円という予想は、日米の長期的な物価格差を反映した円・ドル相場のPPP(購買力平価)が「78-88円のどこかにある」ことが主な根拠だと語った。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-28/-98

(引用終了)

私(大門)は、未だにTPPについてアメリカを説得するとふれまわる「阿倍外交」がトランプに日本バッシングの良い口実を与えることになって、日本がトランプ政権に為替操作国認定等の脅しをかけられて、2017年に急激な円高になると思います。

最後の、「12カ月後に98円という予想は、日米の長期的な物価格差を反映した円・ドル相場のPPP(購買力平価)が「78-88円のどこかにある」ことが主な根拠だと語った。」という部分は植草一秀氏の従来の主張とも重なり説得力のある数字です。