[833]鷲田小彌太(わしだこやた)氏の書評文 と 吉本隆明(よしもとりゅうめい)の態度表明の文 を 載せます。
副島隆彦です。 私たちが書いて出版した「放射能のタブー」(KKベストセラーズ、昨年11月刊)への好意的な書評を書いてくれた 評論家の鷲田小彌太(わしだこやた)氏の 日刊ゲンダイ2011年11月29日 の書評文をここに転載します。
今、メールで連絡を取って、鷲田氏からさきほど転載の許可をいただきました。
それから、私が長年、尊敬する思想家の 吉本隆明(よしもとりょうめい)の 原子力の研究、開発の継続を続けるべきだという言論の 片鱗の文を載せます。
副島隆彦拝
(転載貼り付け始め)
鷲田小彌太の読書日日
2011年12月2日 タブーに挑戦する『放射能のタブー』
いよいよ12月である。年の瀬だ。ようやく白一面になったが、今日も日差しが強い。仕事場の暖房は止めてある。 11/29発売の「日刊ゲンダイ」に載せたコラムを再録する。
《コラム、一刀両断》 放射能は怖い、見えないから怖い、と連呼するみなさんに読ませたい本がある 1986年のチェルノブイリ原発爆発事故で、当時の発電所所員134人は1000~8000シーベルトの線量を浴びた。直後に28人が、さらに事故後25年間に約20人、計48人が死亡した。
エッと思うかもしれない。福島原発で被爆して死亡した数は、0、今後とも被爆が原因で死ぬ人が出る可能性はない。こう言い切るのは副島隆彦である。最近著、副島編著『放射能のタブー』(KKベストセラーズ)においてだ。
△原爆死者数?
長崎・広島の原爆投下で直接死んだのは7万人と16万人である。膨大な数だ。(ちなみに誇大視される南京大虐殺の数に匹敵する。)これは多くの人が知っている。
だが60年間、放射能のせいで800人がガンで亡くなった(にすぎない)という事実を何人が知っているだろうか。これにもエッと驚かされるだろう。それに被爆者(手帳保持者)の平均寿命は短くない。
△CTスキャン全廃?
原発や放射能は危険でない、といいたいのではない。「原発安全」は神話だ。しかし原発は「危険」である、人間に統御不能である、だから「全廃」せよと主張し、その実行を率先して(ドイツ政府のように)迫るのは、理論的にも実践的にも間違っている。総じて自然であろうが技術であろうが、危険のないものは少ない。問題は「危険度」である。
放射能は危険である。しかし1ミリシーベルトでも浴びれば身体に危険だというのは、科学(=事実)ではない。CTスキャンを行うと瞬時に10ミリシーベルトの線量を浴びる。1ミリで危険なら、CTスキャンの全廃を主張しなければならない。
△5シーベルト
副島は恐ろしいことをいう。「5シーベルト以上を一瞬のうちに浴びたものだけが死亡する。それ以下は死なない」(1シーベルト=1000ミリシーベルト)。だがこれは副島の独断ではない。東海村で99年9月30日に起きた事故のデータから引き出された結論だ。
被爆し、16シーベルト浴びたOは83日、6シーベルト浴びたSは211日で亡くなったが、1~2シーベルトしか浴びなかったYは、回復して退院した。
△原発跡地利用?
原子力安全委員会と安全・保安院は、4月12日の共同会見で、36万テラベクレル(テラ=兆)~56万テラベクレルの放射性物質(チェルノブイリの10分の1)が放出、と発表した。副島は、1000テラベクレルにすぎない、過小発表が政府の常道だ。被爆20キロ圏内に廃棄物最終処理所構想があるからだ、という。奇々怪々か?
