[472]議論を拝読して
大阪在住で、初めて書き込みをさせていただきます。堀江様と市井の福島市民様の議論を拝読させていただいて、どうしても、一言書かせていただきたくなりました。
東海地震と関東大震災型の巨大地震は必ず起こります。このことを否定する地震学者は一人としていません。では、今から少なくとも10年は大丈夫かというと全くそうではありません。ご存じのように最後の東海地震(安政東海地震)が起こってから、すでに157年が経過しており、それ以前の4回の東海地震の間隔を上回っています。それどころか、通常、滅多なことでは悲観的な報道をしない大手報道機関でさえ、東日本大地震が周囲の地殻に与えた大きな影響により、近い将来の巨大地震の発生に警戒するよう伝えています。隠ぺい主義の大手マスコミですら近日中の大地震を警告している状況なのです。なので、特に危険が差し迫っている東北、東海地方のすべての原発は、四の五の言わずに、今すぐ停止するしかないと思います。その後、可及的速やかに日本の全原発を廃止する。この場に及んで、これ以外に正しい選択肢があるのでしょうか?
今回の、福島第一原発の事故が伝えたメッセージは、電力会社や政府が言い続けてきた「安全でクリーン」という宣伝が真っ赤なウソであったということです。例えば、浜岡原発が、静岡県御前崎付近を震源とするM8クラスの東海地震とその津波に耐えうるなどと、この場に及んで真面目に信じる方が本当にいるのでしょうか?もし、そうなら、それこそ信じられない感覚です。
経済問題?、冗談ではありません。福島第一原発たった一か所の事故だけで、東京電力が、これまでしこたまため込んだ資金を全部つぎ込んでも到底まかないきれないような損害をまき散らして、今まさに国民の血税を投じて補てんしようとしている最中じゃないですか?国民が過去に原発による電力の恩恵を受けていたとしても、すべてチャラどころではありません。先のことを考えても、危機をあおって全原発を停止して、あとで何も起こらなかった場合に被る経済的損失など、もし、このまま稼働を続けて、1機でも爆発を起こして大量の放射能をまき散らした場合の経済損失に比べれば、微々たるものだと思いませんか?まさに、福島がそのことを教えてくれたのではないですか?
「浜岡を止めて、そこで働きそこで暮らす多くの人をどう食わせていくのか?」。市井の福島市民様は、浜岡原発の労働者の就職先を決めてから原発を止めろ(決まらなければ止めるな)とおっしゃるのでしょうか?でも、どう考えても逆のほうが良いと思います。取りあえず止めてから、就職先を探す。それまでのブランクは公的資金で生活を保障する。もし、地震による事故が起これば、真っ先に死ぬ確率の高い方々です。電力会社や政府が払う補償金も莫大です。人道的にも経済的も、当然逆ではないですか?
そもそも、副島先生の本を読んでおられる方なら、もし、地震がなかったとしても、今後、日本はアメリカと抱きつき心中する格好で、国家デフォルトの危機に見舞われ、預金封鎖を含めた非常措置がとられる可能性が高いことを理解されているのではないですか?生活費3割カットなどというレベルの騒ぎではないことは明らかです。そんな中で地震災害がこれ以上続いた場合の悲惨さは言語を絶します。それなのに、さらに放射能汚染のおまけがつくなんて本当にまっぴらごめんです。ハイパーインフレで食糧輸入ができない、放射能汚染で国内の農業も漁業もダメ。もし、こんなことになれば、生活レベルの低下どころか餓死者が続出です。悲観的な妄想ではなく、本当に起こりうることではないのですか?
実際、今回の福島の事故を受けて、世界中で反原発のうねりが高まっている中、当の被害国である日本の国民、特に、例えば学問道場の会員などの一定以上の知識層が、「経済的理由」や「現実的問題」などを盾に、原発を「必要悪」として容認しようとする動きがあること自体が、私には信じられません。今、迫っている本当の危機にまっすぐに目を向けない「現実論」なんて、いざ、ことが起こってから振り返れば、「多くの人を死に追いやった最悪の非現実論」として語り継がれることは明らかです。
「実際に現地に出向いて被災の現状を目でみてからにしろ」とか、「安全な場所から偉そうに意見するな!」なんていう議論はどうかやめて下さい。原発事故が起こっても心配がいらない土地なんて日本中どこにもありません。経済崩壊や食糧難も全国民の問題です。被災者でなくとも、皆、「明日は我が身」と福島のことを心配しています。あと、「そんなに言うならお前がやれ」というのもなしにして下さい。もし、たまたま思いついた人がそれを簡単に実行できる社会なら、そっちの方が大問題です。やはり、一般国民が取ることのできる手段というのは、まず、情報を共有して意見を統一し、次に、力を合わせて、小沢さんのような有力な政治家やメディアなど働きかけるとか、デモやストライキに訴えるということではないでしょうか。この大切な最初の意見をまとめる段階で、「現地におもむけ」、「お前がやれ」などと敵意むき出しで喧嘩してしまっては、すでに、そのグループ(学問道場会員)は負けだと思います。政・官・外・財・電の「悪徳ペンタゴン」による原発推進政策が強行され続けるかも知れませんし、それを阻止しようとする新たな勢力が力を発揮して原発をとめてくれるかも知れません。ハッキリしているのは、どちらにしても蚊帳の外で、犬のように吠え続けるだけになるということです。それが、副島先生の意思にそうとは到底思われません。