本当にGEから買うのか、東京電力?

相田英男 投稿日:2019/05/16 12:04

ー どうしたんですか、相田さん?今回の投稿は、GEのガスタービン事業についてのロイター記事の紹介でしょう?最近のおちゃらけ投稿じゃなくて、相田さん得意の技術の話じゃないですか。何で僕が呼ばれたんですか?

(相田)いや、英文記事の意訳はできたんだけど、前振りの紹介文がなかなか書きづらくてさ。それで何とか対談で埋めようかと・・・・

ー別にいいですけど、調子悪いんですか?

(相田)何か、この間の改元のお気楽騒ぎになかなか乗れなくて、いまいちな。俺的には令和っていうのは、平成よりは響きが気に入ってるんだけど。何せ平成はカクカクし過ぎてダサく思えたからな。

でも、最近タイマーズのアルバムを聞き返した時に「カプリオーレ」っていう曲があってさ。ブラームスだっけ?有名なクラシックの旋律に、キツイ内容の歌詞を付けて歌ってるやつだけど。

ー「高速~道路に~ポリスが並ぶ~、な~んだか大変だね、ごくろ~お~さん」て歌ですよね。これ以上は、今の情勢だと歌詞が書けませんけど。

(相田)あれを聴きかえすと、「前の改元の時は、こんな感じで暗い雰囲気だったよなあ」とか、思い出してさ。随分違うよな、今回はさ。何か変な話もどんどん続くし。あの、雑誌の中の映画宣伝の発言で、佐藤浩市が安倍首相の病気を揶揄したから許せん、って、盛り上がってるのは、一体何なのかな?

さっき俺もコンビニに寄って、その雑誌を立ち読みしたんだけど(笑)、佐藤浩市の発言をどう読んでも、安倍を批判してるとか、そんな風には読めなかったな、俺には。百田達が「この三流役者が、許せん」とか、怒ってるらしいけど、被害妄想も甚だしいとしか言えないよな。

何か、今の日本の右翼の奴らは、あまりにも過敏すぎるというか、精神的に脆いよな。頭が単純で悪すぎるだけじゃなくて。あれだと、左翼の連中から小馬鹿にされても仕方ないほどの、知能の低さと弱さだぜ。

ー 百田への批判文の一つで「佐藤浩市を三流役者呼ばわりするのは、橋本環奈をブスというくらいの暴言だ」というのがあったのは、僕も笑いました。

(相田)そんな感じに、軽く批判する位ならいいんだけどな。いきなり「三流役者が」とかブチ切れると、発言者の人間性を疑うよな。ただ、関係するネット記事のコメントを眺めると、殆どが佐藤浩市への批判なんだよなぁ。世の中みんな、あの発言に本気で目くじら立ててるのかね。そんなに八つ当たりしたい程、切羽詰まってるのか?

ー 副島先生が言ってましたけど、世耕なんかが、ライター達を雇って、安倍の応援コメントを沢山書かせてるんですかね?もしかしたら、AIが勝手にコメント書いて投稿してるとか?

(相田)一人の俳優のあのレベルの発言で、あそこまで批判されたら、これからの映画は、幼稚園のお遊戯会レベルの、無難な内容しか作れないぜ。一つの役に俳優が三人くらい並んで出て来さ、三人で同じセリフを喋るとかして。大勢の役者さん達に均等に機会を与えましょう、とか言ってさ。

ー 相田さん、疲れてますね・・・・

(相田)スランプ気味なんだよ、色々あって。

ー それで本題ですけど、GEのガスタービンがまた売れ始めたんですよね、ロイター記事によれば。

(相田)今朝のGE株価がいきなり3%以上も上がってたんで、何事だろうと思ったけど、そうらしい。今年の第1クオーター(四半期決算)で、6機のHA型ガスタービンを受注したんだと。三菱やシーメンスの受注よりも多かったらしい。ただ、三菱は5基、シーメンスは4基、それぞれガスタービンを受注してるんだよな。

ー GEが勝ったといっても所詮は、三菱よりも一基多いだけだという・・・

(相田)それで記事によると、GEが受注した6基のHAガスタービンの半分の3基は、どうやら東京電力が買うらしい。ロイターがGEに確認したら、そうだと認めた、と記事に書いてある。だけども日本ではそんなニュースは、全く報道されないよな。東京電力に売るという3基のHA型については、GEの四半期報告書にも書かれていなかったみたいだ。業界情報誌のマッコイパワーレポートがこの間の火曜日に出た。それをロイターの記者がよく見ると、GEのガスタービン受注数が増えてた、ということらしい。

ー ロイターがマッコイに確認したら「さあ、よくわかりません」とか、すっとぼけられたみたいですね。記事によると。

(相田)東電がこの状況で、HAガスタービンを3基も買うとなると、業界的にはトップニュースで報道すべきはずだけどな。でも日本では何も言わない。どう考えても怪しい裏があるよな、この話には。

ー そもそもGEは、HAガスタービンのブレード破損問題については、まだまだ時間がかかると言ってます。そんな時に買っちゃっていいんでしょうか、東電は?

