[51]中国の内蒙古から
日本では民主党の参院選大敗を受け、総括に揺れている時だと思います。このことに関しては、また副島先生や道場のみなさんよりコメントがあろうかと思いますが、どうもアメリカの経済の状態がいよいよ芳しくないことを隠す為に、世界各国の様々な地域で問題を起こさせているような気がしてなりません。もしかしたら、日本もその道具に使われているだけなのでしょうか?もはや自民党では望むべくもなく、民主党とダメとなると国民の拠り所となる政党は何所になるのでしょう。いよいよ日本の行く末が心配でなりません。
さて、そんな時に何ですが、中国で新しい仕組みが出来ました。まだご存知ない方もいらっしゃると思いますので、以下に情報を貼り付けます。
(貼り付け開始)
「対外貿易の人民元決済モデル地区 20省区に拡大」
中国人民銀行(中央銀行)、財政部、商務部、税関総署、税務総局、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)はこのほど共同で「対外貿易の人民元建て決済モデル地区の拡大に関連した問題に関する通知」を出し、対外貿易における人民元建て決済の実施モデル地区を拡大することを明らかにした。
この措置により、これまで上海市や広東省の4都市に限られていたモデル地区が、北京市、天津市、内蒙古自治区、遼寧省、上海市、江蘇省、浙江省、福建省、山東省、湖北省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、重慶市、四川省、雲南省、吉林省、黒竜江省、西蔵(チベット)自治区、新疆ウイグル自治区の20省・自治区・直轄市に拡大する。決済対象となる業務の範囲は、対外貨物貿易、対外サービス貿易、その他の経常項目。対象となる貿易相手先は、これまでの香港地域、澳門(マカオ)地域、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域から、すべての国と地域に拡大される。企業は市場の原則に則って人民元決済を行うかどうかを選択できる。
中央銀行によると、2009年7月にモデル地区で人民元決済がスタートして以来、各種の作業が順調に進展し、業務が秩序をもって行われ、操作手続きが簡便化して、モデル地区の企業や銀行はそろってこれを歓迎した。対外貿易の人民元決済業務は急速に増加し、企業や銀行のニーズも増加を続けており、モデル地区拡大の機は熟していた。今回のモデル地区拡大により、貿易と投資の利便化が一層促進されるものと期待される。(編集KS)
「人民網日本語版」2010年6月23日
(貼り付け終わり)
いよいよ、来るべき時がやってきた!という感じです。アジアにおける人民元のプレゼンスがますます高まってきます。しかも、中国政府は人民元の為替レートの弾力性を発表しており、事実その後切上がってきています。当の中国では、空前絶後の好景気に沸いており、人々は我先にマンション購入に走ったり、それが買えない人もより良い物件に引っ越しをしたり、自動車は2010年の上半期で900万台以上も売れました。これは日本の年間販売台数の2倍以上の数字です。無論世界№1です。「西部大開発」に代表されるような大規模公共投資にも余念がありません。ここ内蒙古にも高速道路計画が無数に発表されており、高速鉄道の建設工事も始まりました。呼和浩特(フフホト)には、「アジアで一番大きな高速鉄道の駅」と噂の駅舎の建設工事もピークを迎えています。これから3年もすると、今建設中のインフラが一斉に稼働することになるでしょう。すると、今よりも何倍も「ヒト」「モノ」「カネ」が中国全土を、文字通り縦横無尽に駆け巡ることになります。また、その勢いは中国国内だけに留まらず、どうもアフリカにまで届きそうな気配です。
私は先日、遅ればせながら「チンギス・ハン」とモンゴル帝国に関する書物に目を通しました。「駅伝」と呼ばれるインフラを構築し世界を席巻していった物語です。中学校の歴史の時間に勉強したような内容とは全く違うものでした。ちょっと脱線しますが、皆さんは「Japan」の語源をご存知でしょうか。そうです。東方見聞録で有名な「マルコ・ポーロ」に端を発します。彼はその巨大なモンゴル帝国に圧倒されながら、実際には訪れなかった日本をその著書の中で「ジパング(チパング)」と紹介しました。どうしてジパングかと言うと、中国人が日本のことをジパングと呼んでいたからです。「日本国」を今の中国の標準語で発音すると「ジーベングォ」になります。結局中国由来なんですね。
その中国が、人民元と鉄道及び高速道路網とパイプラインで再びアフリカまでその影響範囲を広げようとしています。相当本気です。これは「モンゴル帝国」の再来となりそうです。
しかし、日本の報道を見ると、今にも中国がパンクしそうな気配のことしか書いていません。「不動産バブルの崩壊間近」「株式市場低迷で景気減退」「中国4大銀行に巨額の資本注入~不良債権飛ばしの実態」「巨額の公共投資に息切れか」「膨らむ国家赤字の行方」and so on・・・・・。これでは中国に実際に訪れたことのない人たちの不安は募る一方です。また、観光旅行で上海や北京の一端しかみたことのない人たちも同様でしょう。国家ぐるみで善良な国民をミスリードしているようにしか思えないのです。正に戦時中の「大本営発表」を見る思いです。
日本は一体何所に向かっているのでしょう?