[556]放射能の影響について

阿部 真由美 投稿日:2011/06/04 00:01

「チームナカガワ」の中川恵一医師のことを書きたいと思います。
先日副島先生にメールを転載して頂きました、阿部真由美と申します。

私ががん患者として知っていることを書きます。
中川医師が「御用学者」として叩かれているらしいことで、
それはおかしいと思いながらも、
根拠もなく擁護できないもどかしさがありました。
中川医師について私が知っていることを書く前に、
放射線治療を受けたがん患者の経験から
放射能被曝についての私個人の見解を書いてみたいと思います。
自分なりに調べられることは調べたつもりですが、
数値等、間違いがありましたら、是非ご指摘お願いいたします。
まず、今回の放射能漏れによる被爆(この言葉の持つ響きも何とかならないのでしょうか)
の影響について、副島先生もご指摘なさっているように、
誰が正しくて誰が間違っているのか、一般人にはさっぱりわからない情報の錯綜ぶりです。
従って、私個人とその友人知人のがん患者仲間からの情報で、自分で判断しております。
よく医療で被爆している人は別扱いされますが、
それは、「被爆の原因」において、
リスクとベネフィット(危険=副作用、と利益)を比べた場合、利益が大きいので、
自分の意思で被爆しているから、ということです。
今回の事故で被害者となった人と「理由」が違うという訳で、何故か議論の埒外に置かれているようです。
医療被爆については、厳密には自分の意思ではあると言い難い場合もありますが、別問題なので、止めます。
しかし、被爆の理由が、医療行為の上とはいえ、
先だっても副島先生にご紹介頂きましたメールにも書いてありますように、
「被爆量」という意味では、十分、検証に値するのではないでしょうか。
原発学者、科学者の先生方には、原発の仕組みとか、放射能の飛散量とか、そういう場合は、当然専門家に伺って参考にするは当然として、
「現在も放射能は微量ながらも、洩れている。被爆もし続けている。」
状態の時は、
豊富なデータを持っている放射線科医の出番なのではないでしょうか。
何故なら、
予防の方法もある程度わかった、しかし、もう「放射能を浴びてしまった、被爆してしまった」人たちはどうなるの?ということ、
また今後被爆し続ける可能性のある人たちはどうなるの?ということも、
当然知りたいことだと思うのです。
「被爆してはならない、ならない」と主張し続けることは、
「がんにならないように、ならないように、ならない為に○○しなさい」という、啓蒙運動に似ている所があります。
それ自体は私個人が否定する根拠を持ちません。
が、
どこが似ている、というと、
「被爆してしまった」「がんになってしまった」
という、
「あってはならない状態になってしまった人」を忘れているからです。
それゆえ私は、何だかもの悲しい気持ちになってしまいます。
事故によって若干基準値を超えた被爆をした、あるいはするであろう人々に必要なのは、
「危険だから避けなさい」という忠告よりも、
「被爆してしまったらどうなるの?」という事の方が知りたいことです。
だからこそ放射線科医の出番では、と言いたいのです。
ご参考までに、
乳がんの放射線治療の標準量は、50グレイ=50シーベルト(ミリではありません!)
一般的に、1日2グレイ×25日=50グレイ という放射線治療を受けますから、
1日2シーベルト×25日=50シーベルト、
つまり
1日2,000ミリシーベルトを25日間かけて浴び続けます。
大体期間は途中お休みを入れたりして、1~2か月で終了します。
人体に明らかな影響が出るのは、
一度に100ミリシーベルト以上を浴びた場合。
放射線治療ではそれよりもずっと多い量の放射線を浴びますが、
照射部が局所であることと、分割照射であるために
細胞が正常に戻る時間が与えられるため、
影響が少なくて済むそうです。
他にも局所照射3000ミリシーベルトで
脱毛(頭部の場合)や皮膚症状が出ます。
これは照射中に起こる急性反応で、私も部分照射の3か所の皮膚がが真っ黒に焦げました。
それは、後に、皮膚が入れ替わるので、元に戻ります。
急性反応以外にも
治療が終了してから6ヶ月~数年経過後に生じる晩期反応があり、
こちらには皮膚の委縮や毛細血管の拡張、肺炎などがあります。
また白血球数も減少します。
平均7000前後ですが、簡単に半減します。
しかしこれも治療終了後、1か月ほどで元に戻ります。
以下の図をご覧下さい。

リンクを貼りますがご覧頂けるでしょうか。
http://mainichi.jp/select/jiken/graph/genpatsu_zusetsu/13.html
「被爆量と健康への影響の目安」

この図はおそらく「一度に浴びた場合」の図だと思うのです。
何故なら、3000~4000ミリシーベルトで、50%の人が死亡と書いてありますが、
私ですら100人以上のがん患者仲間がいるなかで、放射線治療を受けて、すぐに亡くなった人は知りません。
ついでに言うと、放射線治療によって、重篤な副作用、また発がんもいまだ聞いたことがありません。
敢えて言うなら、私自身が、
30年前に50グレイ前後の放射線治療をして、
23年後の42歳の時に、
「子宮頚がん」「膀胱がん」を同時発症したことですが、
私の自分への直感として、
照射した部位と全く関係なく、甲状腺がんでもなく、
主な原因が「ウィルス」の頚がん、
主な原因が、染色の塗料と言われる膀胱がん、
であった為、
(実際にはがんの原因など遺伝子的な物以外は特定できておりません)
原因が放射線治療とは思えないのです。
ちなみに私は主治医(乳がん)に、「喫煙のせいだ!」と叱られました。
私は喫煙者です。
話はそれますが、
被爆をすると何故怖いかの、理由は、
「甲状腺がんの増加」「遺伝子の損傷による奇形児の出産」などが挙げられます。
がんは怖い部分をたくさん持つ病気ですが、
恐れすぎず侮りすぎず、
完治、寛解は十分あり得ます。
多重がん7年目にして、私は再発しておりません。
(ある種のがんを除いて、5年でほぼ寛解とみなし、その後のがんは別物です)
またがん患者のベテラン(?)として言えることは、
甲状腺がんは非常に予後の良いがんです。
早期発見早期治療に努めれば、おそるるに足りず、です。
そもそも発がんの原因を全て除去するなど不可能です。
だからといってついでに放射能があってもいいじゃないかとまでは申しませんが、
被爆した(であろう)被爆する(であろう)人にとって、科学の知識も持ちながら、
必要なこと、
それは、哲学とでも言うのでしょうか、自分自身に対しての「生き方の問題」であると思います。
一緒にされるのはお厭かもしれませんが、がん患者のあるべき(=幸せになる為)姿とそっくりです。

結論ですが、
被爆の影響については、小さなお子さん、妊婦さん以外は心配いらないと私自身感じています。

ようやく冒頭の中川医師についてですが、
あまりにも長文になってしまった為、一旦ここで投稿致します。