[783]ロン・ポールの「連銀を廃止せよ」の翻訳とアメリカ大統領選挙情勢
ロチェスター通信 2012年11月17日
学問道場の皆様こんにちは
アメリカのニューヨーク州の北のはずれのロチェスターに住んでいる佐藤研一朗です。
(副島先生に送ったメールを手直しして掲示板に投稿しています。)
この夏はたった三ヶ月間でしたが日本滞在しました。学問道場の仲間と充実した時間を過ごせたことが心に残っています。
個人的には自分の故郷が被災したことで重たい気分でいましたので、志を共にする仲間に会えたことが励みになりました。
ロン・ポールの「連銀を廃止せよ」(END THE FED)の翻訳が順調に進んでおり、今週中に下訳を終え、来週くらいで文章の手直しを終わらせる所まで来ました。これは3月に発売されたロン・ポールの「他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ ―リバータリアン政治宣言―」→ http://ow.ly/7wRJh に継ぐ本です。前作は、政治・経済全般をリバータリアン的な視点で紐解いていく本でしたが、今回の本はタイトルどおり、アメリカ中央銀行の連銀 について語った本です。
中央銀行が何の裏付けもない紙切れのお金を沢山すり、政府が戦争や福祉にお金を使ってしまうということが、バブル経済や現在の金融崩壊の根本的な原因なのだという趣旨の本になっています。
日本でも日銀による窓口指導によるバブル発生や、0金利という価格統制をもう10年以上続け、政府の国債増発の手助けをしています。失われた20年の正体は、中央銀行を使った民間から政府部門への富の移転だったとその内語られることになるでしょう。
さて、今アメリカはまさに大混乱という感じです。アメリカはこれからどうなるんだろうという危機感を人々から感じます。
日本のニュースでも報道されているでしょうが、オキュパイ・ウォールストリートのような運動が各地に広がっていくような時代になりました。何が起きても不思議ではない時代です。
ロ チェスターの中心部の公園でも、職がない、うらぶれた若者たちが集まって抗議活動をしています。公園にはテントがたくさん張ってあって、どうも自分には難 民キャンプのように見えます。まあ、遊びに行くと、政治や経済をいつでも見知らぬ人と話しあえるので、自分は好きですが。
大統領選挙の情勢ですが、共和党予備選挙まで50日と迫って来ました。(翻訳が終わったら急いでくわしい報告を書きます。)
共和党予備選挙はまさに大混乱という感じです。際立ったフロントランナーがいない選挙で、有権者もまだ誰に投票するか決めていないという感じです。一人の候補者が上がってきては、また落ちていくというくり返しになっています。
夏 に参戦したリック・ペリー テキサス州知事も、最初は支持をのばしましたが、失速しました。先月支持を伸ばしたピザ屋の黒人CEOのハーマーン・ケーンもセクハラ・スキャンダルで、 落ち気味です。ここ数週間でギングリッチが上がって来ましたが、今日のニュースでフレディマックから2億円相当をコンサルタント料をもらっていたという報 道がされていました。これはかなりのマイナスでしょう。新しい候補者が浮上するたびに、トップのマサチューセッツ州の元知事のミット・ロムニーから支持を 奪っていくという感じで、彼の支持も伸び悩んでいます。
ロン・ポールはメディアからの完全な無視にも負けず、支持を少しずつ広げています。全国の世論調査でこそ4位あたりですが、序盤戦のアイオワ州、ニューハンプシャー州の世論調査では、どちらとも二位につけています。
ア イオワ州の党員集会が予備選挙の一番最初で1月3日です。昨日の世論調査では、一位のケイン20%、ロン・ポール19%、ロムニー18%、ギングリッチ 17%と横一線の大接戦になっています。党員集会はただの投票と違って、熱烈な支持者がいるロン・ポールのような候補者に有利です。もしロン・ポールがア イオワ州で勝てば、彼が共和党から選出される可能性は現実的なものになると思います。
恐らく序盤戦の予備選の結果を見て、誰に投票するか 決める有権者が大半でしょうから、アイオワ州、ニューハンプシャー州を制する候補が予備選挙を制するという形になると思います。前回、全く注目されていな かったマケインがニューハンプシャー州で勝って、予備選挙を制したのと同じ様になると予想します。3月6日のスーパーチューズデーでだいたい決着がつくだ ろうと思います。
それともしロン・ポールが共和党予備選挙で選出されなかった場合は、第三党から出馬するという可能性も少しですが残って います。ロン・ポールはすでに今期での議員引退を表明していて、共和党を割って出ても失うものはないでしょう。その場合は、来年の11月までは話題を振り まいてくれると思います。さてどうなりますか。
「他人のカネで生きているアメリカ人に告ぐ ―リバータリアン政治宣言―」→ http://ow.ly/7wRJh をまだお読みでない方、是非、是非お買い求め下さい。混乱する世界への提言が詰まっています。
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佐藤研一朗 拝