[60]新彊ウイグルの3都市

田中淳璽 投稿日:2010/08/18 02:29

田中淳璽と申します。2010年8月17日現在まで
新彊ウイグル自治区に行く機会がありましたので、
現地に行って初めて知ったことを簡単にご紹介致します。
基本知識の補充に役立てば幸いです。

新彊の主要都市の中から3都市についてのインターネットの情報は、
以下の通りですのでご参照ください。

1.ウルムチ 
(ウィキペディア:http://ja.wikipedia.org/wiki/ウルムチ市

2.カシュガル
(ウィキぺディア:
http://ja.wikipedia.org/wiki/カシュガル市

3.和田(ホータン)
(ウィキペディア:
http://ja.wikipedia.org/wiki/ホータン市

新彊についてはまちがいなく1のウルムチが最も重要な都市なのですが、
今は2のカシュガルも経済特区となることが非常に注目されています。
(カシュガル経済特区化のニュース:http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=42311

私がこの二つの都市について非常に気になったのは、
とりまく環境(あるいは状況)が、かなりちがったということです。

まず第一にウルムチでは中国語(普通話)が通用するのに、
カシュガル界隈では「全然」といいたくなる程、通用しませんでした。
(私の下手な中国語が通じないということではなく、
ネイティブ普通話がうまく通じません)

カシュガル市内の真ん中には大きな広場があり、
巨大な毛沢東の像が立っています。
カシュガルの役所で働く漢民族の中国人は、
言語の普及状況について、中国語が通じてないのではないと尋ねると、
「そんなことない。どこも同じだ。」といいます。
でも通じないと思います。

第二に、暴動の後、ウルムチは比較的外国人の旅行者や記者に対し、
多少は開かれた場所になってきているとは思いますが、
カシュガルのような場所は今も閉じてるという印象です。

カシュガルでは暴動の時に邦人記者の拘束事件がありました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h20/8/1182459_914.html
(中国から投稿しているので、当時のニュースを載せたページで、
良さそうなものを開けませんでした。検索して探してみて下さい)
現在でも、国家権力の「目」が非常に強いです。

その「目」が、外国人を監視する方法は、
案外簡単にホテルの受付からのようです。
中国旅行はビザが観光ビザの他、訪問ビザ、就労ビザ、学生ビザ、
さらに取材ビザ、外交ビザ等で行けますが、
ホテルでは必ずパスポートのコピーをとられます。

0.空港に到着した外国人はどこかのホテルにチェックインする。
1.外国人が提出したパスポートからビザが確認できる。
2.ビザが特別なら、公安に連絡する義務がある。
3.公安が事前許可を確認(外事の便宜を図っている機関がある)
4.問題があれば(無許可取材等)数時間でホテルから飛行場に送られる。
5.問題がなくても、私服の公安の「目」がついてくる場合もある。

たとえ当局の気になるような行動をしたとしても、
今はいきなりなぐったり、つかまったりすることはないでしょう。
とても長閑な緑と泉に囲まれたカシュガルの街を歩いていると、
兵隊のトラックが往来したり、漢民族の子とウイグル族の子が、
一緒にゲームしていたりするのを見かけますが、
暴力より想起されるのは、監視の「目」かもしれません。

現地の中国人はみな公安がホテルにやってくるようなことは、
「大丈夫。それはよくあることだ。」
と笑います。

ただし、自分の職場に外国人が訪ねてきた時に、
公安に監視されていると(先に職場に来て、私服で混ざって“居る”)、
ホスト側の中国人は顔をひきつらせてしどろもどろになります。

ホテルの受付に任せるのは、ずいぶんと大らかで、
きめの粗い監視とも思えますが、
場合によっては、もっと影から見ている「目」の存在があるようです。
ただ、今回これ以上はわかりません。

最後に和田(ホータン)については、玉(ぎょく)の産地として、
非常に有名なところです。玉(ぎょく)というのが、非常に不思議で、
何というのか、中国人は非常に玉を大切におもってるようです。

中国人に聞くと、「魔除けだよ」とか、簡単な回答が来るだけです。
ただ日本人から見れば、もっと強いつながりがあるようで興味深いです。
和田(ホータン)で出る羊脂玉(羊の脂のような白い色の玉)というのが、
最高レベルに良い玉のようです。

以上新彊の3都市について簡単にご紹介致しました。

余談ですが、
北京で知識ある友人にこの話をすると
(カシュガルでは中国語が通じないという)、
「ああそうか。でも、あっちの人は多少英語が話せるんだろ?」
と本気で言います。
見た目がコケイジャン(白人)のように見えるからでしょう。
ただし、カシュガルでは英語はほぼ完全といえるくらい通じません。
ちなみにウイグル語がメインです。
中国沿海部のご友人が居る方は試しに聞いてみて下さい。
笑いにしているのではなく、上述のような監視というか、
メディアなどの出入りが自由でない世界になっているので、
そういうことにもなるのだろうと思います。

テレビやインターネットなどからさまざまな情報が得られ、
しかも情報の信憑性もかなり高くなったメディアの時代に、
カシュガルは不思議な状況になっている都市だと感じます。
今後、経済特区で深センのような都市になっていくのか、
変化に注目したいです。

以上です。

追伸:カシュガルの不動産価格は去年から30%あがっているようです。
関連記事(中国語):http://www.wlmqwb.com/shbl/txfw/fczx/201007/t20100701_1243750.shtml