[592]浪江町の住民からの ここの文章の削除依頼を、拒絶しました。

副島隆彦 投稿日:2011/06/21 07:42

副島隆彦です。 今日は、2011年6月21日です。 

以下に転載するメールは、福島の津波被災者 および 原発避難者がたくさんいる、浪江町(なみえまち)の住民(原発から10キロぐらいだから、当然避難している)で育った人からのメールです。 

要旨は、「自分は、学問道場の 以下の記述を読んで、誤認だと思い、かつ傷ついた。 削除を要求します」 である。 私は、その要求を認めず拒絶しました。その理由は以下の通りです。

 この浪江町出身者 からのメールは実にしっかりした内容であり、かつ自分の実名(本名)で書いてきていましたので、私はまじめにお相手しました。 最後に、「名前を伏せて載せてください」と返事があった。 

 私、副島隆彦が、もう10年間も、学問道場のルールとして、厳しく、実名、本名、姓名(姓と名の両方)で投稿文を書きなさい。それは一般新聞の投稿欄と同じだと、書き続けて、ようやく「匿名、仮名、名無しのごんべえを排除する」という ルールが私たちの学問道場のルールとして確立してきました。それでも、まだ仮名、変名で書いてくる愚か者がいます。

 よっぽどの理由がなければ、仮名、変名は、許しません。 それは、言論の自由(日本国憲法では21条)を守るための切実な要素であり、自分の文章に責任を持つ、と言う大事な原理に基づくからです。 匿名、仮名で、無名で文章を書いて、それが立派な行動である、と思い込めるような者には、ロクな人間はいない。

 最近、弟子のひとりに聞いた。日本でもあと2年したら、Facebook フェイスブックのSNS(ソシアル・ネットワーク・サービス)が主流になって、ツウイッターでさえ、追い落とされるそうです。 私は、フェイスブックは、「ハーヴァード大学の同窓会名簿から始まった、情報交換、意見公開のネット言論手法であるから、特権的で閉鎖的であると感じて、あまり好きになれなかった。しかし、その徹底的な 実名投稿主義には注目していた。

 日本人は、背骨が曲がっている人間が多くて、堂々と自分の名で、意見を公表する精神が希薄だから、私は、このことを激しく嫌ってきた。「権力者からの弾圧が怖い」とか「書いだことが周囲にばれて、自分が自分に及ぶから」という 歪(ゆが)んだ考え方がまだ、まかり通っている。この劣等な国民文化を、を叩き壊さなければならない。

 あの昨年来のエジプト民衆革命でも、フェイスブックが果たした役割が大きいという。エジプトの若者たちは、フェイスブックに実名で書いて、ムバラク政権の秘密警察に捕まる危険を恐れることなく、実名・本名で書くことで、国民どおしの横の連帯と信頼を築いて、それで民衆革命を一程度まで成功させた。あとは、ムスリム同胞団という温和なイスラム思想に基づく7割のエジプト国民の支持を持つ、長年の国民政党が、今の優れたトルコ(エルドアン政権)をお手本にして、温和で堅実な政権による国民政治になろうとして努力している。

 日本のネット上でまかり通っている、匿名、変名、仮名、無名の投稿文化を、フェイスブックの運営体は、即座に拒絶したそうである。 そして、実名、本名で書かない者の文を、削除するそうだ。 だから、私は、フェイスブックのこの大方針を、強く支持する。

 世界民衆の平等な団結による世界政治の、 特権層、支配層からの 解放を、私たちは希求(ききゅう)し続けます。

 それでは、浪江町の元住民からのメールを載せて、それに対する私、副島隆彦からの返事も載せます。

 なお、この重たい掲示板(学問道場の総合掲示板)への投稿が会員しかできなくなったのは、誰でも投稿できるようにしていたら、5年ぐらい前に、私たちへの激しいウイルス攻撃がありまして、それで、仕方なく会員しか書けなくしました。

(転載貼り付け始め)

From: ***********
To: snsi@mwb.biglobe.ne.jp
Sent: Monday, June 20, 2011 9:37 AM
Subject: 浪江町の者です。

 こんにちは。突然のメールで失礼致します。

 私は東京在住ですが、実家が福島県の浪江町にあり、今回の原発事故のため警戒区域となり、年老いた両親が避難中です。

 先日からtwitterやblogなどで、副島さんの以下のページから大きな誤解を招いており、それが元でひどく叩かれております。

「大熊町、双葉町、浪江町、富岡町 の住人たちは、今でも東電関連の企業から給与が出ていて、ほかにも漁業権や 定住による裏補償などで1人3000万円ぐらいの収入があったそうです。1世帯4人だと実に1億2000万円になります」

https://www.snsi.jp/bbs/page/1/page:5

 私たち、少なくとも原発立地町ではない浪江町までもあたかも全住民が3000万円をもらっているような書き方で(もちろん副島さんの文でないことは存じております)、非常に憤慨を覚えております。原発立地町でも、こんな大金をもらっていると聞いたことはありません。