(ここまでで、新聞掲載の評論文の転載貼り付けは終わり)
Sent: Monday, January 16, 2012 4:47 PM
Subject: [fukushima:00821] 鷲田小彌太さまへ 副島隆彦から
札幌大学教授
鷲田小彌太 (わしだこやた)さまへ
副島隆彦(そえじまたかひこ)から
お久しぶりでございます。 最後にお会いしてからさえ 20年ぐらいがたったのではないか、と思います。
私は、その後、静岡市内にある 私大に 就職して 大学教授生活を12年間 送りました。鷲田さんが昔、お書きになって評判となった「大学教授になる方法」が 大きくは役にたったのだと思います。
3年前に 自分の原稿書き と 本つくりが きわめて忙しくなりまして、大学を辞めました。今は、筆一本で生活しています。 熱海に仕事家(しごといえ) を構えて、そこと東京を往復しています。
このたびは、私が弟子たちと15人で書きました 「放射能のタブー」(KKベストセラーズ刊) を書評していただき、それも大変好意的 積極的に、「奇奇怪怪か?」 と 評価していただき、ありがとうございます。
現在もなお、「福島第一原発から漏れた、これぐらいの微量の放射能では日本人の人体には害はない。ひとりの病人も出ていない。これからも誰も死なない」と主張することは、今でも、ごく少数の言論になっています。
私は、現在のごくごく微量の放射能の危険を声高(こわだか)に喧伝し、自分の脳に入ってしまった恐怖感情に凝り固まって、コワイコワイを連呼する船頭人間たちとの言論戦を弟子たちと続けるしかありません。
鷲田さんの書評文が載った 貴サイトの 「 鷲田小彌太の読書日日」 の文を 担当の編集者が 送ってくれましたので知りました。 ありがとうございます。
私は、今も、昔とまったく変わらない生き方をしていまして、ずっと、ずーっと、 ずーーっと、 日本国内だけでなく世界の 「大きな枠組みの中の諸真実」を 一切の遠慮をしないで 暴き立てるように書くことを続けています。 自分の弟子たちにも、「公共の利害(=国民の利益)に関わることなら、恐れることなく真実をどんどん書いて公表しなさい」 と 教えながら、 副島隆彦の学問道場 という サイトを もう12年間続けています。
お願いですが、鷲田さんの 私と弟子たちの本 へのこの書評文を、 学問道場の 総合掲示板である 重掲(おもけい) に このまま転載させてください。
今日は、それだけを お伝えします。 あ、ところが、鷲田さんのお書きの書評文の中の、一点だけ、 「 チェルノブイリ・・・発
電所所員134人は1000~8000シーベルトの線量を浴びた。」 の 箇所の記述は、 これは 誤記です。
この点は、今度の原発事故、放射能漏れ 問題で、ものすごく重要な 事実および、数字(=数値) に関する 知識です。 ですから、私の 指摘を、どうか、しっかりと、 再度、鷲田さんご自身が、 調べて検証してください。
私は、おっとり刀で、昨年3月の 福島第一原発の事故の直後すぐに現場( 正面玄関前 ) まで駆けつけて、放射線量を、自分の技術能力の及ぶ限りで、弟子たちと測定しました。 それ以来の10か月で、 それまで放射能のことなど何も知らなかったのに、我ながらずいぶんと勉強しまして、今では 半分専門家のようになりました。 私なりに知識 と情報 を 集積し、思考を積み上げました。
×「チェルノブイリ・・・発電所所員134人は1000~8000シーベルトの線量を浴びた。」 は、
これは、 〇「チェルノブイリ・・・発電所所員134人は1~8シーベルトを浴びた」 と ご確認の上、訂正をお願いします。
私たちの本で、 ロシア科学アカデミーの ラファエル・アルチュニアン氏 ( ロシア政府の 正式のチェルノブイリ問題の最高の責任者。この25年間ずっとずっと現場で 研究している。日本で言えば、原子力保安院の副院長の立場の人 ) への 私、副島隆彦の インタビュー の中での、 アルチュニアン氏の 発言が、
「チェルノブイリ・・・発電所所員134人は1000、3000、8000ミリシーベルトの線量を浴びた」 となっていましたので、 それで鷲田さんが、この点を 理解していながら、 うっかり この 「ミリ」 を抜かして、 日刊ゲンダイの 書評文 を書いたのだと思います。
この 「ミリ」 がつくか、つかないか 問題は、実は重要です。 現在も日本の各所で繰り広げられている 「一体、どれぐらいの 放射線量が、どれほど 人体に危険か、影響を与えるか。微量なら与えないのではないか」 の 議論の 中心に横たわっています。
ですから、アルチュニアン発言は、鷲田さんの文では、 〇 「チェルノブイリ・・・発電所所員134人は1~8シーベルトの線量を浴びた」 と、
引用されるべきだったのです。
たしかに、5シーベルト、8シーベルト 浴びた チェルノブイリ原発の職員たちは、28人が 爆発事故から3か月以内に死にました。
この シーベルト、 「ミリ」 シーベルト 、「 マイクロ」 シーベルト の区別の 問題は重要です。さらには、 「 per hour (パー・アウア 。1時間あたり)」と は、すなわち 「 瞬間 」(に放射線を 浴びた量) ということである。
それに対して、放射線量の 積算の計測器に表れる 「 per year ( パー・イヤー。 1年間 あたり) 」が、すなわち こっちが正確な積算量(せきさんりょう) として、表れる 放射線量なのです。がん患者の積算量や、原発作業員たちの積算量です。 このことを、しっかり分かることが、 放射能の人体への危険・影響問題の核心点であります。
