[3557]ロバート・ケネディJr(ジュニア)の 2024年 大統領選 出馬表明の 演説動画を紹介します。【前編】

一会員(一弟子) 投稿日:2023/06/01 04:15

一会員(一弟子)です。今日は、2023年6月1日(木)です。

副島先生が、ひとつ前の書き込みで取り上げたとおり、ロバート・ケネディJr.(ジュニア)が、大統領へ立候補する表明演説をボストンで行いました。今年2023年4月19日でした。

演説会場でのロバート・F・ケネディ・ジュニア

私は、このときの演説の様子を、そのまま放映する動画サイトを見つけました。以下は、このおよそ1時間50分の演説の動画を見て、私がその中で、重要だと思うポイントをまとめました。走り書きのメモです。
とくに、副島先生が衝撃を受けた、「世界に800ある米軍基地をすべて閉鎖する」という公約の演説を、ロバート・ケネディJr本人が、直(じか)に語りかける姿を見たいと思った。だから、その部分の演説を中心に書き出しました。

ロバート・ケネディJrは、日本のメディアでは露出を抑(おさ)えられてきた。今でも日本では、ほとんど報道されない。
しかし、ロバート・ケネディJr(ジュニア)こそが、アメリカの真の「反体制派のリベラル」の中心人物だ。反体制派(はんたいせいは)というのは、「アンチ(アンタイ)・エスタブリッシュメント(anti-establishment)」と言って、日本語にもなっています。

ロバート・ケネディJrは、「環境問題」と「消費者保護」が専門の弁護士として、ずっと仕事をしてきた。政治家ではありません。アメリカでは、「グリーン(Green)」と呼ばれます。「緑の党=グリーン・パーティ」というアメリカの第三政党と活動してきたからだ。しかし、このときの「グリーン・パーティ(緑の党)」は、いまの欧米のネオナチ系の緑の党とは別物だ。この元祖の「緑の党」から乗っ取られ、分離している。

ロバート・ケネディJrは、古くからの環境(公害)弁護士の重鎮(じゅうちん)である「ラフル・ネーダー派」の、消費者保護運動の活動家たちと、一緒に動いてきました。

ラルフ・ネイダー(1934年~、89歳)とロバート・ケネディJr(1954年~、69歳)たちは、大企業との裁判をずっと闘ってきた。
ラルフ・ネイダーこそは、アメリカの消費者保護運動、環境活動家たちの「精神的指導者」であり、「アメリカ消費者運動のヒーロー」であると、副島先生の『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社α文庫、1999年間刊、原書は1995年に筑摩書房から刊行)の392ページでも、すでに取り上げられている。

ラルフ・ネーダー

例えば、ロバート・ケネディJrが若い頃つとめていた、カリフォルニアの環境問題専門の弁護士事務所は、モンサント社などの巨大農業企業に対する農薬被害の訴訟で、賠償金3億ドル(約400億円)を企業側に払わせている。あの悪名高い「ラウンドアップ」という除草剤だ。

アメリカのリベラル活動家や弁護士たちには、これだけの活力と、高い能力がある。大企業を相手取って闘うという、こうした左派(リベラル、レフテスト)の環境活動家たちは、アメリカで1960年代に誕生している。
消費者保護、環境保護、一般国民のために、巨大企業を告訴する活動や、大企業と癒着して、利権をむさぼり、国民の消費者被害をかえりみない政府や政治家たちを、次々に告発してきた。

このアメリカ発祥の環境・消費者保護活動の「創業者」が、ラルフ・ネイダーだ。そして、その20歳年下の弟子が、ロバート・ケネディJr.である。

日本国内にも、環境評論家や環境・消費者保護派のジャーナリスト、環境・消費者活動家は、たくさんいる。彼らの活動の「原型」「プロトタイプ」が、このアメリカの「元祖」反政府・反大企業の環境活動家、消費者運動、環境保護活動家の、ラルフ・ネイダーであり、ロバート・ケネディJrということだ。だから、この二人の名前や業績に触れずに、日本で環境活動家や消費者保護、反ワクチン派、反政府ジャーナリストを名乗ることは、本当はできない。アメリカ「本家」が築き上げた、この闘いの歴史を学ばずには済まない。彼らがこの戦後60年間に成し遂げてきた軌跡と、その実績を知る必要がある。

このロバート・ケネディJr.が、今になって、2024年の米大統領選挙というこの決定的タイミングで、表(おもて)に大きく出てきたことが、世界の歴史が動いていることの証明だ。

民主党(デモクラッツ)最大の「反体制派」が、このロバート・ケネディJr.(1954年~、69歳)である。いっぽう、共和党(リパブリカン)の中での最大の「反体制派」が、ドナルド・トランプ元大統領(1946年~、76歳)だ。だから、この二人は同格だ。そして、どちらも、政治家の出身ではない。

2017年にトランプタワーでトランプと会談した直後のケネディJr.