(相田)ロイターによると、HA型の初段ブレードの耐久時間は7000時間らしいから、一年動かしたらブレードを全数交換しなくちゃならない筈だ。そんなんで、どうやってLTSA(メンテナンスのための保険)を結んだんだろう?LTSA契約の内容を是非知りたいよな。絶対に言わないだろうけど。だけど、GE側に有利な契約を結ばされて、事故が起こった時の費用が東電の持ち出しになると、電気料金がまた上がる。だから、消費者としても無視出来ない問題だよな。

おそらくは、苦境から抜け出せないGEを助けるために、奥の院のモルガン財閥が、東電に指示してガスタービンを買わせる気なんだろうな。GEのガスタービンには東芝の蒸気タービンがもれなく付いてくる。だから、東芝への助け船にもなるし。東電も、中部電力に西名古屋発電所で点検したHAガスタービンの状況とかを、聞いている筈だから、それなりの対策はするんだろうけど。

ー記事の最後に、シーメンスがガスタービン事業を分社化するとか、書かれてますね。

(相田)遂にそうするみたいだな、シーメンスは。それならGEのガスタービンも切り離してシーメンスと一緒にしろ、という過激な意見もあるらしい。独占禁止法に引っかかるから無理だけど。

でも、どうしてもGEがガスタービン事業を切り離すなら、その時には、東芝が買うというオプションが出てくる。また東芝は金が掛かるけど、経済産業省が資金援助してもいいんじゃないか、今回は。日産がルノーに分取られても、GEのガスタービン事業が日本の手に入れば、十分お釣りが来る。三菱では独禁法に引っかかるけど、東芝が買うなら問題ない。同じモルガングループだから、奥の院も絶対ダメとは言えないだろう。少なくとも中国に技術が渡るよりはマシだからな。

多分、GEでは最早、最先端のガスタービン開発に、現場の技術がついていけなくなっている。軍事分野ならどんだけ予算を掛けても許されるけど、産業機器向けの技術だと、どうしてもコスト低減に迫られる。アメリカの技術開発はソフトウエアに力を投入し過ぎて、産業用のハードウエア開発には手が回らなくなっているみたいだ。HAガスタービンのブレード問題も解決に時間がかかり過ぎるし、AP1000の建設が失敗した理由もそれだ。中国ではAP1000をちゃんと作れたからな。

3Dプリンタで 、ーGEではアディティブと呼ぶけどー 、これから色々部品を作ります、とか、GEではぶち上げてる。けども、ガスタービンの初段単結晶ブレードをアディティブで作るなんて、無理じゃんか。粉末金属を原料にするから、単結晶組織になるはずが無いだろう。アディティブでしか作れない画期的な材料なんて、おそらく存在しない。単なる株価を上げるための宣伝用の「ウソ技術」だぜ、アディティブは。昔も色々あっただろう。室温でも動作する(かもしれない)高温超伝導材料とか、バラード社の高分子型燃料電池、とかの、その場しのぎの「ウソ技術」が。所詮はアディティブも同じだ。

トゥサ尊師も予言してるけど、GEの株価はそのうちに5ドルくらいまで、また下がるだろう。GEキャピタルの隠れ損失がまた発覚したりしてさ。東芝はその時まで待って、機会があれば、GEのガスタービン事業を安く買い叩く事だな。車谷会長も今が我慢のしどころだろう。そうなったら、肉を切らせて骨を断つ、じゃないけど、ウェスティングハウス買収でやられた損失を、一発逆転で取り返せる事になる。西室氏や西田氏や、その他大勢の無念も多少は癒されるんじゃないか。

ー どっちかというと、それ、江戸の仇を長崎で取る、の方が近いんじゃないですか?

(相田)そっちで決めてよ。もう疲れたから。

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(引用始め)

GE books more power plant orders, beats Mitsubishi, Siemens: sources
GEは発電プラント建設の受注で三菱、シーメンスを上回る
Reuters, May 15, 2019
By Alwyn Scott

NEW YORK (Reuters) – General Electric Co won the most orders in the sharply contracting market for new gas-fired power plants in the first quarter, according to people familiar with the matter.
ニューヨーク(ロイター) – ゼネラルエレクトリック社は、この分野の関係者によると、第1四半期の新規ガス火力発電所の契約で、最も多くの受注を獲得した。

But GE faces rising competition, complicating new Chief Executive Larry Culp’s efforts to turn around the company’s ailing power unit.
一方でGEは、この分野での競争の激化に直面しており、新しい最高経営責任者(CEO)のラリー・カルプが進める、GEの電力事業部門における収益好転への努力を複雑にしている。

