イケメン社長がうっかり口をすべらせる

相田英男 投稿日:2019/05/31 18:34

相田です。ロイターのGEについての新たな記事を引用します。

記事に出て来る「リーン生産方式」というのは、リーンスタートアップとも呼ばれる、アメリカで流行っている経営理論の一つだそうです。エリック・リースという起業家が書いた本が元になっており、新規の事業を始める時に、極力ムダを省いてスピードアップするのが特徴だそうです。

何やら立派な話みたいですが、元ネタはトヨタがやってる「カンバン方式」らしく、日本では「何をいまさら」感もあり、あまり話題にはなりません。おそらくカルプは、GEに来る前にリーン方式についてもよく研究しており、ダナハーの株価を高めるのに役に立ったのでだと思います。

カルプが問題の工場に行った、昨年の8月の時点では、CEOは前任者のフラナリーでした。グリーンビル工場というのは、ブレード破損を起こしたHAガスタービンを製造する中核工場です。そのGEの最重要工場の一つに、副社長のカルプがやって来て見たものは、旧態依然とした物作りの現場でした。投資家達から、「GEパワーの赤字はいつまで続くんだ?」とせっつかれたカルプが、うっかり内輪をバラしてしてしまったようです。

元記事には書かれていませんが、カルプが見学した丁度そのタイミングで、ブレードトラブルが勃発しており、「全くしょうがねえなあ」と、今でも頭を抱えているのでしょう。ジャック・ウェルチの時代に「シックスシグマ」とか、散々ぶち上げていたのは、一体何だったのか?こんな会社を「世界最強」と崇め奉っていた、経済マスコミ関係者達も、一体何だったのか、私にはサッパリ理解できません。

(引用始め)

GE’s CEO ‘stunned’ that factory efficiency drive only just started
GEの最高経営責任者(CEO)は、工場の効率化が始まったばかりであることに「驚いた」
Reuters May 31, 2019

By Alwyn Scott

NEW YORK (Reuters) – General Electric Co’s chief executive said on Thursday he was “really stunned” to learn that a major factory had only recently started using lean manufacturing techniques.
[ニューヨーク16日ロイター]ゼネラル・エレクトリック社の最高経営責任者(CEO)は25日、GEの大工場の一つが、リーン生産方式を採用し始めたばかりであることを知って「本当に驚いた」と述べた。

“It put me back a little bit to go to our Greenville, South Carolina, plant last summer and to have the team regale me with a really good lean production (project) that had just been implemented,” Larry Culp said at an investor conference in New York.
「昨年夏に私は、サウスカロライナ州グリーンビルの工場に行った。その工場のチームから、実際に業務効率の改善効果の高い、リーン生産プロジェクトについて、今まさに始めたばかりだ、と知らされた。その時に私は落胆し、少しだけ後ろ向きの気持ちになった」と、ニューヨークで行われた投資家との会議の席で、カルプは述べた。

“They did a very nice job. But just — it really stunned me (to) be there in the summer of 2018 and have such an important plant at GE beginning its lean journey or re-beginning its lean journey.”
「その時の彼らは、非常に素晴らしい仕事をした。しかし、私は本当に驚いた。その2018年の夏に(相田注;ガスタービンのブレードトラブルに直面した最中にもかかわらず)、GEにとって非常に重要な工場の一つで、リーンジャーニーを始めたり、仮に一時的にそれ中断していたのなら、その時にようやく再開したりすること、についてだ。

Lean techniques are widely used to reduce manufacturing costs while increasing efficiency and quality. GE’s Greenville factory makes large, gas-fired turbines that generate electricity in power plants around the world. GE’s power business has been losing money and is the top priority in Culp’s efforts to turn around the company.
リーン技術は、製造現場での効率と品質を高めながら、製造コストを削減するために、広く使われる手法である。 GEのグリーンビル工場は、世界中の発電所で電力を生み出す大型のガスタービンを製造している。 GEの電力事業は収益を失いつつあり、カルプが会社を好転させるための最優先事項となっている。

“No business consumes more of my time right now,” Culp said.
「私の時間をこれ以上消費する問題は、今のところはない」とカルプは語った。

Culp also affirmed on Thursday that GE expects negative free cash flow in the second quarter, and said GE’s power division plans to cut costs by about 20% over the next two years as it tries to become leaner.
木曜日の会議でカルプはまた、第2四半期にフリーキャッシュフローがマイナスになるとの予想を確認し、GEの電力部門は今後2年間でスリム化を図り、コストを約20%削減すると語った。

Culp said GE cut $800 million in costs at the power unit last year, and has plans to cut another $1.6 billion.
カルプは、GEは発電部門で8億ドルのコストを昨年削減し、さらに16億ドルのコスト削減を計画していると語った。

(Reporting by Alwyn Scott; Editing by Leslie Adler and Phil Berlowitz)

(引用終わり)

相田英男 拝