[541]福島復興活動本部からの報告

下仲もとゆき 投稿日:2011/05/25 13:15

5 月 23 日から福島復興活動本部に現地入りしている下仲もとゆきです。

福島は地震がまだまだ続いており、大小の地震が数時間おきに来ます。今朝5時半すぎには震度5弱の地震がありました。小さな地震はテレビや新聞では報道されませんが、その地域に住む人にはジャブのように疲労や不安が蓄積されていきます。そのことを身をもって経験しています。

以下に、私がSNSIのメーリングリストに書いた文章の一部を転載します。

(転載開始)

Subject: 5 月 23 日の福島復興活動本部からの報告

本日、福島復興活動本部に現地入りしました。
建物に「学問道場」の看板がついていて、雰囲気がありました。

以下に時系列順に、今日の活動記録を記します。

予定時刻通り船引駅に到着し、駅から出て私がキョロキョロしていたら、Kさんの方から声をかけてくれました。
その後、Kさんの車で道中にあるスーパーに買い出しに行きました。
冷蔵庫が動いているということなので、数日分の食料を買いました。
そしてホームセンターで鍋と米10kgを買い、ケーズデンキで炊飯器を買い、昼食を食べて本部に向かいました。

本部に着き、二階に上がり、ドアを開けると新しい畳の香りに包まれました。Kさん、ありがとうございます。
冷蔵庫はあまり冷えていなかったので、とりあえず食料を冷凍庫に入れました。
(凍るのも良くないので、しばらくしてから冷蔵庫に移しました。夜に確認したら、今のところ冷えていました。)

Kさんの車で大家さんの家に行き、お土産を渡し、ご挨拶をしてきました。庭に大きな犬が二匹いました。
本部に戻り、Kさんと別れました。

お土産を持って、本部の近くにある民家に挨拶回りをしました。
バイクの修理会社では、事務所に上がらせていただき、この近辺の話を聞かせていただきました。人がいなくなって、商売がやっていけるのか心配だということを話してくれました。当然私も、どういう人たちが来るんですかと質問されました。

夜になったので、炊飯器でご飯を炊きました。
ガスコンロが使えたので夕食を作り、食べました。

今日のところは以上です。

2、3時間に一回、震度3前後の地震が来ます。
つい先ほども大きい地震がありました。

今日は気温があまり上がらず、肌寒いです。布団にくるまってすごしています。
日中は暑くなるそうなので、来られる方は温度の調整ができる服装にした方がいいです。

現地で生活をしていると、こういうものがあった方がいいとわかってくると思いますので、
明日以降、特に車で本部に来られる方に持ってきて欲しいものをこのメーリングリストでリストアップしていきます。
もし自宅に余っているものがある場合は、名乗りを上げてくださると大変助かります。

2011年5月23日

(転載終了)

(転載開始)

Subject: 5 月 24 日の福島復興活動本部からの報告

今日は、福島復興活動本部に現地入りして2日目です。

以下に時系列順に、今日の活動記録を記します。

朝は地震で目が覚めました。
起きたら、二階の窓ふきをしました。
本部の二階は三方が大きな窓になっています。その窓は汚れており、蜘蛛の巣がはっていたり、虫の死骸がサッシにはさまっていました。
三面ともふき終わると、部屋に明るい光が入ってくるようになりました。

下に降りると、ちょうどF電気工事店さんが来ました。息子さんとお母さんの2人でした。
外灯を取りつける工事をしてもらいました。
外の明るさに応じて、自動で点灯、消灯するタイプのものは手元になかったので、2時間ほど作業をされたのち、一度戻られました。

近くの民家でごみの捨て方を尋ねました。
すると、1キロ先の検問所の手前にごみ捨て場があると教えてくれました。
そこで歩いて、検問所まで行きました。
検問所には機動隊員が2人立っていました。車の往来が意外とあり、道を回るように指示していました。
わかりにくいのですが、木の屋根になっている小さな小屋がごみ捨て場になっていました。
もやせるごみは月、木。プラスチックは水。缶、ペットボトル、びん、紙類、もやせないごみはそれぞれ第一、二、三、四金曜日・・となっており、五種類の指定のごみ袋が決められています。

道中、機動隊の車とすれ違いました。
わずかな時間に、反対車線に3台、同じ側の車線に1台・・です。
ここの道路(国道288号線)を通って、20km圏内に入っているのでしょう。

本部に戻ると昼になっていたので、昨日の残りのご飯にレトルトカレーをかけて食べました。
ガスコンロはプロパンガスが来ているので使えます。

Kさんが車で来てくださり、この数日の寒さを考えて、石油ストーブと電気ヒーターを持ってきてくれました。大量のネギももらいました。
この建物は複雑な電気配線になっているので、どのスイッチとどの配線が対応しているのかをわかる範囲で確認しました。
Kさん、本日もありがとうございました。

午後は、徒歩で本部の周辺を散策しました。

まず大家さんの家に行き、奥様に再びご挨拶をしました。この近辺のバスは止まっていると教えてくれました。車以外の移動できる手段を探していましたが、しばらくは再開する見込みがないとのことです。
大家さんの家の隣の橋は工事中です。作業員が交代で、軽トラックで食事に出かけていました。

