[454]副島先生の報告文12の感想と分析 その1

佐藤研一朗 投稿日:2011/04/16 07:03

アメリカ、ニューヨーク州ロチェスター市の佐藤研一朗です。一応学問道場の研究員の一人に加えてもらっています。今日は4月15日です。

自分は、今回の東日本大震災がおきてから、今回の原発の問題を、余震や放射能の恐怖もないアメリカから観察していました。事態をある程度冷静に受け止めている立場から、副島先生の報告文12まで読んだ感想と分析を書きます。

まず、副島先生と学問道場の研究員の仲間の体を張った原発事故の報告を賞賛したいです。いち早く現地に入って放射線のレベルを測って来たことは凄い活躍だと思います。現地でも直ちに健康に被害が出るレベルではないと分かったことで、後に続いてジャーナリストや専門家が現地に入りやすくなった。これは大切な事です。潜入リポートの動画を海外のメディアにも送るべきだと思います。

先生のボヤキの報告文12には一定の説得力があったと思います。自分もかなり説得されました(まだ完全にでは無いですが)。

報告文12を読んで、少なくとも原発から遠い東京などから避難した人は、もう戻っても大丈夫だと思ったはずです。たしかに東京などの放射線レベルはすでに平常値です。(各地の放射線レベル一覧をご覧ください。 http://atmc.jp/

ただ、原発近くの避難地域から避難した人や、漠然と福島原発の今後に不安を持っている人は、まだ安心していないでしょう。

この原発事故は個人の生命に関わってくる問題なので、防衛本能が働いて、みんなが慎重になるのは仕方が無いことだと思います。しかし原発の問題を頭の中で整理できないと、日本全国復興モードにならないというのは、そうだと思います。

あまり感情的にならず、十分な根拠を示し、精密に議論をすれば、もっと説得力が上がり、現場まで行ってきた先生の言う事に、もっと多くの人々が耳を傾けるはずです。我々が頑張って何とか復興への道筋を描いていかなくてはいけません。

<ボヤキに掲載された報告文11までで示されている情報>

では、報告文11までに先生が提示した情報が、客観的にどんな意味があったのか考えてみましょう。
副島先生が福島第一原発の正門まで近寄って放射線レベルを測定したことで、つぎのことが分かりました。

1.政府が出している放射線のレベルが捏造でないこと。

2.福島第一原発の前ですら、直ちに健康に被害が出るほどの放射線のレベルではない。

3.原発の周辺地域でも、同様である。

4.避難している周辺住民(中年以上の男性)が一時帰宅して、必要な物を取りに帰るのは妥当である。

5.原発周辺の土壌汚染はかなり酷い。

報告書11までを読んで、原発周辺でこの程度の放射線レベルならば、原発から離れた東京などから避難した人は子どもを連れて帰ってもいいだろうと考えた人は多かったと思います。しかし原発周辺から避難した人が、子供を連れて帰っても安全だという根拠は現場の放射線レベルのほかは示されていなかった。

<ボヤキの報告文12で加えられた新たな情報>
次に報告文12で、新たにわかった情報を考えてみます。

1.副島先生の落ち着いた感じの動画のおかげで、先生が冷静に現場に行って状況をみてきたことが分かる(情報混乱状態の中、落ち着いた言葉使いや、文章の書き方が説得力を持つ。)

2.ICRP(国際放射線防護委員会)が出している数字(緊急時は20ミリシーベルトから100ミリシーベルト/年までOK、長期的には1ミリシーベルトを目指すべき)は非常に説得力があった。安心して避難地域にも帰ってもいいという、一つの判断基準を示した。

3.各地の放射線の推移のグラフが、(少なくとも現状では)事故が収束の方向に向かっていることをハッキリと示している。

4.各専門家や、政府や保安院の政治的立ち位置

5.避難地域の人々の大変な様子

報告書12で副島先生が、ICRP(国際放射線防護委員会)が出している放射線レベルの基準(緊急時は20ミリシーベルトから100ミリシーベルト/年までOK、長期的には1ミリシーベルト/年を目指すべき)と、自分で現地にいって測ってきた放射線レベルを比較して、安全だと言っていることが分かったのはいいことだと思う。このICRPの緊急時の基準値の意味をもう少し詳しく調べる必要があると思いました。

各地の放射線の推移のグラフを見るとやはり3月13日から数日間が一番高かったことが分かる。結果的に、いち早く3月12日に出来る人は自主的に避難するべきだと言った副島先生は正しかった。3月13日から数日間をピークに、各地で放射線レベルがだいぶ下がっている傾向にあることがよく分かった。現状で放射性物質の拡散が悪化していない、改善していることを、グラフが語っている。

次の投稿でこのくらいの情報が分かれば、自分は安心するということ書いていこうと思います。