アメリカ二大政党のそれぞれのなかで、まさにいま現在、「反体制派(アンチ・エスタブリッシュメント)」「民衆派(ポピュリスト)」の大御所として、構えている。共和党内と民主党内の、それぞれの「草の根」の、一般国民の支持者たちから、強力な支持を集めています。

ロバート・ケネディJr.は、JFK(ジョン・F・ケネディ、1917~1963)の実弟であり、ケネディ政権で司法長官をつとめたロバート・ケネディ(1925~1968)の次男(6人兄弟)だ。良く知られるとおり、ケネディ兄弟は、いずれもアメリカの支配層によって殺されている。まさに今、「ディープ・ステイト」として世界中に知られるようになった欧米世界の支配権力者たちである。不可解で、謎の多い暗殺事件ということで、いまだに真相が明かされていない。

JFK当選直後の家族写真。JFKの右隣がロバート、椅子に座っているのがテッド

ロバート・ケネディJr.は、現在も精力的に、活動を続けている。国民の生活や健康に被害を与える「大企業犯罪」、アメリカ政府による「戦争経済」「軍産複合体」(ミリタリー・インダストリアル・コンプレックス)と「金融資本」による、米政治・経済への組織的な支配に、真正面から、対決し続けています。

アメリカの左派(左翼)=リベラル勢力のなかでも、最も良心的で「戦争反対」をどこまでも突き抜けて貫く、精神的な過激派である。政治思想の全体構図の中では、環境保護派「動物の権利」までも主張する「アニマルライツ派」という最左翼に位置づけられる。(『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』、226ページの図から)

だから、大企業をスポンサーとする大手メディアや、体制派の政治家や知識人たちからは、「陰謀論者」とか「過激主義者(extremist、過激派)」とレッテルを貼られてきた。

しかし、ロバート・ケネディJrは、どこまでも、徹底した庶民派だ。自分は、いい家柄のサラブレッドなのに。だから偉い。尊敬を集める。父親のロバートケネディも叔父(おじ)のJ.F.ケネディも、そうだった。
「アメリカの一般国民、中流階級(ミドル・クラス)の繁栄によってこそ、健全な民主政治(デモクラシー)が実現できる」という政治信条が、ケネディの環境・消費者保護活動の骨格にある。

つまり、リベラル派の、左翼活動家・知識人のなかにいる、強力な「庶民派=ポピュリスト」である。これが、「伝統的リベラル派」(トラディショナル・リベラル、クラシカル・リベラルとも呼ばれる)だ。ロバート・ケネディJrが、いまアメリカのリベラルのなかで、ただ一人、これを代表して引っ張っている。

「トラディショナル(伝統的、元来の、復古的)・リベラル」というのは、さんざん批判を受けてきた「ネオ・リベラル」に対して、意識的に使われる言葉だ。彼ら、伝統的な本流のリベラル政治家たちは、「外国への介入主義・干渉政策」(インターヴェンショニズム)とアメリカの「世界支配主義」(グローバリズム)という、「帝国主義」の覇権政策に強く反対する。

トランプ大統領に代表される、保守派(右派)の「アイソレイショニズム」(国内問題優先主義)とまったく同じことを主張している。だから、お互い、通じるところがある。

これは、彼らの思想のおおもと、源流が、同じところにあるからだ。これが、「アメリカ建国の思想」です。イギリスの貴族党「トーリー党」に対抗した経営者や商人たちの「ホイッグ党」が掲げた、リベラルの思想である。
「リベラル(Liberal )」というのは、個人の権利と自由な経済活動、王権や政府からの権力介入に徹底して対抗する、巨大な政府権力による専制、貴族や官僚機構の強権的な政策、全体主義や国家統制を否定する、「クラシカル・リベラル」の伝統を継ぐ政治思想だ。

