杉田官房副長官は共産党の罠に嵌った
学術会議の問題が一向に収束する気配が無い。それまで誰も知らなかった、あまりにも地味すぎるネタなのだが、左翼と右翼の論者のそれぞれが、自分の思い入れを勝手な方向に投影し、話を膨らませてからぶつけ合うので、収集がつかなくなっている。こんなにも面白い出来事を目撃できるとは、世の中も捨てた物では無いな、と、私はしみじみ思う。
さて、これまでの状況を「総合的・俯瞰的」に眺めてきたことで、事態の背景がほぼ見えてきた。キーマンは菅義偉総理ではなくて、杉田和博官房副長官である。杉田官房副長官は、もと警察官僚であり、公安警察や内調などの公安畑で長く仕事をしてきた人物だという。
今回の発端は、学術会議の名簿の人数が足りない事を、赤旗がスクープ記事として載せた事に始まる。おそらく共産党の狙いは、数年前から杉田氏をスキャンダルに嵌めて、政権から追い落とす事にあったのだろう。杉田氏もまた、安倍内閣以来、学術会議の左翼学者達への弾圧と追放のための策略を、水面下で練って来た。その計画を実行に着手した途端に、赤旗にスクープされたのだ。事実は逆に、共産党側が杉田氏の計画の概要を密かに掴んでおり、スクープに出すタイミングを見計らっていたのだろう。罠に嵌ったのは、共産党ではなく、杉田氏の方だ、と私は思う。
共産党と公安組織は、長年に渡る天敵同士である。ハブとマングース、トムとジェリー、藤波辰巳と長州力、その他にも色々あるが、顔を見る度にお互いが口汚く罵り合う事を、延々と続けて来た関係である。そもそもが公安組織は、学術会議も共産党の出先機関の一つとして、長年その動向を監視して来たのだ。
「全貌」という月間雑誌がかつてあった。反共の極みというべき内容の記事が満載だった。情報の出処は公安組織だ、という噂もあったらしい。私の尊敬するferreila(フェレイラ)氏という技術者の方がおられる(私はお顔も拝見したことはない)。ferreila氏は「全貌」に非常に詳しく、今回も御自分のブログに、「全貌」に書かれていた福島要一に関するスキャンダル記事を掲載されている。相当にインパクトのある内容だ。興味のあるネトウヨ連中は、早速見に行く事だ。そして今回もドンドン拡散すれば良い。
私が思うに、福島氏はあそこまで叩かれる程の悪人では無い。村上陽一郎が福島氏の事を、あのように、粘着的にいやらしく嫌うのには理由がある。私はおぼろげながらその理由に気づいた。その内に書く。
福島要一の記事が「全貌」に載ったという事実は、学術会議が公安から長年マークされていたという有力な証拠だ。杉田氏は、自分の目の黒いうちに、学術会議を無力化するための策略を練っていた。一方で共産党は、官房副長官という要職にある杉田氏を、如何にして追い落とすかの策略を、これまた練っていたのだろう。政府の事務方のトップに自分達の天敵が居座っている限り、眠れない夜が延々と続くだけである。
敵味方のそれぞれが、密かに練っていた思惑がぶつかって、今回の騒動に発展したのだ。巻き込まれた6人の法律学者達には、迷惑この上ない話であるが、どうなるか見ものである。杉田氏が作成していた、6人の法律学者の実名が入った排除リストを、共産党が出して来たりすれば、大変に面白くなると期待する。
相田英男 拝