[3526]ウクライナ戦争の、目下の大(だい)激戦地であるバフムートの戦いの概要を書きます。
副島隆彦です。 今日は、2023年3月10日(金)です。
藤森かよこ さんの 新刊書「ニーチェの ふんどし」 の 宣伝を、今日のぼやき でしています。 読みに行ってください。明日、私がここで、私からの掩護射撃(えんごしゃげき)の応援の文を書いて載せます。
ウクライナ戦争での、東部ドネツク州の 要衝(ようしょう)で、要塞都市化して、ウクライナ軍の防御が堅かった、バフムートBakhmut の陥落が間近に迫っている。
下に載せる ブルーンバーグの 記事 「 バフムトは近く陥落の可能性も - ストルテンベルグNATO事務総長」( 昨日、3月9日) の 通りである。ただ、ウクライナ軍の降参、降伏、投降がまだない。ウクライナ軍の西方への退却・撤退も見られない。だからバフムートは、3月10日現在でも、まだ陥落していない。
(ここに ウクライナの、目下の戦場になっている主要都市の載っている地図を貼る)
(転載貼り付け始め)
〇 「 バフムトは近く陥落の可能性も - ストルテンベルグNATO事務総長」
Ukraine Latest: NATO Chief Warns Bakhmut May Fall Soon UN’s Guterres Visits Kyiv as Crop-Export Deal Talks Continue
2023年3/9(木) ブルームバーグ
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長はウクライナ東部の要衝バフムトが「数日以内」に陥落する恐れがあると指摘、その上で陥落してもウクライナでの戦争の転換点を意味することにはならないだろうと述べた。
(ここに、ストルテンベルグの写真を貼る)
ストルテンベルグ氏はスウェーデンでの欧州連合(EU)国防担当相らとの会合を前に「ウクライナへの支援を継続しなければならない」と述べた。
ウクライナ軍のシルスキー陸軍司令官はバフムト近郊で展開する部隊を訪問。今週2回目の訪問となる。レズニコフ国防相はEUの草案で提示された10億ユーロ(約1440億円)の支援では弾薬購入に不十分だとして、その約4倍が必要だと訴えた。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 欧州のNATO軍を率いる ストルテンベルグは、他の将軍たちと同じく、対(たい)ロシアでの戦争の遂行の強硬派だ。彼は、統一教会(Moonie ムーニー)と同格の、ヨーロッパの反共右翼の結集軸である、WACL(ワックル。ワールド・アンタイ・コミュニスト・リーグ。世界反(はん)共産主義同盟 )の大幹部である。 これは、デープステイト deep state = Cabal カバール が世界の表面に出ている一角である。
それでも、ストルテンベルグは、最初からの計画通り、NATO軍とロシア軍が、直接、ぶつかる(開戦する)ことは絶対に避ける。だから、ウクライナ人とウクライナ軍は、初めから、捨て駒だから、どれだけ、死んでも構わない、と考えている。自分たちが洗脳して、ロシアとの戦争に嗾(けしか)けた者たちだから。
だが、ウクライナ軍が、このドネツク州の要衝(ようしょう)で、大敗北を喫して戦力を消耗するのは避けたい。だから、早く、撤退して、ウクライナ軍を、ドネツク川の西側に撤退させて、戦力を温存したい、と考える。
だから、ゼレンスキーに、「バフムートが陥落する前に、主力を後退させて、撤退せよ」と命じているのだが、どうもウクライナ軍がその言うことを聞かないようだ。
バフムートから西方向への、撤退の為のウクライナ軍の、補給路であり、かつ撤退路は、あと一本しか残っていない。 南北の幅が5キロぐらいしかない。そこも既にロシア軍の砲撃も射程の範囲に入っている。ロシア軍によるバフムート包囲(シージ siege ) は、バフムート市内の東部(ワグネルが制圧した)だけでなく、西部も大きく封鎖されたらしい。
バフムート市内の東部分 にあったはずの、巨大な要塞は、もう落ちたはずなのに、その地下にウクライナ軍の残存兵力が、岩塩の堅い岩盤の中に掘られた複雑な堅固なトンネルの中に、残っているのか、分からない。このままでは最低5千人の精鋭のウクライナ軍が、捕虜になるはずなのだ。
だが、ウクライナ軍の総司令部が撤退命令を出しても、現場の司令官たちが、撤退しようとしない。死ぬ気で戦う(死守する)という覚悟のようだ。
もうゼレンスキーと、彼を、大統領官邸の地下壕で、毎日、操(あやつ)っている英の国家情報部のMI6(エム・アイ・シックス)の責任者(ジェームズ・ボンドのような男)の言うことも聞かない、ということだろう。