 決して決っして事実ではありません。6人家族の我が家が1億8千万もらって、なぜ78歳の父はまだ働かなくてはいけないのでしょうか? しかしながら副島さんのこのblogは非常に影響が大きく、多くの方がこれが真実だと思い込んでいます。

 東電や政府からの補償も決まらず、先が見えない大きな不安でそれでなくても精神的・肉体的苦痛を受けているうえに、世間からの大きな誤解がさらに追い討ちをかけ、地域住民は苦しんでおります。少なくとも、浪江町は東北電力の原発立地計画を断固拒否し続けた町です。

 訂正なり削除を希望致します。

これ以上被災者を苦しめないでください。お願い致します。

*****

**** さまへ

2011年6月20日

副島隆彦から

メールをありがとうございます。
 **さまの ご主張は分かりました。しかし、誰かがどこかの町を代表したり、ひとつの意見がすべての真実を表わすこともできません。
**様の 主張も 意見のひとつであります。 私の弟子たちが運営します学問道場 の 掲示板への 投稿文も 私たちの会員のひとりの 意見です。

 意見と、事実(真実)は、どうせ 明確には区別できません。 ですから**様の意見も尊重しますが、 それを事実として、そのまま受け入れることも出来ません。

 私は**様が、私たちの学問道場の文をよく読みに来て、それで、ご自分のご意見を言われるのなら、会員になって、そして会員どおしので、実名での 投稿 でのやり取りとして、意見の優劣を争っていただきたい。 

 私も、浪江町や双葉町(ふたばまち)の住民たちのすべてが東電関係者で、東電に長年、世話になって、東電から、漁業権の放棄の見返りの補償金として数千万円ももらい続けている人たちだとは思いません。しかし、そういう人たちもたくさんいるようです。私は何回も現地に行っています。 

 避難した人たちから私はあれこれ話を聞いていますから、大抵の真実は、私も把握しています。 原発御殿(げんぱつごてん)もたくさん見かけました。立派な枝ぶりのあの家に住みたいな、と私は思いました。 現実の世の中は、綺麗(きれい)ごとでは済みません。最後は、お金の支払いの問題になるのです。

 それと、原発から10キロ圏ぐらいの双葉、浪江、大熊の人たちは、総じて、長年、東電の世話になってきたので、だから今でも東電の事故責任を追及したり、避難する者がほとんどいない、という大きな真実を、私は知っています。

 私の携帯電話は、********* です。いつでもお電話ください。ご意見はお聞きします。

 意見は、あなたおひとりの意見として、書いてください。あなたが、浪江町(なみえまち)全体とか、原発避難者 ( 津波の被災者とは、重なる人もいますが、区別してください) のすべてを代表することは出来ません。あなたはあなた一人しか代表できません。 このことを分かってください。

 ですから、あなたがお書きの 「 世間からの大きな誤解がさらに追い討ちをかけ、地域住民は苦しんでおります。少なくとも、浪江町は東北電力の原発立地計画を断固拒否し続けた町です。 訂正なり削除を希望致します。 これ以上被災者を苦しめないでください。」 を、私、副島隆彦は、納得しません。

 上記の文の投稿者と 議論をしたいならば、その旨を お書きください。あなたからの文を、このまま、重たい掲示板に 載せようと思います。いかがでしょうか。  

 私は、人間の 言論の自由を委縮(いしゅく)させる一切の 行動と 闘いつづけます。最近は、「自分たちは、ひどい目に遭っている社会的な弱者である。弱者をいじめるような、そういう 書き方で、自分たちは深く傷ついた。文章の削除を求めます。謝罪もしてください」というような角度からの、許しがたい、言論の自由への攻撃が多くなっています。 

 私たちの学問道場 の 大方針(創設以来の決まり)は、真実(事実)であり、それが公共の利害(パブリックインタレスト)である限り「すべてを暴(あば)け」 すべてを書け、であります。  

 **さまも、会員になっていただいて、「事実誤認であり、自分にとって不愉快な」その文の投稿者と堂々と議論をしてください。 お返事をお待ちします。

副島隆彦拝

(以上、拙メールに 加筆のうえ 転載貼り付け 終わり)

副島隆彦拝