鷲田さん。 何かの機会に、東京でお会いして旧交を温めることができますことを楽しみにしています。 すでにいつの間にか私たちの世代も人生の
坂を越してしまいました。 若い人たちに席を譲るべきときが来ています。
このたびの拙本への書評をありがとうございます。重ねてお礼を申し上げます。
副島隆彦拝
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 追加で書きます。 上に転載した、鷲田こやた氏の書評文の最後の2行 について、私、副島隆彦が、読み手たちにとって加筆して誤解のない文にします。
前掲の 「 副島は、1000テラベクレルにすぎない、過小発表が政府の常道だ。被爆20キロ圏内に廃棄物最終処理所構想があるからだ、という。奇々怪々か?」
は、「 副島は、1000テラベクレルにすぎない、( 副島隆彦注記。私が、尊敬する西村肇=にしむらはじめ=東大工学部名誉教授の、原発事故後の、すぐの専門誌「現代化学」誌の2011年5月号への論文発表と、同じく記者会見で、「福島第一原発から放出された放射性物質は、チェルノブイリ事故の10万分の1」と算出したと発表したことを、副島隆彦が高く評価しての記述である。)
過小発表が政府の常道(であるべきなのに、そうしなかったのはなぜ)だ。(副島隆彦加筆。こにには日本政府の策略がある。なぜ、日本政府は、このような過大な数値の発表をして、日本国民を恐怖に陥れることにしたのか。それは、) 被爆20キロ圏内に(密かな)廃棄物最終処理所構想があるからだ、(そのために、住民をなるべく原発の近くに近寄らせたくなく、出来れば、福島県外に自主的に流出することを狙っているからだ。福島の住民と日本国民を恐怖心で、脅迫して、自分たちの管理下に置きたいからなのだ。副島隆彦加筆、終わり)という。奇々怪々か?」
となります。
副島隆彦です。さらに続けて転載するのは、私が、青春期からずっと尊敬している言論人、文学者(詩人)、思想家の吉本隆明(よしもとたかあき、存命。87歳で存命)の 原発・放射能問題への、果敢なる発言です。
(転載貼り付け始め)
(副島隆彦注記。以下は、J-CAST ニュース に 載ったらしい)
2012年01月11日
http://www.j-cast.com/tv/2012/01/05118120.html?p=5
【原発事故】 思想家・吉本隆明氏 「人類が積み上げてきた科学の成果を一度の事故で放棄していいのか!」
「週刊新潮」 は大御所・吉本隆明2時間インタビュー。
日本の思想界を常にリードしてきた本物の「知の巨人」が、 日本に漂う反原発に異を唱えるというのだから読まざるをえまい。巨人は以前から原発容認だったらしい。
今回の福島第一原発事故以来、原発を中止せよという声が高まっているが、それは乱暴な素人の論理だと断じる。
「今回、改めて根底から問われなくてはいけないのは、人類が積み上げてきた科学の成果を
一度の事故で放棄していいのか、ということなんです」
と宣い、徒に恐怖感から文明が生み出した原子力という文明を水泡に帰してしまうのは、
「人間が猿から別れて発達し、今日まで行ってきた営みを否定することと同じなんです」と熱く説く。
われわれが今すべきことは原発を止めてしまうことではなく、完璧に近いほどの放射線に対する防御策を改めて講じることで、 新型の原子炉を開発するのと同じぐらいの金をかけて、放射線を防ぐ技術
を開発するしかないとおっしゃる。
かのアインシュタイン先生まで持ちだし、彼ほどの科学者でさえ原爆を開発することに賛成しながら、 被害の大きさにショックを受け態度を翻したように、結果をとことんまで想定できてい
たのか疑わしい。
だから常に人間は新技術を開発する過程で危険極まりないものをつくってしまうという大矛盾を抱えているのだ。
「しかし、それでも科学技術や知識というものはいったん手に入れたら元に押し戻すことはできない。
どんなに危なく退廃的であっても否定することはできないのです。それ以上のものを作ったり考え出すしか道はない」(吉本氏)
(転載貼り付け終わり)
(副島隆彦です。さらに私と弟子たちへの文を載せます。)
内部連絡網へ
2012年1月17日
副島隆彦から
以上の ように 私が、自分の先生としてずっと尊敬し続けた 思想家 吉本隆明(よしもとりゅうめい)が、原発事故について、すぐれた発言を、昨年 発表しています。
小室直樹(こむろなおき)先生 も、生きていたら、きっと、このように 「人類の 科学の進歩を止めることはできない。原子力の 研究、開発を、さらに押し進めよ」 と言ったと思う。 私は、このふたりの思想家の 弟子であったことを、本当に自分の運命であり、誇り高く思っています。 ドイツであれば、ショーペンハウエル、ニーチエ の 道だ。
だが、世の中は、放射能コワイコワイ派のバカたちが、今も猖獗(しょうけつ)を極めている。 私たち学問道場は、少数派の言論として追い詰められている。 「今度の放射能漏れは、たいしたことはなかったのだ、よかっや、と考えている国民は、一割もいない。おそらく 5%だろう。
あとは、放射能コワイ派ですよ」 と、先日、1月11日に対談した 宗教家の中矢伸一(なかやしんいち) 氏 に、私が言ったら、「 (たったの)5%ですか」と、緊張した表情になられた。
誰か、昨年の 5月末の毎日新聞 と それから、6月?の 日経新聞 にも載った、 吉本隆明 へのインタビュー記事 を、デジタル文にしたものを探し出して、重掲に載せてくれませんか。 見つからないなら、私が、自分でファイル保存してある 新聞記事から、探し出します。
私たちは、このように 孤立しながらも、真実の光を求めて、このまま突き進むしかない。 副島隆彦拝
(転載貼り付け始め)
副島隆彦拝