[531]福島旅行報告4: 1号機の炉心のフタをもちゃげる でっけぇクレーンが、地震でぼっこれて、ぶっ倒れてるんだと。
群馬のゆみこ(川端優美子)です。[516][518][526]に続けて、GWに行った福島旅行報告4をします。5月4日の午後に、原発20km圏内(浪江町など)から福島県内に避難している知人を訪ねました。そこで知人を含め、何人かの避難者(原発で働いていた人もいる)から聞いた話です。
○事実として避難者から聞いたこと
・原発から20km圏内が立入禁止(罰則付き)になる話は、新聞やラジオで初めて知った。役所(県)からの連絡は、そのあとに来た文書のみ。
・浪江町長は原発事故後、へこたれて、鬱病(うつびょう)で入院。最近退院してきた。
・一人が4月23日に町長に会いに行ったが、来客中ということで、面会できなかった。
(これは、「避難区域に指定する権限はその自治体の長のはずだ」と大川さんが言い、では集団で町長に文句を言いに行けば良いのではないかという話になったときに出た話。)
・福島第一原発の1号機は工事も杜撰(ずさん)でボロボロ。2,3,4号機とはぜんぜん違う。
・うまく燃料棒の冷却ができても、そのあとに、重たい炉心の蓋(ふた)を開けて燃料棒を引き抜いて移動させなくてはならない。1号機では、その蓋を開けるための大きなクレーンが地震のときに壊れて倒れている(原発の上に倒れているのだったかな?)。
・今も原子炉の現場で復旧作業をしている作業員から聞いたが、上から「何もしゃべるな」と言われている。
・津波は1号機の5階建てのリアクタービルの2階まで来た。正門までは津波は来ていない。
(海→5mの防波堤→循環水ポンプ→ECCSの燃料タンク→タービン建屋→リアクタービル→すごい法面(のりめん・人工的な斜面)→(ずっと上に)正門)
・タービン建屋の緊急用冷却装置(ECCS)のディーゼル発電機は地下にあり、そこへ入るドアは普通のドアであり、防水ではなかった。燃料タンクは津波で流された。
・「マグナ通信」という会社が電気系統の修理をする仕事をしている。
(これは、こちらの「マグナという会社が入っているか」という質問に答えて。)
○避難している人たちの意見や気持ち
・冷却装置の電源はまだ回復していないので、まだ爆発するかもしれないという不安がある。だから、家に帰りたい気持ちもあるが、原発から離れていたいという気持ちもある。
・1号機の炉心の蓋(ふた)を持ち上げるクレーンが壊れており、クレーンなしでどうやってあの重たい炉心の蓋を持ち上げるのか。代用のクレーンを設置するとしても、建屋が吹っ飛んでいるあのような状態でどうやって代用品を設置するのだろうか。建屋があれば、まだ何とかなる(放射能が外に漏れないように蓋を開けられる)だろうが、建屋も吹っ飛んでしまっているから、冷やした燃料棒の移動をどうやってするのか疑問だ。
・9ヶ月で原発事故を終息させるのは不可能であろう。
・東京電力の社員はたくさんいるのだろうから、避難者を一軒一軒(一人ひとり)訪問して、現状と今後の見通しを説明して回るべきだ。そんなことは常識だろう。
・農作物をいつ植えられるようになるのか知りたい。
・牛のことが心配だ。
・副島先生の「20km圏内に金網を張って、放射性廃棄物処理場にするのではないか」という話を読んで、それは無理だと思った。なぜなら、20km圏内の山や土地、そのほかの財産をすべて東電が買い上げるということは、金銭的に無理であろうから。
・ヨウ素が何ミリシーベルトとか言うけど、ほかの物質がどれくらい出ているのか知りたい。MOX燃料についても不安。そういうことが分からないと、帰れるか帰れないか決められない。
・とにかく腹が立つ。いつ帰れるのか分からないので、いらいらする。
タイトル解説:「1号機の炉心のフタをもちゃげる でっけぇクレーンが、地震でぼっこれて、ぶっ倒れてるんだと。」=「1号機の炉心のフタを持ち上げる大きいクレーンが、地震で壊れて(ぶっ壊れて)倒れているそうだ。」
以上