[518]福島旅行報告2:こんぐれーのちっとんべえの放射能、世話ねえよ。

川端優美子 投稿日:2011/05/09 23:26

群馬のゆみこ(川端優美子)です。5月3~5日に大川晴美さんと福島に行ってきました。[516]に続いて、5月3日(初日)郡山市在住の学問道場会員Yさんの案内で原発から20km地点、川内村の立入禁止看板前まで行った報告をします。

5月3日午前、東京からの大川さんと新幹線の車内で落ち合う。わたしと大川さんは、「ああ、どうも」と挨拶するくらいで、ほとんど前置きなく本題を話し始める。気が合う。
ゆみこ:「お、これは・・・ヘラルド・トリビューン!」
大川さん、英字新聞を読むインテリです。一面のビン・ラディン殺害のニュースで盛り上がる。「あれはもうとっくの昔に死んでいるのに、わざとらしい、やらせだ」「なんで死体を海に沈めるんだ」「ビン・ラディンはCIAのエージェントだ」などなど。

郡山駅に着くと、以前からメールで案内を申し出てくださっていた郡山市在住の学問道場会員Yさんと落ち合い、まずお昼を食べに行く(Yさんにご馳走になる)。『魚紋(ぎょもん)』というお寿司屋さんで、Yさんによると「たべログ」お寿司部門で一位になったお店で、震災前のお昼は外にずらっと行列ができたそうだけど、いまお店は空(す)いている。お寿司は新鮮でおいしかった。海のない群馬では、ちょっとこういうのは食べられない。
食べながら三人で原発のことや副島先生のことを話す。Yさんは、副島先生のと同じガイガーカウンターをお持ちで、郡山の自宅で測ると毎時1マイクロシーベルトくらいは出るそうだ。あとで行った川内村の原発から20km地点、立入禁止の看板と警官が6,7人いたところで測ったら、毎時1マイクロシーベルトだった。「同じ放射線量で、郡山市は住んでいてよくて、川内村は強制的に住民を追い出す(入ったら罰金)って、どういうことだ、ワケがわからない」と三人で言い合う。

話していて、郡山に住んでいるYさんと、原発から200km以上はなれて住んでいるわたしと大川さんには、やはりギャップがあることを感じた。三人とも副島先生の「大丈夫だ」というのを理解して信じているけれど、Yさんはお子さんがいるので、飲み水や料理にはミネラルウォーターを使っているそうだ。「大人だけならいいんだけどね」と言っていた。
心理学の実験で「ウソも7回言われると、本当かな、と思う」というのを聞いたことがある。あれだけマスコミで「危ない、危ない」と言われ続けると、やっぱり冷静ではいられない。わたしも福島旅行の前に、何度かふっと行くのが怖くなった。そういうときは「あのでたらめのマスコミ(電通)と、いつも本当のことを教えてくれた副島先生のどっちを信じるんだいね」と自分に問うた。

ところで、すごく不思議な感じがしたのは、三人とも初対面とは思えないほど、すぐに打ち解けあったこと。この世の真実を知っているという前提と、副島先生の下(もと)に集まった三人だから、そのように思えるのだ、と言い合った。だって、ふだんは職場でいろんな話をしても、「川端さん、また陰謀ですか」とか言われちゃう。みんなもそうでしょ。

『魚紋』さんを出て、Yさんの車で案内してもらう。まず有名な三春(みはる)の滝桜(樹齢千年)へ。桜はもう散ってはっぱが出ていたけど、大きくてりっぱな桜でした。「いつもなら観光の車で渋滞して動けないのだけど、原発事故があったから今はがらがらでしょ」とYさん。そのあたりは小さな山がたくさんあって、その合間に集落があって、昔話の挿絵(さしえ)のようでした。「これが里山(さとやま)だね」とYさんが教えてくれた。
その先の三春ダムの桜湖で放射線量を計測。 地上1m 毎時0.26マイクロシーベルト
(放射線の計測値は大川さんの【[506]福島からの報告(第一報)】と同じです。)

次々に移動して、放射線量を計測。
田村市都路行政局 地上1m 毎時0.61マイクロシーベルト
川内村JAふたば川内支店 地上1m 毎時0.35マイクロシーベルト

どこもかなり家が密集しているのに、がらんとしている。
Yさんが、「さて、どうしますか。20km地点に行きますか」と言うので、わたしは「行きましょう」と力強く答える。(大川さんはもちろん最初からYes。)

川内村の原発から20km地点に着いた。「災害対策基本法により立入禁止」の大きな看板が3枚、道を塞(ふさ)いでいる。神奈川県警の警官が6,7人。車を降りると、マスコミらしきわけえし(若い衆)が一人、わたしたちの前を通り過ぎようとするので「お兄さん、どこの人」と聞くと「毎日新聞です」。「毎日新聞が・・・一人、と」ゆみこメモを取る。向こうにはテレビカメラ1台を持った三人組のわけえし(若い衆)。「なに新聞ですか」と聞くと、「NHKです」。「えねえちけーが・・・三人」ゆみこメモを取る。「いつから来てるの?」「おとといからです。」「おととい・・・から、と。」NHKはメモを取られているのが嫌なようで、ぷいっと向こうに行ってしまう。

では、計測。川内村 原発から20km地点 地上1m 毎時1.09マイクロシーベルト、地面(芝生の上) 毎時11.07マイクロシーベルト、地面(アスファルトのくぼみ、雨が溜まって蒸発したであろう場所) 毎時13.04マイクロシーベルト

立入禁止の看板の前で、大川さんと代わる代わる証拠写真を撮って退散。大川さんが「突破しよう」と言わなくてよかった。

このあと、山道を抜けて海のほう(いわき市の新舞子海岸)へ案内してもらう。車の中でわたしと大川さんは「副島先生ってぇ」「副島先生がぁ」と盛り上がり(今日のぼやきの1215の動画がかっこよかったとか)、はしゃぎ疲れて眠ってしまう。ガタンとなって目が覚めると、海のそばの松林の間をゆっくり走っている。地震でアスファルトの地面がところどころ割れている。ああ、ついに来たなあ。

Yさんが「若いころよく来た」という新舞子(しんまいこ)海岸で車を止める。外に出ると、見渡す限り海が広がり、白い砂浜に波が打ち寄せていい音がする。群馬は海がないので、わたしは海にとても憧(あこが)れる。こんないい所ないな。でも、降り向くと、1階部分がぜんぶ水に浸(つ)かり中身や壁が津波に持っていかれて慚無(ざんな)い姿の家が並んでいる。道端には冷蔵庫やテレビ、ソファ、本棚などの家具が積み上げられている。
Yさんと大川さんが「屋根瓦(がわら)は無事だから、このあたりはそれほど高い津波じゃなかったようだ」などと話し合っている。「原発まで津波が来たのか」ということが気になっている様子。

いわき市平(たいら)新舞子海岸 地上1m 毎時0.49マイクロシーベルト

Yさんに、かなりの道のりを高速道路を飛ばして磐梯熱海の旅館まで送ってもらう。福島県ってすごく広い。

旅行を計画したときは、ただの観光旅行のつもりで、原発20km圏や津波の被災地まで来られるとは思っていませんでした。Yさんのお陰で、立派な調査旅行になりました。どうもありがとうございます。

タイトル解説「こんぐれーのちっとんべえの放射能、世話ねえよ。」=「これくらいの超微量の放射線は大丈夫です。」  以上