間抜けに見えるのは気のせいか?

相田英男 投稿日:2022/11/19 21:03

ぶっちゃけ、どうでもいいのだが、書いておこう。以下の筆者は、私の独断の決めつけによると、統一教会の信者である。文章の内容がモロに、勝共連合の方々の、ステレオタイプの原発推進文章の、そのままである。彼らムーニーの、原発推進賛成の先駆けは、なんと言っても福田信之(ふくだのぶゆき)大先生に由来している。物理学者である福田信之の先生は、あの朝永振一郎と武谷三男である。物凄い優秀な学者だったのだ、福田は。

しかし、福田は大恩人だった筈の武谷三男を、米国フルブライト留学から帰国した後に、統一協会に帰依する事で裏切った。その後の福田は、東京教育大学の筑波への移転騒ぎで、反対派の学生達の無茶苦茶大勢を(総人数は不明らしい)、退学に追い込んだり、中曽根に掛けあって、筑波の田舎に物理実験用の大型加速器を誘致したり、と、良くも悪くも大活躍だった。

一方の武谷は、共産党系の研究者達と連携して、政府が強引に進める(ように見えた)原発建設に、反対する主張を繰り広げた。日本の反原発活動家の、基本的な主張は、武谷が中心となり数名で執筆された、岩波新書の「原子力発電」という本の中で、ほぼ出し尽くされている。武谷以降の活動家は、この本の文章をテンプレートに使って、ただただ繰り返すだけである。「便所のないマンション」という用語も、この本の最後に武谷が書いたのが始まりだ。「便所」の部分が、品の良い「トイレ」に、あとから変えられているが。

でまあ、である。以下の文を読むと、「ああ、福田がいかにも言いそうな内容だ」という感慨のみが、私の脳内に込み上げてくる。原発推進派と反対派の論争を眺めると、結局の処は、福田と武谷の師弟コンビの発言を、それぞれコピーして、ひたすら繰り返すだけであるのに気づく。「みんな、よく頑張るね」と、感心するしかない。

以下の筆者を含めて、統一協会系の原発推進派が、大きく勘違いしている点が、一つある。福島原発事故の後で、原発の再稼働が遅々として進まない最大の理由は、筆者が記すような共産党の反対のせいではない。そうではなくて、死んだ元総理の安倍晋三にある、という事実だ。

安倍が総理の時代に、側近として重用され安倍を支えたのは、経済産業省系の大物官僚たちだった。経済産業省と東電を始めとする電力会社は、実は物凄く仲が悪いのだ。経済産業省の役人達は、太平洋戦争の前から、民間の電力会社を全部潰して、電力ネットワークと利権の全てを、国家で管理する事を目標に掲げている。なので、福島原発事故は、経済産業省の役人達にとって、待ってましたの大チャンスが転がり込んで来たのだ。

安倍晋三が総理だった間は、経済産業省は東電を、ここぞとばかりに弱らせるために、原発再稼働をサボタージュし続けた。だから、総理が変わった今頃になって、新設するとか、40年寿命を撤廃する、などの機運が出て来たのだ。ちなみにだが、40年過ぎてどれだけ使っても、「古いから原発が壊れる」事などないよ。

なので、であるが、「安倍総理は偉かった」と称えながらも、「原発を早く動かせ」という、統一協会系推進派の主張に、私は大きな違和感を感じるのだ。

私が間違っているのなら、誰か言ってくれ。

原発をさっさと動かして、早く電気を起こすべきだ、と、私もかねがね思っているよ。

(引用始め)

原子力を強化せよ(屋山 太郎)

今、世界のエネルギーや原料の供給網に劇的な変化が起きようとしている。例えばドイツは、これまで頼ってきたロシアの天然ガス市場から締め出されようとしている。同じくロシア産天然ガスに頼る日本には、日露友好交渉を行って現状を守れという意見もある。

しかしロシアはガスをドイツ叩きの絶好の材料と見ている。日本叩きにも当然利用するはずだ。日米を含む西側自由主義国対ロシア・中国の関係は、今後の国際秩序の大枠を形成するものだ。エネルギーの供給網も、この枠組みに沿って落ち着いていかざるを得ない。

国際NGO「気候行動ネットワーク」は11月9日、気候変動対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」に日本を選んだと発表した。今年で3回連続の受賞である。化石燃料の関連事業に巨額の公共投資をしたこと、岸田首相がCOP27(国連気候変動枠組み条約会議)への参加を見送ったことなどを理由に挙げた。

「化石賞」の受賞は国際的には恥ずかしいことだが、岸田首相はその恥を一挙に覆そうという提案を発表した。原発運転期間の上限60年の撤廃は、政権が長年温めてきたアイデアだったが、これを実現することになった。

これまで日本の科学技術の世界は、左翼の影響にどっぷり浸ってきた。日本学術会議は設立当初から共産党の影響力にさらされ、80年代には解体論が叫ばれていた。それから少しは浄化されたのかと思っていたら、菅前首相による会員候補6名の任命拒否事件があった。

ごく最近になって日本学術会議は漸く、軍事と民生双方で研究できる「デュアル・ユース(両用)」の科学技術研究を容認する方針を打ち出したが、時すでに遅し。軍事科学技術は諸外国に比べてすでに半世紀遅れた。共産党が特に原子力利用への反対に力を入れてきたのは、反対が中国、ロシアに対する協力に通じたからだ。原子力に関する規制については、あらゆる面に亘って厳格さを要求してきた。

そうした運動の結果、福島第一原発のような事故が起きると、原子炉等規制法は改定され、規制がいたずらに厳しくされた。運転期間の上限を原則40年に定め、規制委員会が認めれば1回に限り最長で20年延長できることになった。しかし福島原発の事故で上限を40年間に決める理由は何なのか。規制でいたずらに押さえつける態度にしか見えない。

米国は稼働開始から40年以降は、安全審査をクリアしさえすれば20年以内の延長が何度でも可能だ。英国・フランスには運転期間の制限はなく、10年毎の安全審査を実施することになっている。日本がこれからやるべきは最長60年の運転期間上限を撤廃する法改正だ。

今年6月時点で、フランスの原子力は全電源の約62%を占めている。米国は15.8%(7月)。日本は3.1%だ(国際エネルギー機関データ)。これからの日本は、原子力エネルギーの割合を圧倒的に増やして主力電源を安定させ、電気料金も世界最低レベルを目指していってもらいたい。

(令和4年11月16日付静岡新聞『論壇』より転載)

(引用終わり)

相田英男 拝