[66]中国の内蒙古から

石井裕之 投稿日:2010/08/22 11:39

[65]に付随して、中国の内蒙古からお伝えします。
現在、中国では文字通り各地でマンションやテナントなどの高層ビル群の建設ラッシュに見舞われています。私などは、その恩恵に預かろうと日本から建造物基礎工事用の機械を中国に導入し、今アジャストしている最中なのですが、その当事者の私ですら想像出来ないくらいの勢いで建設が進められています。そのことを裏付けるような記事を見付けましたので、以下に貼り付けてお知らせします。

(貼り付け開始)
「中国の住宅の半数以上、今後20年で建替え必要」
 中国不動産金融総会がこのほど広州で開かれ、現在注目を集める国内旧市街地改造問題に特化した専門討論が行われた。国家住宅都市建設部・政策研究室の主任を務める中国都市建設経済研究所の陳淮・所長によると、今後20年で中国の住宅の半数以上は建替えが必要という。

 陳所長の見解では、中国の旧市街地改造・都市化の進展は10年前にすでに大規模に展開された。「さらに少なくとも半数以上の住宅は、今後15-20年で建替えが必要となる」。

 陳所長によると、1949年以前の住宅はすでに築60-70年以上経過しており、一部は歴史的文化価値を有する。1949-1979年の住宅も同様だが、歴史的理由により、解放後30年に建設された住宅の多くは戦闘準備住宅、過渡的住宅、簡易住宅であり、一部の歴史的価値を有する住宅を除き、すべて取り壊す必要がある。

 「今都市部に残っている住宅は1979-1999年に貧困からの脱出期に建設されたいわゆる『房改房(公共型優遇住宅)』や福祉分配住宅で、保留する価値はある」。「房改房」などはあと10-15年は使用可能だと陳所長は語る。しかしこれらの住宅の当初の目的は貧困からの脱却であり、面積が小さく、コミュニティ管理体制、インフラなどで現代都市のニーズに適応していない。この点から、結局市内で長期的に保存されるのは1999年以降に建設された住宅と陳所長は指摘している。(編集HT)

 「人民網日本語版」2010年8月9日
(貼り付け終わり)

上記の建物の建造に加えて、今の中国では「高速道路」「高速鉄道」「地下鉄」及び「それらに伴うアクセス道路、鉄道」や「駅周辺の再開発」といった事業を一気に推し進めているのです。しかも、これらの計画を進めるに当たって、政府は上手に民間の手を借りているのです。ここに、チャイナ・ドリームの一端があるのですね。政府の開発計画を逸早く察知した事業家は、そのプロジェクトを政府に成り替わり取り仕切ることが出来るようになっている訳です。マンション計画など、その最たるものと言って良いでしょう。
しかし、土地は基本的に「国有財産」である筈です。分譲されたマンションはどのような形でその財産権を担保されるのでしょうか。
これもご安心下さい。マンション購入時の契約書には、「土地については政府から70年の借地権を得ており、仮にその期間を満了してもその契約満了時点で再度継続使用契約をすることが出来る」旨、予め記載されているのです。
では、日本人がそのマンションなりテナントなりを購入することが出来るかどうかですが、技術的には可能です。外国人専用居住区のようなものもありますし(周りのものよりも単価は高めに設定してあるようです)、現に中国で不動産を購入していらっしゃる日本人の方も沢山いらっしゃいます。

中国の経済の「不動産バブル」が叫ばれていますが、私の観るにそれは上海の一部に限られているようです(勿論、北京でもそういったキライはありますが)。地方都市の不動産価格は順当に推移していますから、物件によってはこの中国の経済成長が続く限り、投資に向いているのではないでしょうか。

また、一般的に中国の建物は内装工事をしない状態で引き渡します。内装に関しては、そこに入居する人の「趣味」と「責任」の範疇になってくるのですね。腕の立つ「内装工事屋」が寝る間も惜しんで仕事をせざるを得ない状態になっているのは、そのことに起因しています。
建材卸売市場に出掛けてみてもその活況ぶりは目覚ましいものがあります。建築に関しては素人同然の私ですが、壁紙やカーテンのラインナップの豊富さには舌を巻いてしまいます。以前、日本で家を建てた際に、壁紙やカーテンのカタログとニラメッコしながら迷いまくった記憶がありますが、こちらの種類の豊富さは日本の比ではありません。家具や電気器具も同様です。これらを自由自在に操ってお客さんに提案するような「内装工事」の仕事も魅力的ですね。

公共事業における「談合問題」はどうでしょう。これは中国には存在しないようです。
日本では、単年度予算で使い切りが大原則である為、大型プロジェクトもブツ切りにして分割発注されます。新幹線や高速道路建設計画も同様です。そこでスーパーゼネコンが寄り合い「協議によって」受注順位を決めていくシステムを構築しているのです。それは今でも変わりません。日本での、現在に至るまで連綿と続けられている「工事コストの上昇を招く諸悪の根源」のような光景は、どうもこちらでは見受けられません。民族性の違いもあるようですが、基本的に「獲ったもの勝ち」ですね。力のあるものが受注していく。ただ、プロジェクト自体は大小織り交ぜて無数にありますから、その意味ではまだまだ需要の方が旺盛なのでしょう。大きな業者も小さな業者も忙しそうです。

工事話題でもう一つ。
日本では「労働基準法」により、建設現場であれ事務職であれ、一定の労働時間が決められております。勿論、中国でも大枠では雇用環境の整備が整ってきていますが、屋外の現場の作業員達の作業労働時間を聞いてビックリしました。何と、朝6時から12時までが午前中の作業時間で、昼の休憩をタップリ2時間半採った後、また晩の8時まで働くのです。本当に働きものです。「働きアリ」という称号は、今は中国の現場作業員にこそ相応しいのかもしれません。そうして働いたお金で彼等は車を買い、冷蔵庫や洗濯機を揃えていくのです。