[524]警戒区域の法律的観点について
会員の大川です。福島第一原発の半径20キロ圏内が警戒区域に設定されたことについて、副島先生が激しく怒っていらっしゃいますが、私も次の2点を理由として警戒区域の設定に疑問を持ちます。
1.なぜ20キロ圏なのか。
4月26日に事故対策統合本部が公表した放射線量分布マップによれば、20キロ圏内でも放射線量が30~50マイクロシーベルト/時の地域もあれば、1マイクロシーベルト/時以下、1~5マイクロシーベルト/時、10~30マイクロシーベルト/時の地域など、同じ20キロ圏内でも大きなばらつきがあります。高い放射線量が避難する理由であるなら、一定の放射線量以上の地域としなければ論理的な一貫性がありません。それともほかに理由があるのでしょうか。
2.なぜ強制なのか。
警戒区域(罰則あり)の設定は、原子力災害特別措置法と災害対策基本法に基づいて内閣総理大臣と市町村長が決定しましたが、日本国憲法は次のように定めています。
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
○2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
○2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
○3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
このように日本では居住と移転の自由が保障されているので、たとえ高い放射線量の地域でも「避難しない権利」が認められるべきではないでしょうか。20キロ圏外、30キロ圏外と同じように放射線量が低い地域であればなおさらです。また、避難または移住を強制されることによって、農地が使えない、家畜が死んでしまうなど財産権が侵害されるので、その期間における私有財産は正当な補償がなされなければなりませんが、住民の方々は補償されるかどうかわからないままに避難だけ強制され、しかもいつまで避難し続けるのかわからないというのが現状ではないでしょうか。
以上は高校生レベルの法律知識しかない者の意見ですので、間違っていれば法律の専門家にご指摘いただきたく、よろしくお願い致します。このようなことを書いてよいのか迷いましたが、副島先生が先陣を切って激烈なる文章とビデオメッセージを我々に届けてくれましたので、安心して投稿することにしました。日本国憲法は表現の自由と学問の自由を保障しています!