[484]福島県飯館村に行ってきました

長井大輔 投稿日:2011/04/22 22:04

長井大輔です。今日は4月22日です。

4月21日に福島県新地(しんち)町、相馬(そうま)市、南相馬(みなみそうま)市、飯館(いいだて)村に行ってきました。私の福島報告文(3)です。

福島県相双(そうそう)地区
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まずはじめに新地町に行ってきた。4月7日に来た時はJR新地駅(常磐線、上野-水戸-いわき-原ノ町-仙台)で停車していた時に、津波の被害にあった車輛(しゃりょう)が、無残(むざん)な姿を曝(さら)したまま放置されていたが、撤去されていた。あとで聞いた話だが、その被災した電車には偶然、相馬市に赴任(ふにん)しようとしていた警察官たち2人が乗り合わせていて、彼らが乗客を誘導して避難させたため、全員無事だったようだ。

津波で流された車輛(JR新地駅)
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新地町にある親戚(しんせき)の家に行ってみた。外観からは無事に見えたが、「危険」と書かれた赤紙が張られていた。理由は地震の揺(ゆ)れで瓦(かわら)が落ちてくるため、周辺が地盤沈下(じばんちんか)しているためと書かれていた。近隣の家々にも同様の赤紙が張られ、道路には地割れがあった。

つぎに相馬市の原釜(はらがま)地区に行った。4月7日に震災後、はじめてここに来た時は、自衛隊(JSDF)しかいなかった。今回は、ダンプカー20台くらいが道路に連(つら)なって集結していた。主に福島ナンバー、宮城ナンバーの車だった。朝の9:00だったがちょうど、作業開始の時刻に当ったらしく、自衛官、警察官、消防士、消防団員、土木作業員たちが朝礼(ちょうれい)をしていた。自衛官を中心としてチーム分けがなされていた。

ここでは自衛官2人に話を聞くことができた。「最近、民間の業者が入るようになってだいぶ、瓦礫(がれき)の片づけが進んだ。はじめは自分たち自衛隊だけでやっていた」。私がニュースなどで自衛隊は休みなしで被災地の支援に当っていると聞いているので、大変だろうと言うと、自衛官は「被災地の人たちがいちばん、たいへんな思いをしている。こういうときのためにこそ、自分たちがいる」と言っていた。

福岡ナンバーの重機(じゅうき)を乗っけたトラックもあったが、建設業者の中心は現段階では福島県内のようだ。

それから次に南相馬市に行ってみた。案の定、避難区域20km圏内の小高(おだか)区に通じる道では警察が検問を張っていたが、今日の担当は京都府警の機動隊だった。私も検問地点の交叉点(こうさてん)でただ信号待ちをしているだけで、職務質問された。私の車が「所沢(ところざわ、埼玉県所沢市)ナンバー」だったから怪(あや)しまれたのかもしれないが。

行く先を聞かれ、避難区域内に入らないように言われた。日本政府が4月22日から避難区域を警戒区域(けいかいくいき)に切り替えるというニューズが流れていたため、地元民と思われる車が続々と避難区域の中に入って行った。南相馬市役所に行ってみると、被災証明書の申請をする人々で混雑していた。

最後に南相馬市から県道12号線を通って、飯館村に行った。TVで大騒ぎされているのとは違い、村はひっそりとしていたが、住民たちは計画避難について雑談していた。ここでは住民2人に話を聞くことができた。

それによると「年寄(としより、としょり)や牛を飼(か)っている人は絶対、残ると言っている。60代以上の高齢者は放射線は(自分の寿命には)もう関係ないと思っている」、「若い人は飯館村からの避難を考えている。すでに自腹(じばら)で福島市にアパートを借りて、子どもと一緒に避難している人もいる」、

「計画避難は枝野さん(内閣官房長官)が言っているだけ。菅さん(首相)はハンコをついていない。だから被災証明書が出ない。それで金も出ない」、「村役場は計画避難の準備をしている」、「住民は落ち着いて日常生活を送っているが、役場対住民の座談会では激しい議論になる」とのことだった。

村役場には支援物資が積み上げられ、人の往来(おうらい)も多く、TVクルーが取材に来ていた。

飯館村役場
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日本政府は22日、福島第1原発から半径20km圏内の地域について、立入禁止や退去を命令できる「警戒区域」に指定した。また「警戒区域」の外側で、放射線の累積(るいせき)線量が年間20mSv(ミリシーヴェルト)に達する可能性のある福島県内5市町村の全域か一部を「計画的避難区域」に指定した。毎日新聞から該当記事を貼(は)りつける。

(転載貼り付け開始)
毎日新聞 2011年4月22日 9時54分(最終更新 4月22日 19時15分)

福島第1原発:浪江町など「計画的避難区域」指定

政府は22日、東京電力福島第1原発から半径20キロに設定した「警戒区域」の外側で、放射線の累積線量が年間20ミリシーベルトに達する可能性のある福島県内5市町村の全域か一部を「計画的避難区域」に指定した。浪江町、葛尾村、飯舘村の3町村全域と、南相馬市、川俣町の2市町の一部が対象。政府は福島県や関係自治体と連携して住民の避難先を確保し、5月下旬をめどに完了させる方針。枝野幸男官房長官が22日午前の記者会見で明らかにした。

◇解除は半年以上先
原子力災害対策特別措置法に基づく措置。枝野氏は避難解除時期について「新たな放射性物質の堆積(たいせき)がなくなることが前提だ。(東京電力の工程表に示されている)6~9カ月後の段階で検討する」と述べ、半年以上先になるとの見通しを示した。対象地域の安全が確認され次第、土壌改良を行い段階的に避難を解除していく方針。

◇田村市など「緊急時避難準備区域」に
政府はまた、同法に基づき、原発から半径20~30キロ圏内で、計画的避難区域に指定されなかった地域を「緊急時避難準備区域」に指定した。田村市、南相馬市、広野町、楢葉町、川内村の5市町村の一部が対象。

緊急時にはすぐに屋内退避や区域外避難をすることが求められる。自力での避難が難しい子供や妊産婦、高齢者、入院患者らにはあらかじめ避難するよう促す。一方、仕事勤務や生活物資輸送のための出入りは認められる。

対象は、計画的避難区域が計約3000世帯、約1万500人、緊急時避難準備区域が計約2万4000世帯、約6万7000人。両区域指定に伴い、20~30キロ圏内向けの屋内退避指示は解除した。北部の一部が30キロ圏内にかかる福島県いわき市は緊急時避難準備区域の対象とはしない。

計画的避難区域設定を巡っては、畜産業が盛んな飯舘村などで家畜の区域外移動を求める声が強い。枝野氏は会見で「区域外への移動や出荷を支援したい」と述べ、放射性物質の全頭検査などの支援を実施する考えを示した。

原子力損害賠償法に基づく賠償や、1世帯100万円、単身世帯75万円の一時金支給は、計画的避難区域だけでなく緊急時避難準備区域の対象者にも支給する方針。準備区域での自主避難者も支給対象とする方向だ。

また、枝野氏は原発周辺地域の放射線測定態勢を強化し、放射線量の分布地図などを策定する意向も表明。30キロ圏外で計画的避難区域に指定された飯舘村と川俣町に「現地政府対策室」を設置したことも明らかにした。【影山哲也、山田大輔、河内敏康】
(転載貼り付け終わり)