[867]フフホト通信

石井裕之 投稿日:2012/02/02 21:55

明けましておめでとうございます。内蒙古の石井がおくるフフホト通信です。
今年も中国では盛大に御正月(春節といいます。旧暦の正月でお祝いをします。)をお祝いしました。その模様は後程。

>>[866]中国ガス田に講義する滑稽さ の六城さまの投稿に同様の意を持っています。
中国でも、内蒙古は地下資源の豊富な地方として有名です。石炭、石油、レアアース、レアメタル、金、銀、銅、ダイヤモンド・・・。ほとんど何でもござれの勢いですが、そういった地方ですから、地下に対する意識も当然高く、地下資源専門に管理監督する役所もあるくらいです。
石油に比べると石炭は分布範囲が広く、政府から開発許可を受けると必ずと言って良いほど見付かります。後は質が良いかどうかだけの問題です。
石油もこちらでは普通に民間が開発しています。20億円かけて1500m掘ったというのは当たり前の話として聞くことが出来ます。
コンビニや八百屋並みとは言いませんが、要するにごくごく一般的な産業として地下開発事業というのが海外には存在する、ということです(特にカナダやオーストラリアに多いそうです)。
片や日本では、全国各地の炭鉱の閉鎖と共にそういった地下に関するプロが死滅していったのは事実でしょう。仕事がないのですから当たり前の話ですね。「山師」も消滅しました。
3年ほど前、日本の「お金持ち」を自称する方がこちらに来られて、何か金儲けのタネはないものか、と尋ねてきたので、石炭の山は如何ですか、と持ち掛けたことがあります。
その人は日本に帰って色々な人に相談したらしいのですが、誰に聞いてもキチンとした解答が得られなかったのでお流れになってしまいました。件の山から良質な石炭がフンダンに出てきているのは言うまでもありません。本当に惜しいことです。
実はそのようなチャンスはここ中国だけでなく、モンゴル共和国にも実に沢山転がっているのです。日本の政府もそのような情報は絶対に掴んでいる筈ですが、なかなか公表しようとしません。燃料資源はどうしてもアメリカを通して買わなければならないのか、という穿った見方をしてしまいます。

閑話休題・・・
「毎日中国経済」のインターネットサイトから、2月1日付けのニュースです。
(貼り付け開始)
中国の温家宝首相は1月31日の国務院第6回総会に出席し、不動産市場の規制を強め、投機・投資的ニーズを抑制する政策・措置を続け、住宅価格の適切な下落を促すと表明した。大衆型分譲住宅の供給を拡大し、中低所得者向けの住宅の建設と管理に力を入れる考えだ。
不動産市場規制について、温首相は「厳しく投機的・投資的ニーズを抑制する政策・措置を続け、住宅価格の適切な下落を促す」を表明。温首相が住宅価格の適切な下落に触れたのは、過去2年で5回目。
また、全国不動産ブローカー連合会の楊楽渝秘書長によると、住宅の購入・抑制策は、2012年も不動産市場規制の主眼であるという。政府は不動産市場のマクロ規制政策を、その他の5重点活動とともに維持する方針だ。
(貼り付け終わり)
また、新華社通信のネット版では
http://jp.xinhuanet.com/2012-01/28/c_131379240.htm
↑上のように報じています。
特に興味深いのは、「毎日中国経済」の中の温家宝の発言で、「・・・住宅価格の適切な下落を促す」というところでしょうか。
とても面白いのは、中国政府が非常に上手く資本主義の枠組みを使っているな、と思えるところです。
例えば、不動産投資です。始めは地方政府に関係の深い連中が土地を安く購入してマンション開発を始めました。驚くほど儲かった筈です。今からほんの15年ほど前の話です。
そこで二匹目のドジョウを狙う輩が全国に現れてきます。政府は開発の為の図面を作るだけで、後は勝手に民間の手で建物が出来ていく、というスンポウです。勿論不動産は開発規模も大きくなりますから、地方都市のひいては中国全体のGDPを押し上げるのに効果を示します。
これを政府が主導して計画的に、国家の企業が開発する、となると、ここまで短時日での開発は絶対に行われなかったでしょう。民間が我先に儲けを競うからこその成果です。
一転、その不動産が過熱気味になってきたので、そこにブレーキをかけていきます。不動産開発事業者に資金を提供しているのは、どうせ国立銀行ですから不動産屋が潰れれば土地も建物も国のモノに却ってくるだけのことです。あとはそれを低所得者向けに安く提供するプログラムさえ作ってしまえば御仕舞い!という手際の良さ。お見事!
去年の9月に、副島先生と一緒に観に行ったオルドスという石炭成金の街のマンションは、当時8000元~9000元/平米という単価でしたが、今では3000元/平米にまで落ちてしまっています。
100平米の3LDKのマンションが、3ヶ月の間に総額1000万円から400万円弱にまで一気に落ちてしまった計算です。しかもそれでも買い手が付きません。不動産会社がバタバタと潰れて、残った建物を銀行が回収している、ということです。

それでは石炭成金たちの次の儲け先はどこでしょう。
政府も手を緩めません。
例えば彼らに100億元(凡そ1200億円)積ませて、高規格道路(有料道路)を建設させます。石炭成金はその通行料を20年間自らの収入とすることが出来ます。
大体7年~8年で元が取れる計算になるそうです。
こうして、経済の源泉である「カネ」が停滞しないように、政府主導でしっかりと動かしているのです。
そのことの可否は敢えて問いますまい。日本と比較しても仕方のないところです。

冒頭で述べました、こちらの正月です。
去年の年末から、コーヒーショップを開ける為の準備を最大船速で行ってきました。ようやく明日、試験開業が出来るところまで漕ぎ着けましたが、こちらの年末に市内を見回りにきた役人(ほとんどチンピラの類)が我々の店を見て一言、「おい、赤い提灯を玄関にぶら提げておけよ!」。
中国の街中のどこでも眼にすることが出来る赤い提灯は、実は行政命令によって民間のお金で掛けられているものでした。
大晦日から正月の明け方まで、延々と花火や爆竹が繰り広げられるのは例年通り。不況で花火の数が減ったなどと、どこかの国の寂しい話などお構いなしです。
この騒ぎは、旧暦の1月15日まで続きます。それまで私の胃がもつかどうか(白酒の飲みすぎ)・・・。