これに対峙するのが、「グローバリズム」(覇権主義、地球支配主義)だ。アメリカが世界中に出ていって、アメリカの価値(ソフトパワー)と世界の警察(ハードパワー)で世界を管理しようと訴える。民主党のヒラリー・クリントン(1947~、75歳)たち狂信的な好戦的「グローバリスト」(世界支配主義者)である「ネオ・リベラル」の左翼たちと、共和党の「ネオ・コン」(ネオ・コンサヴァティヴ、新保守)の勢力である。ここと、大きく対立する。

だから、ロバート・ケネディJrは、民主党にとっても、第3政党にも、非常に重要な活動家であり、リベラル派のなかでも貴重な存在なのだ。そして、このように、右派(保守)と左派(リベラル)が同じ主張を唱える部分で、「リバータリアン(Libertarian)」という、第3の政治勢力が生まれた、ということが分かる。

副島先生が30年も前から、アメリカの政治思想研究で書かれてきたとおりだ。『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社α文庫、1999年間刊)などで暴き出したとおり。アメリカの民主党・リベラル勢力は、「グローバリスト」の政治家や巨大企業に乗っ取られている。

民主党の左翼・リベラル派の中にありながら、アメリカの企業支配と軍事力によるグローバルパワーで、世界を救済して助けるフリをして、その上で管理しておくべきだ、と考える。これが、「グローバリスト」(地球支配主義者)の勢力だ。ロバート・ケネディJrは、彼らを、アメリカ政府のなかの「帝国主義者」(インペリアリスト)であると、批判しています。
これが、共和党のなかの「ネオ・コン」(ネオ・コンサヴァティヴ、新保守)勢力とも結びついている。好戦派のヒラリー・クリントンを頂点とする狂った民主党内の「ディープ・ステイト」勢力のことだ。

これに対して、本来の、「伝統的なリベラル」(Traditional Liberal)、あるいは「南部民主党」(サザン・デモクラッツ)などの、「庶民派、民衆主義=ポピュリズム」の、元来のリベラル派たちが、ボビー・ケネディJrを、草の根で支えている。
アメリカの世界支配・帝国主義の政治・経済政策や、外国での干渉戦争で、アメリカの一般国民が犠牲(ぎせい)になることに、徹底して反対する。これが、左派の「リバータリアン(Libertarian)」にもつながっている。

それでも、ロバート・ケネディJrも、いっときは、ヒラリー・クリントンやオバマの政治活動で、一緒に動いていた。ここに至る経緯は、2000年に、あの『不都合な真実』というドキュメンタリーや著作を2006年に出して、世界的にヒットしたアル・ゴア(1948年~、75歳)の、2000年の大統領選出馬をサポートしたことが発端だ。

アル・ゴアとヒラリー・クリントン

このときに、長年共闘してきた師匠(ししょう)の、環境・消費者保護の社会活動家ラルフ・ネイダーは、民主党ではなくて、第三政党の「緑の党(グリーン・パーティ)」から、アル・ゴアに対抗して出馬している。このときに、アル・ゴアを支援する側に立ったロバート・ケネディJrは、ラルフ・ネイダーから引き離されている。
しかし、アル・ゴアやヒラリー、オバマたちの実態(本性)を知って、袂(たもと)を分かっている。彼らこそが、まさに巨大企業や軍産複合体と癒着して動いていた。そのための好戦的なタカ派の政策を強行している「張本人」たちだ。だから、近年は、ロバート・ケネディJrは、またラルフ・ネイダーとは仲直りして、良好な関係を維持しています。

ラルフ・ネイダーは、1960年代から、アメリカの大企業たちを相手取って、たくさんの訴訟を仕掛け続けてきた。アメリカの消費者保護運動を、たった一人ではじめた活動家である。
その端緒が、GM(ゼネラル・モータース)でした。1960年から販売したシボレー・コルヴェア(Chevrolet Corvair)という自動車の設計で、安全性に大きな欠陥があることを、百件以上の実際の事故の事例を調査して、GM社に対して、製造・販売の中止と被害者(購入者、消費者)への賠償を求めた。

