■■ 平田啓先生の『外国為替市場の動向と予測』 ■■

なんでかな 投稿日:2010/06/20 23:04

「マエストロ」の株式デイリーコメント(無料メールマガジン)から 平田啓先生の『外国為替市場の動向と予測』 を貼り付けます。

(転載貼り付け始め)

■□ なるほど! ザ・外国為替市場 □■

『野村、取引所FXに参入 今夏、東京金融取・大証で』
(日本経済新聞、2010年6月17日朝刊)
という記事がありました。

以前から外国為替証拠金取引の店頭取引は提供してきた野村證券が、
取引所取引も今年の夏から始めるというニュースです。

小さな記事ではありましたが、
これは日本におけるFX取引のターニング・ポイントなのです。

そもそもFX取引は店頭取引と取引所取引が共存するという
おかしなことが起きています。

株式取引にたとえると、
証券会社Aで銘柄αを購入すると、
手数料0円で銘柄αの購入価格は100円、
同時刻に証券会社Bで銘柄αを購入すると、
手数料0円は同じ出るものの、銘柄αの購入価格は103円、
さらに同時刻に証券会社Cで銘柄αを購入すると、
手数料10円で銘柄αの価格は101円
ということがFX取引では起きています。

さらに、証券会社A・B・Cでは
利益が出た場合に課税される税率が異なるのです。

店頭取引とは、FX会社と個人投資家が直接取引をする形態で、
FX会社は銀行から提示された価格に手数料を加えて個人投資家に提供して
います。

いわば、銀行が卸売・FX会社が小売・個人投資家が消費者という関係にあ
ります。

一方、取引所取引とは株式取引と同様で、
取引所で取引されている価格を証券会社が個人投資家に提供し手数料を徴
収する形態で、FX取引における取引所取引でも同様に、
取引所で取引されている価格をFX会社が個人投資家に提供し手数料を徴収
する形態です。

数々の問題を起こしてきたFX業界・FX会社をお上(お役所)は取り締まろう
としています。

規制強化を図るのなど、
『株式同様、FX取引も取引所でしなさい』という流れにあります。

事実、取引所取引は店頭取引に対して税制面で優遇されています。

取引所では分離課税、店頭取引には総合課税が設けられているのです。

分離課税の場合、いくらFX取引で利益獲得しても、
課せられる税率は20%です。

一方、総合課税の場合、年収に応じて課税されるので、
1800万円を超える年収の場合、
FX取引で得た利益に対して50%という高い税率となっています。

さらに、分離課税は繰越控除が認められているのに対し、
総合課税は認められていません。

例えば、FX取引を行って1年目は100万円の損失、
2年目も100万円の損失、3年目にようやく50万円の利益を
獲得したとします。

繰越控除が認められている分離課税では、
トータルでまだ150万円<=(-100万円)+(-100万円)+50万円>の
損失を抱えているので、課税されません。

つまり、支払う税金は0円です。

一方、繰越控除が認められていない総合課税では、
3年目に獲得した50万円の利益にガッツリ課税されます。

年収が1800円以上ならば、50%の25万円を税金として
納めないといけないのです。

さらにお上は、FX取引のレバレッジを50倍まで、
来年には25倍までという規制をかけてきました。

今まで、そうした規制が無かったので、
レバレッジ100倍や200倍といったサービスを提供する
FX会社が乱立し、山っ気のある投資家を募ってきました。

しかし、レバレッジ規制が始まると、
どこのFX会社と取引しても同じということになるので、
「じゃ、税制優遇されている取引所取引を選ぼうか」
ということになってしまうのです。

これまで取引所取引に参加しているFX会社は、
FX会社として信用力を高めるために取引所取引に参加する
意味合いがありました。

取引所取引に参加するには、厳しい審査を通過しないといけないからです。

しかし、昨年大和証券が取引所取引に参加した辺りから、
FX業界の勢力地図が大きく変わってきました。

FX会社には、証券系・銀行系といった信用力の高い金融機関のバックアップ
のある会社、商品先物系のように金融機関ではあってもあまり信用力の高く
ない会社、他業種から参入したさらに信用力の高くない会社が乱立しています。

大和証券という、証券会社の中でも本命の会社が取引所取引に参入し、
そして今回業界トップの野村證券が取引所取引に参入してきたのは、
他のFX会社にとっても驚異なのです。

FX業界全社が取引所取引に追い込まれ、
そこに金融機関の巨艦が乗り込んできた訳ですから、
これから淘汰が本格化することは必至です。

小さな記事でしたが、
FX業界には激震の走ったニュースをご紹介しました。

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 ■□ 外国為替市場の動向と予想 □■

☆3月27日号からお伝えしている2010年 春~夏にかけての大局観☆
外国為替市場: ドル高・円安
株式市場: 上昇

先週は、

『株式市場は断然強気に攻めて良い環境となってきました。
現在、株式市場では「バッド・ニュース現象」が起きています。
全体的に市場が低迷している時、
優良銘柄まで必要以上に下がる現象です。
普段は手の出ない高値の銘柄も今なら手が届くかもしれません。
年後半に向けて、ガンガン攻めましょう。』

と、お伝えしていました。

今週の各市場の動向を
http://www.fexcellence.com/data/Jun19.pdf
で見てみると、
米国株式市場の一段の上昇が見られます。

日経平均も一時1万円台を回復した局面もあり、
やはり強気に攻めて良い時期にあることが確認できました。

金融マーケットには、
株式・債券・外国為替・商品先物・短期金融市場の
5つがあります。

不景気になりリスクの高い金融商品を避けたいと
投資家が思うようになると買われるのが債券・短期金融商品です。

反対に、リスクが高い金融商品と認識されているのが、
株式・外国為替・商品先物です。

この中で買われて経済全体が潤うのが株式市場です。

株式市場にお金が集まり始めると、
企業にお金がまわり始め、
経済活動全体を活性化させるからです。

一方、外国為替でいずれかの通貨の上昇は、
相対となる通貨の下落を意味し、
経済的な影響には2面性があります。

商品先物の上昇も、原油価格高騰に見られたように、
経済活動を圧迫する作用があります。

現在5つの金融マーケットの中で、
最もお金が集まって欲しい株式市場に
お金が集まり始めています。

今後ももちろん何度か調整局面はあると思いますが、
経済には『好景気・景気後退・不景気・景気回復・好景気』
というサイクルがあり、現在好景気への階段を登りつつあります。

全体としてはまだ投資家に投資意欲が回復してきたとは言い切れない
今こそがチャンスです。

強気に攻めましょう。

では、今週はこの辺で。 

See you next week!

(転載貼り付け終わり)