[422]放射線被曝の正しいイメージ

近江太郎(おうみ たろう) 投稿日:2011/04/10 20:50

平均的日本人は年に1回ぐらいはまとまった放射線に被曝しているだろう。そう、レントゲン写真やCTスキャンと呼ばれる医療行為によって行われる放射線被曝であり、私たちはそれを甘受している。これは医療被曝と呼ばれているらしい。大病院であろうとクリニックであろうと高額の医療機器が多数導入されているので、医者に診てもらうと、やたらめったらそれらの高額機器を使った検査やレントゲン撮影を求められる傾向が顕著である。

高額の医療機器を使っている医療機関としてはそれを償却しなければならないから、経営上の立場から必然的に患者に検査を勧める。だから、中には不必要な医療被曝を受ける羽目になる事も当然多々あるだろう。

最近では医療被曝でさえなるべくなら避けた方がいいということを主張する意見が増えてきた様な気がする。病院の経営という事にフリーな立場の良心的な医者程そのような主張をしていると思う。

それでも医療被曝を私たちが甘受するのは被曝による人体へのダメージと検査によって得られるであろう病気の早期発見という利益を比較して、後者の方がはるかに利益が大きいと信じているからであろう。ちょうどミツバチの巣を襲い蜂蜜を食べる黒熊が怒ったミツバチに鼻の頭を刺されるのと似ている。ハチに刺されるという痛みよりも蜂蜜を食べるという利益の方がはるかに大きいから熊は刺されるリスクをあえて冒すのである。

現在私は大津市という地方都市の古い家に住んでいる。昨年夏にムカデに指を咬まれた。飛び上がる程痛く、三日間指が腫れあがりズキンズキンと痛み、一か月は傷跡が残っていた。しかし、健康には影響は無く元気であった。田舎に暮らしていれば年に一度や二度は毒虫やハチに刺されるのは当たり前である。そのくらいのことで健康を損ねるほど人間は弱くはない。

しかし、一度に十匹のムカデに咬まれたとしたらどうだろう。かなりのダメージを受けるだろう。もし、毎日ムカデに咬まれ、一年間咬まれ続けるとしたら、それはとても恐ろしい事だろう。あるいは、一時間に1回、一日24回、一年に8760回咬まれるとしたら、、、私は死んでしまうであろう。恐らくたいていの人が死んでしまうのではないだろうか?

レントゲン写真も年に1回か2回なら問題はないだろう。しかし、毎日レントゲン写真を撮影し一年間続けるとしたら、あるいは一時間に1枚、一日24枚、年間8760枚撮り続けるとしたら、、、かなり勇気がいるだろうし、ほとんどの人はそれを拒否するだろう。

微量の放射線でも被曝すれば人体に小さなダメージを受ける。レントゲン写真なら可愛いミツバチに一針刺された様なものだ。大した事はないかもしれない。しかし、千匹のミツバチに襲われたらショック死するだろう。可愛いミツバチも大群で襲ってくれば恐ろしい事になる。だから、ミツバチであろうがムカデであろうが刺されたくはないと感じるのは人間の素直な正しい感覚なのだ。

原子炉の中にはどうやらミツバチだけでなくアシナガバチやクマンバチも居るらしい、蜂だけではなくムカデやサソリ、マムシやコブラの様な猛毒の連中もいるらしいということに最近私はやっと気がついた。

もう遅いかもしれない、手遅れかもしれないと悲観的になる事もある。ここで、私たち会員が本当に真剣に考えておかなければならないことが一つある。それは確実にやってくる次の大地震(東海地震、東南海地震、南海地震等々)への備えである。

私の住む大津市の北5~60キロ圏には恐ろしい猛毒を閉じ込めた原発が何基も存在する。この原子炉の運転を止める事をこれからしなければならないと思っています。各地方の会員の皆様も地元の原発について真剣に議論していただきたいと思います。そして、脱原発という結論が出るならば、直ちに原発の運転中止に向けた行動を起こしていただきたいと申し上げさせていただきます。