[956]福島に行ってきました

広島・西 投稿日:2012/05/06 20:46

4月28日から2泊で「福島難民キャンプ見学ツアー」に参加しました。
副島先生始めスタッフの方々の入念な下調べの結果、非常に効率良く組み立てられたスケジュールだったと思います。当初、あちこちの『難民キャンプ』に50人連隊がドカドカと踏み込むのか!?と、幾ばくかの不安を抱いておりましたが、その辺りは折り込みずみだったようで、実際はビッグパレット近くの仮設住宅を静かに見学した他は、警戒地域が縮小された後に新たに設けられた検問所、人の気配が無くなった町並み、流された車が何台もそのまま放置されている海岸付近など、県内各地の原発事故・地震と津波の被災地の現状を見学、さらに各地域で放射線量の実測をしたり、一風変わった農法を用いておられる生産者のお話を伺ったりといった、盛り沢山な内容でした。
飯舘、南相馬、浪江等々、去年の3.11以降、何度も耳にした地に実際赴き、その場で五感でキャッチすることは、メディアを通して伝えられるものよりも、遥かに情報量が多く、かつ情報の質が違うものです。 
放射線量が高い為に人気(ひとけ)が無くなった地域では、奇妙な静けさと寂寥感が漂っています。横倒しになった車が取り残され、グニャリと曲がったガードレールが津波の威力を物語る地域は地面が陥没しているのか未だ水が引いてない部分も多く、まるで湖のように見えたのですが、元々は水田だったとのこと。その広さから、米の一大産地であっただろうことを偲ばせます。道路の復旧がされていない為に重機が入れないこともあり、元通りにするのも当分先でしょうし、また仮にそうなったとしても、作物は「放射能汚染」のイメージから、当面は売れないだろう…。となれば、この先何年も、この地は放置状態かもしれないと思わざるを得ません。
ツアーに一緒に参加した友人は、前日に宮城県石巻市を訪問しました。かの地も一面に瓦礫の山が広がっており、片付くには時間がかかりそうだと聞きました。しかし、石巻は観光客も増えて復興への意気込みのようなものが漂っていたようです。
そういった「やる気」は宿泊した三春町で感じました。
ここには樹齢千年を誇る、滝桜が観光の呼び物になっており、この木以外にも桜の名所がいくつもあることから、県外含めてかなりの観光客が訪れているようでした。聞く所によれば、桜のシーズンだけで35万人の集客だとか。驚き桃の木、桜の木です。女性陣が宿泊した若松屋旅館はもてなしの心に溢れた宿で、気さくな女将さんが切り盛りされてます。桜のシーズンが終わっても、新緑や紅葉などが楽しめそうです。おススメ!(http://www.naf.co.jp/wakamatsuya/
いつもより10日ほど桜の開花が遅れ、ドンピシャで丁度満開時に当たり、さらにリンゴ、コブシ、レンギョウ等、三春町だけではなく、県内行く先々で春爛漫の景色を満喫できました。木々だけではなく、フツーの蛙、フツーの蝶々も沢山。つまり、放射能の影響で、脚が余計に生えていたり、モスラのように巨大化していたりということはありません。
原爆投下直後、広島は「70年間、草木が生えないだろう」と言われました。しかし、実際は、焦土となった地には直ぐに草木が芽吹き、その後、全国各地から贈られた苗木が67年を経て大木に育ち、広島は緑溢れる地になりました。私自身は当時の状況は知りませんが、他県に支えられて広島が復興できたと思います。被爆二世の一人として、特に原発事故による被害を受けた福島に対しては、常に当事者意識を持ち続けたいと思っていますし、また今後の復興に向けて、どんな支援ができるのだろうかと常々考えています。単発でなく、自己満足に終わらず、そして福島の人達のやる気を喚起できるような形の支援について、学問道場の他の方のご意見等も参考にしつつ考えたいと思います。
ともあれ、今回のツアーは計画立案から内容まで、全て三ツ星!皆様、ありがとうございました。