地球の電気7

澤田 正典 投稿日:2014/09/06 09:47

澤田正典です。会員番号2953です。今日は平成26年9月6日です。

つづき
 マグマについて説明します。マグマは高温高圧で水分を多く含む液体の岩石です。これは地殻内部において実に不思議な動き方をするので、火山学者たちが、そのメカニズムを解明するために四苦八苦しています。これを解明します。

 マグマは、高温であるうちは、電気抵抗が非常に低いです。これが重要な意味を持っています。そして、同じように電気をよく通す、地殻の層の下部に控えている、豊富な電子量を持つマントル層との間における、電気的な接続の有無によって、その動的活性が決まります。マグマの温度が下がって電気抵抗が大きくなったり、もしくはマントル層との間において、何らかの原因により電気的な断線が発生すると、そのマグマは動的活性を失います。

 地殻層最下部、つまりマントルとの境界面から、はるばると地殻表面付近まで浮上してきたマグマは、冷たい地殻に触れながら上昇してきますので、そのままでは温度が次第に低下して固まってしまいます。粘性が大きいですから、はるか彼方、地下60km以上もの深部にあるマントル層とのあいだで、対流によって熱交換しながらマグマに熱を連続供給することはできません。構造体内部における熱伝導は可能ですが、運搬できる熱量に限界があり、地殻に冷やされる速度と釣り合った部分で温度が平衡状態になります。この時点でマグマの動的活性も失われます。マグマがさらなる動的活性を獲得できるためには、別の方法で加熱されるメカニズムが求められます。

 マグマは、高温の状態かつ、マントル層との電気的な接続が維持されている条件下においては、電圧の加わった電線と同じ状態になっています。マグマと地殻との間に形成された境界面のことを火道と呼びますが、火道の周囲には、電離層から大気経由で供給されたプラスの電荷が集まります。この境界面からマグマの中に電流が流れることにより熱が作られて、マグマに熱量を与えます。(ニクロム線に電気を流して発熱させるメカニズムと同じです。電位差が大きいので、電流が少なめであったとしても、電力は大きくなります。)

 マグマは、地殻から冷却されながら強い圧力で抑えつけられていますから、熱量が追加供給されなければ動けないのです。

 地殻が、基本的には水平成分に積み重なった地層の集積になっていることと対照的に、マグマは鉛直成分の強い構造を持っており、多くの場合、マントル層との電気的な接続が成立しています。地殻内部には電気抵抗の小さい層が含まれており、こういった層と火道との交点において効率よく電流が流れることにより、地震を引き起こすような、極端な電荷の蓄積を回避できる場合があります。そのため、火山性地震が発生しない場合においても、マグマは動的活性を獲得できる場合があります。事実、表面上なんの前触れも無いにも関わらず、いきなりマグマが動いたかのような現象が発生している様子です。

 マグマの動的活性は、電離層から大気経由で供給されるプラスの電荷の量に比例します。(捉え方の問題ですから、マントル層からのマイナスの電荷、つまり電子の供給量に比例すると言い換えても、同じ意味です。ただ、電離層から大気を介して供給されたプラスの電荷の分だけしか、マグマの中の電子も移動できません。)

 火山活動も地震活動と共通したエネルギー供給のメカニズムを持っていますから、電波の伝播異常や電離層のモニタリングといった手法で、火道に供給された電荷等の電気的なエネルギーの積算量を求め、マグマに追加された熱量として換算できる可能性があります。そこから噴火予測までは、少し基礎研究が必要になりそうですが、熱量がわかれば、糸口は十分に掴めています。地殻変動の監視は、ここで役に立つと思います。なぜなら、どの程度の熱量が加わったときにマグマ溜りが体積変化を起こすのか、対応関係が掴めるからです。マグマ溜りの体積変化と噴火活動との時間的、規模的な関係は、火山ごとに経験的なパターンを観察する意味がありそうです。

 群発地震についても、同様のメカニズムに基づいた推理をする価値がありそうです。ただ、群発地震の場合、要因となる物質が複数あるようです。マグマなのか、水なのか、別要因なのか、ケースごとの分析が求められます。

 プレート境界型の大地震が発生すると、そのプレート境界周辺の火山の活動が活発になる傾向があるといわれています。これは、地震を起こした絶縁体の周囲に集められていたプラスの電荷の一部が、その周囲にある火道へと移動して、マグマの加熱に用いられることによります。火道がある場合、水平方向にも電場が存在するので、電荷も水平方向に移動できることになります。プレート境界型の地震に限らず、火山活動と地震活動は、同領域において同時に活発化しやすいことが知られています。

 海底火山や火山島の場合、陸上にある火山とは少し、電気的な環境が異なります。海水が良導体で電気をよく通すため、周辺海域のかなり広い範囲を対象として、大気から受け取ったプラスの電荷を吸収できるようです。ハワイ島の火山が、そのパターンです。四六時中、マグマが溢れ出ています。もちろん、マントル対流の効果も加わっているのでしょう。
 (小笠原諸島の西方にある、西ノ島という火山島において、昨年から大量のマグマの流出が続いております。この火道によって、周辺海域の電気的なエネルギーを吸収している可能性があります。)

 火山が噴火すると、火山雷といって、噴煙の中で活発な放電現象が見られることがあります。これはマグマが電子を大気中に放出するためです。電離層と火口との間で、大気を介した電流が流れます。どちらも電極のようなものです。

 雷に関して言えば、私たちが普段経験する夏の積乱雲による雷や、北陸地方における秋から冬に見られる雷も、意味は同じです。赤道付近の、熱帯地方における雷も、同じです。地殻や海面から放出された電子を、大気を介して電離層へと届けているのです。例外として、移動性の積乱雲の中に蓄積された大量の電子の、ほんの一部だけが、地面との距離の短さと、大きな電位差によって、落雷として地殻表面に逆流する場合があります。

 電子は、必ず、地殻から電離層へと移動します。電子は、電離層から地殻へ向かっては、動きません。そのような電場は存在しません。大気の成層圏においてみられる、スプライト等の放電現象では、対流圏の最上面である圏界面から電離層へ向けて電子が移動しています。
つづく

 澤田正典 拝