その時、ラルフ・ネイダーが書いた自著、『Unsafe at Any Speed(どんなスピードでも自動車は危険だ)』(邦訳無し、1965年刊行)が、全米でベストセラーになった。ラルフ・ネイダーは、同書でそのGM車の危険性を具体的で詳細に訴え、全米の注目を集めた。これがその後の、GMによる同車の製造を中止にまで追いやった。アメリカ政府による自動車メーカーへの安全性基準の制定へと動かしている。

こうした、政党や政治家の派閥を飛び越えた、市民、消費者を保護する活動家として、ラルフ・ネイダーは、全米に知られるようになる。消費者・環境者保護活動家として、アメリカの戦後時代を、一世風靡(いっせいふうび)した。だから、ラルフ・ネイダーは、これまでにも、民主党や第3党(ザ・サードパーティ)の新党から、大統領選挙に出馬するよう歎願(たんがん)され、実際に4回、立候補している。

2000年の共和党のジョージ・W・ブッシュと民主党のアル・ゴアとの大統領選挙対決のときには、環境問題を訴える民主党候補のアル・ゴアを助けるべきだ、と言われていた。しかし、構わずに、第3政党から出馬している。民主党の支持層のなかのアル・ゴアへ行くべき票を、第三党のラルフ・ネイダーが奪い取ってしまった。それで、民主党内から、同志であるはずのアル・ゴアの当選をさまたげた、と批判を受けた。

しかし実際は、ラルフ・ネイダーは、アル・ゴアの環境保護活動が、大企業やNYの金融資本のヒモ付きであるあることを知っていて、嫌っていた。

ラルフ・ネイダーは、このように、アメリカのリベラルの庶民派活動家の、大御所(おおごしょ)の存在です。いまでも、89歳で現役で活動している。ネイダーの後を継ぐロバート・ケネディJrは、ケネディ家のブランドもあり、米国内では、いまでも根強い人気があります。大物政治家や巨大企業などの既存の権力者に立ち向かい、一般国民を守るポピュリスト(民衆主義者)の活動家として、多くの指示を集めています。

だから、政敵であるはずの共和党のドナルド・トランプが、大統領に当選した2016に、ロバート・ケネディJrは、何と、トランプ政権の「ワクチン安全性特別委員会」(Vaccine Safety Task Force)の議長候補として、トランプから声をかけられている。
実際、2017年の1月10日には、ロバート・ケネディJrはトランプ大統領と会って話しています。そして、一旦は、この役職への就任を引き受けている。ここから、トランプ大統領とのつながりが始まっています。

しかし、反トランプを掲げるハリウッド俳優のロバート・デニーロが、慌てて、翌月の2月に、ロバート・ケネディJrに会いに行った。そして、反ワクチンのキャンペーンを一緒にやろうと誘い込んでいる。ロバート・ケネディJrをトランプから引き離そうと動いた。このため、ロバート・ケネディJrのトランプ政権入りは、実現されていません。

ビル・ゲイツとアンソニー・ファウチ

極めつけは、ロバート・ケネディJrが2021年に出版した、『アンソニー・ファウチの真実:ビル・ゲイツ、大手製薬会社、そして民主政治と公衆衛生を巡る世界戦争』(原題:“The Real Anthony Fauci: Bill Gates, Big Pharma, and the Global War on Democracy and Public Health.”、邦訳無し)という衝撃の著作だ。

(アマゾンのページ)

https://www.amazon.co.jp/Real-Anthony-Fauci-Democracy-Children’s/dp/1510766804

この本は、アメリカ本土では、決して「陰謀論」あつかいはされず、ベストセラーになっている。その緻密で科学的な分析と実態を暴き出したことで、あらゆる方面から、高い評価を受けています。
元FBIの捜査官や、映画『JFK』(1991年)のオリバー・ストーン監督など、多数の有力な人物から、レビュー(review、書評、日本で言えば本の帯の推薦文)を集めている。ニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリートジャーナル紙、アマゾンでも、ベストセラー書籍となっている。

コロナワクチンの安全性への激しい攻撃と、その裏側にいたアンソニー・ファウチと、ビル・ゲイツを中心とするCDC(米疾病予防管理センター)やダボス会議(世界経済フォーラム)の組織的なワクチン薬害問題を暴いたこのロバート・ケネディJrの本が、はたして、日本で邦訳されて出版されるか。

(前編ここまで)