次に古道小学校、都路中学校に行きました。平日にもかかわらず、どちらも誰もいませんでした。
古道小学校は入り口から少し入ったところの石柱に、片方だけ立ち入り禁止の黄色いテープがぐるぐる巻きになっていました。見張りの人もいなくなったということです。実際、敷地内には誰もいませんでした。
グラウンドには、子どもたちの足跡がたくさん残っていました。雨が降っても足跡がくっきり残っているので、粘土性の土です。通常、長期休暇中でも部活動でグラウンドを使うので、トンボかけを行い、足跡は残らないものです。このことから、ある日突然、立ち入り禁止になったとわかります。
都路中学校は山の上にありました。通学路の草は膝の高さぐらいまで伸びていました。しばらく誰も通っていないのでしょう。
100段以上の階段を上がると、校門がありました。途中、階段が崩れているところがありました。
校門前には、福島ナンバーの白のワゴンが一台止まっていました。ワックスがかかっていて綺麗だったので、職員が一人来ているのでしょう。しかし人の気配はしませんでした。姿も見当たりません。それでも、校舎の時計は正確に時を刻み続けていました。
グラウンドには、山からイノシシかシカのような足跡が続いていました。獣の通り道になっているのでしょう。広くて立派なグラウンドです。山から降りる途中には野球場もありました。部室なども見ましたが、破壊されたところはありませんでした。
中学校から車で降りていく方の道は、地割れをしているところがたくさんありました。それぞれの場所に、注意を呼びかけるコーンがたっています。

山を下り、道なりに歩いて行きました。
途中で自衛隊員が三人立っているところがありました。
自衛隊の車も止まっていました。
このときは、なぜここに自衛隊がいるのかわかりませんでした。

JAの前では、職員の中年男性が暇そうにタバコを吸っていました。

交番には真面目そうな警官が一人、駐在していました。

福島県警のパトカーが一台、巡回していました。

そして都路行政局(役場)に行きました。
なぜか入り口前の時計の時刻がずれていました。
人がいないのかなと思ったら、自動ドアが開き、中に入れました。職員も数人いました。男性の職員数人(みな中年)は作業服を着ていました。
窓口の職員(中年女性)にこの辺りのことを尋ねました。小中学の生徒は全員、船引やその他の地域に転校したと教えてくれました。もちろん家族も一緒にです。
ごみを出す日のカレンダー、パンフレット、各種指定のごみ袋をもらいました。なぜか別の女性職員に「大山こま最中」ももらいました。
古道体育館に避難した人の名簿が貼り出されていました。合計435人。それぞれの住所、連絡先が書かれていました。大熊町などの人が避難してきていたそうです。今は船引や郡山、あるいは親戚をつたって県外に移って行ったと職員は言いました。
古道体育館は先ほど、自衛隊員が立っていたところです。避難者がいなくなったあとは、自衛隊の駐屯地になったということでした。ここで謎が解けました。自衛隊はここから20km圏内に出入りを繰り返しているようです。表に立っていた自衛隊員に過度の緊張感や疲労感はなく、人がうまく回っていることがうかがえました。

本部に戻ると、再び外灯工事に来てくれたF電気工事店さんと、水道工事に来てくれたM設備工業さんが作業をされていました。
F電気工事店さんには、1階のクーラーも見てもらました。
お蔭様で、自動点灯、消灯する外灯がつき、自動ドアも動くようになり、1階のクーラーも動くようになりました。水もれをしていたトイレの水回りも直りました。

夕方になると、焼き鳥屋「天国」のYさんご夫妻が車で本部を尋ねてくれました。
6月4、5日の打ち合わせをしました。
都路に人が来てくれることを、2人とも喜んでくれていました。
そこで腕を振るって、焼き鳥に加えて、山菜の天ぷらなどを出してくれると言っていました。

夜になると、夕食を作って食べました。

今日のところは以上です。

数時間に一回、大小の地震が来ます。
先ほども震度4ぐらいの地震がありました。
建物の被害はありません。

本日、Kさんが持って来てくれた石油ストーブと電気ヒーターのお蔭で、暖かくなりました。Kさん、ありがとうございます。
冗談で、「今日の朝には東京に帰っちゃったんじゃないかと思って来た」とKさんのお父さんが言っていたほど、昨日は寒かったです。

日中は一転して、窓を全開にしなければいけないほど暑くなります。
体調を崩さないように気をつけます。

シャワーをまだ一度も浴びられていません。
明日は近くの旅館を訪ねる予定ですが、どうなるかわかりません。

冷蔵庫は牛乳などはあまり冷えていませんが、野菜などはある程度冷えています。
冷凍庫はしっかり冷えています。

ガスコンロはプロパンガスが来ていて、使えます。
これで調理をしています。
水道も使えます。

電気も来ています。
コンセントにプラグインすれば、充電できます。

SoftBankの基地局が敷地内にあるそうです。
そのため、奇跡的に山中でiPadが使えています。

布団は昨日届きました。
2セットあります。
畳が敷かれているので、十分寝られます。

トイレはちゃんと流れています。においはしません。
今日の工事で水もれもなくなりました。

コインランドリーは車で行ける範囲にあるようです。
徒歩で行ける範囲にはありません。

生活に必要なことでは、以上です。

2011年5月24日

(転載終了)

下仲もとゆき拝