みんな、知ってて気づかないフリをしてるんだ。悪い奴らばかりだ

相田英男 投稿日:2020/11/20 12:26

 相田です。

 今回の学術会議の件については、本題よりも、周りでコメントする論者達の対応に、私は関心を持っている。中でも、Yoh.M.という元科学史家の、右翼まがいの発言については、この掲示板でも以前に強く批判した。日本を代表する科学史家の発言として、レベルが低すぎると私は感じたのだ。

 東工大の科学史の教授に中島秀人(なかじまひでと)という人物がいる。彼は東大駒場を卒業した、Yoh.M.の直接の弟子である。私は気づかなかったが、今回の問題について中島教授は、幾つかの新聞で、学術会議の成立時からの経緯を踏まえて、丁寧な説明をしていた。その内容は、広重徹の著作の記述を正しく踏まえており、非常に妥当なものだと私には思えた。中島教授の、科学史家として真っ当すぎるコメントを読むと、私にはYoh.M.への怒りが再燃するのを止められなくなった。

 実の処、私はYoh.M.の発言に、何故ここまで強い怒りを覚えるのか、自分でも内心よくわからなかった。それでここしばらくの間、私は、Yoh.M.についての論考をネットを中心に調べて、じっくり考えてみた。

 黒木玄(くろきげん)という、口の悪い数学者の方がいる。黒木氏は、Yoh.M.について「彼は高校レベルの微積分も理解できていない学者だ。あれでよくも、日本を代表する科学史家などと認められるものだ。あいつの書いた本を読む大学生は、貴重な時間を無駄にするだけだ」と、無茶苦茶にケナしているのを、私は知った。本を読むのが時間の無駄?、かどうかは置いとくとして、Yoh.M.の著書にある微積分の誤解については、他の幾人かの数学や物理の専門家でも、黒木氏の主張を支持する発言があった。

 これらの事実を私は、しばらく、じっくりと考えた。そして、ハッと気づいた。Yoh.M.は、あっち系の、福田信之に匹敵するレベルの、行っちゃっている学者なのだ、と。業界人はその事実をよくわかっており、敢えて言わないのだ、という事実を。それに気づかない私が、苛立ちをおぼえていただけなのだ。

「ナルホドなあ」と、頭の中から、モヤモヤが一気に消えて行くのを、私は感じた。そう考えるしか、状況を説明出来ない。やはり、アメリカ留学から帰国後に、駒場で村八分にされた中山茂(なかやましげる、戦後にフルブライト奨学生として渡米し、ハーバード大学から初めてPh.D.を授与された日本人研究者。駆け出し時代のT.クーンが直接指導した最初の弟子が中山氏だった。彼のゼネラル・エクザムの面接試験では、教官の一人にあのE.ライシャワーが − 駐日大使として赴任する前の − 出席し、激しく議論したという)の方が、遥かに理があったのだ。誰もがそれをわかっていたのだ。

 そうすると、Yoh.M.が駒場でこれまで指導した、多くの科学史家の弟子達は、皆、彼と同じレベルなのであろうか?という疑問が湧いてくる。しかし、中島教授の上の発言を読むと、そうとは思えない。おそらくは、Yoh.M.の弟子達も「しょうがねえなあ、でも、今更ホントの事言ってもなあ。先生の本を読んでも、どうせ誰もわかりっこないから、そのうち居なくなるまで、ほっとこうぜ」と、皆で内心は思っているのだろう。

 あれ程多くの駒場卒の学者が、全員アホであったならば、恐るべきスキャンダルである。駒場の教育とは一体何なのだ、と、全国各所の進学校や有名学習塾からの、激しい抗議や殴り込みが起きてもおかしくはない。流石にそこまでは、駒場も落ちぶれてはいない、という事だろう。

 しかしYoh.M.の所業にも、かなりボロが出始めていると、私には見受けられる。駒場の名誉の為にも、弟子の方々はそろそろ、真実をカミングアウトするべきではなかろうか?予備校の先生で「今でしょ」で名を馳せた、有名タレントの方は、Yoh.M.の駒場での教え子だったという。彼はYoh.M.のことを「私が知る限りで、最も頭の良い方だ」と、絶賛していた。しかし、あれが本当に駒場の優秀な先生だと、世間一般に認知されたままなら、将来の駒場の権威を著しく毀損するのではないか?、と、人ごとながら私は大変心配になる。

 まあ糸川英夫のような、無茶苦茶やって大学を首になった教授も、かつてはいたから、別にYoh.M.ごときを気にする必要は、無いのかもしれないが。

 気分がスッキリして、私は大変気持ちが良い。

 相田英男 拝