GE booked six orders for its advanced, HA-class turbines in the quarter, up from none a year ago, according to three people familiar with the situation and an industry report seen by Reuters on Tuesday. Rival Mitsubishi Hitachi Power Systems (MHPS) booked five orders, while Siemens AG booked four, the sources said.
この分野の専門家3人のコメントと、火曜日にロイターが確認した業界レポートによると、GEは最新の四半期に、HAクラスタービンの6つの建設受注を予約し、1年前の受注ゼロから受注数は上昇した、ライバルの三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は5件、シーメンスAGは4件の受注予約を受けた、と情報筋は述べた。

The standings highlight an intensifying battle for sales of these newest, most efficient “advanced class” generators capable of powering thousands of homes.
この順位表は、これらの最も新しく最も効率的な「アドバンスドクラス」のガスタービン(これら一機で数千軒の家庭に電力を供給できる能力を持つ)の売り上げに対する戦いが、激化していることを強調している。

Demand for gas turbines has fallen by half since 2014 as utilities rely more on wind, solar and power conservation. GE’s share is shrinking. It ranked second for advanced turbine orders in 2018 and is shutting manufacturing sites and laying off workers to reduce costs.
ガスタービンの需要は、電力会社が風力、太陽光、そして節電対策に力を注ぐようになったため、2014年から半分に落ち込んでいる。 GEのシェアは縮小している。 2018年にはアドバンスドタービンの受注数でMHPSに敗れて2位となり、コスト削減のためのタービン製造拠点の閉鎖と、労働者の解雇を進めている。

GE confirmed to Reuters it had booked three additional orders in the first quarter that were not counted in its first-quarter earnings report. The three additional units, sold to Tokyo Electric Power Co in Japan, were included in the closely watched McCoy Power Report published on Tuesday. McCoy declined to comment.
GEはロイターに対し、第1四半期の決算報告に含まれていなかった追加の3つのタービンの作製について、既に受注予約したことを確認した。日本の東京電力に売却された3つの追加ユニットの記載は、火曜日に発行された調査会社のマッコイパワーによるレポートの中に、よく見ると含まれていた。マッコイは、この件についてのコメントを控えた。

Siemens and MHPS also confirmed their tallies with Reuters.
シーメンスとMHPSも同じく、ロイターの集計結果を確認した。

GE has dominated power-plant sales for decades and has installed more than 7,500 gas turbines around the globe. But its position has weakened. Its backlog of power equipment orders is down 1.5% from a year ago, and GE faced pressure after an HA turbine broke at a plant in Texas last year, forcing GE to replace blades in dozens of plants.
GEは何十年もの間、パワープラント機器の販売を支配しており、世界中に7,500以上のガスタービンを設置している。しかし、その立場は今では弱まった。電力機器の受注残は前年同期比で1.5%減少し、昨年はテキサス州の工場でHAタービンが故障したため、GEは数十の発電プラントでブレードの交換を余儀なくされた。

Power was once GE’s largest unit, but it has been a drag on the company’s earnings. GE lost $22.8 billion last year due to a $22 billion write-down of power assets and an $872 million operating loss in its power unit.
電力機器部門は、かつてはGE最大の事業ユニットだったが、それは今や会社の収益に悪影響を及ぼすものとなった。 GEは昨年、228億ドルの損失を出した。これは、220億ドルの電力資産の評価減と、その発電機器部門の8億7200万ドルの営業損失によるものだ。

GE Power posted an $80 million profit in the first quarter of this year, after Culp restructured the unit in October to separate gas power from other types of power.
Culp warned at GE’s annual meeting last Wednesday that the relatively strong first-quarter performance was not a trend, and remaining quarters would likely be weaker.
10月にカルプがCEOに就任し、GEパワーのガス発電部門を他のタイプの発電機器部門から分離するリストラ対策を発表した後で、GE Powerは今年第1四半期に8000万ドルの利益を計上した。カルプは先週の水曜日に行われたGEの年次総会で、比較的好調な第1四半期の業績はトレンドではなく、残りの四半期ではおそらく弱まるだろうと警告した。

Siemens, meanwhile, said this week that it will spin off its oil and gas, power-plant and grid businesses along with its 59% stake in Siemens Gamesa Renewable Energy to allow them to grow without competing for capital with higher-margin Siemens businesses. It plans to list the new company publicly by September 2020.
一方でSiemensは今週、同社の石油&ガス、発電機器および電力網事業を、Siemens Gamesa Renewable Energyへの59%の持株分を加えてスピンオフして、Siemensの残りの一連の事業の利益率を高めて、お互いに競争することなく成長できるようにする、と述べた。 スピンオフした2020年9月までに上場予定である。

(Reporting by Alwyn Scott; editing by Jonathan Oatis)

(引用終わり)

相田英男 拝