英米の指導者たちは、「さっさとバフムートからウクライナ軍を撤退(リトリートretreat )させろ」と、2月の終わりから命令していた。
いつ バフムートが陥落するか。バフムートの東(ここにウクライナ軍が 8年かけて作った強固な要塞が有る)は、3月6日の時点で、ワグネルに制圧、占領された。だが、その下の 塩鉱山にかなり深くまで、トンネルが掘ってあって、そこにまだウクライナ軍がいるようだ。地下トンネルが、西部にまで繋(つな)がっていて脱出出来るのかも。
バフムートの真ん中を流れるバフムートカ川の西には、まだ、ロシア軍が出ていない。 ただし、ここももう、さらにその外側から、大きく市の西側も道路がロシア軍の砲撃の射程内にあって、ほぼ遮断されている。だからもう、ここまで来ると、退却、撤退 はできない。
西側指導層の判断でのゼレンスキーの撤退命令にも、ウクライナ軍の総司令部の命令にも、バフムートの司令官たちが応じなかったようだ。 だから撤退命令を出しても、最前線の現場のウクライナ兵たちが、動こうとしなかったようだ。 玉砕(ぎょくさい)する気なのか。
すでに、ロシア軍の大攻勢が始まった1月末から2か月で、最低でも、どちらの軍隊も、1万人ずつの戦死者が出ている。負傷兵はその3倍だ。この他の死体の確認が取れない戦場での行方不明者たちは、ほとんど戦死者だ。
あと1万人にぐらい残っているバフムートのウクライナ軍が、徹底抗戦する、と言っても、補給路も負傷兵の後方への搬送路も断たれたら、あとどれだけもつか、の問題だ。援軍が、北方から、ロシア軍を砲撃しながら、向かっている、というが、それはバフムートには到達していない。
次に載せるのは、今や、ロシア国 全体の、戦争の英雄になりつつある、このワグネルの創立者の、プリゴジンの発言だ。彼のPMCの傭兵の部隊は、多大の死者を出している。彼は、最前線のバフムートの北の村に自ら来ていて(400メートル先にウクラナイナ軍がいて、砲撃の音がずっと聞こえる)、そこから兵士たちを鼓舞しながら発信している。偉いものだ。
(転載貼り付け始め)
〇 「 要衝バフムトの「東部制圧」 ロシア側主張、陥落の危機 ウクライナ 」
2023年3/8(水) AFP
ロシア軍陣地に向け砲撃を加えるウクライナ兵ら=3月4日、ウクライナ東部バフムト近郊(AFP時事)
【イスタンブール時事】ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のエブゲニー・プリゴジン氏は8日、通信アプリ「テレグラム」に音声メッセージを投稿し、ウクライナ東部の要衝バフムトの「東部を制圧した」と主張した。
(ここにプリゴジンの、この記事に付いている写真を貼る)
ロシアの民間軍事会社ワグネル創設者のプリゴジン氏。ワグネルの戦死者を集団で埋葬している墓地に来ている。=2022年12月24日
事実なら、徹底抗戦を訴えるウクライナ側にとって打撃となる。 一方、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は3月8日、訪問先のスウェーデンで、ロシア部隊の猛攻で「バフムトは数日で陥落するかもしれない」と危機感を示した。
プリゴジン氏はこの中で、バフムトを南北に流れる川の東岸をワグネルが完全に支配下に置いたと説明した。ロシアのショイグ国防相は3月7日、「(バフムト)制圧により、ウクライナ軍の防衛ラインからより深い位置での作戦が可能になる」と述べ、攻略の重要性を改めて強調していた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は3月6日のビデオ演説で、バフムトから撤退しない方針を確認した。ただ、ロシア側は激しい交戦で大きな打撃を受けたとみられるものの、作戦の手を緩めていない。昨年5月にウクライナ側の激しい抵抗の末、ロシアの手に落ちた南東部マリウポリと同様、陥落は不可避との見方も強まっている。
(別の記事) ・・・ロシア側は攻撃する際、10人単位の五つのグループを次々と送り込んでくるという。ウクライナ側の狙いは、その波状攻撃の第1波を一掃することだ。「第5波が来る頃には、銃の装填(そうてん)が間に合わなくなり、塹壕(ざんごう)にたどり着かれてしまう。とにかく殺している時間がないからだ。相手側は兵士の命など何とも思っていない」
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 この他に、目下、ウクライナ戦争の天王山(てんのうざん)になっている、バフムート戦の記事を載せる。 私、副島隆彦の、この戦争の、停戦(シース・ファイア cease fire )の 予測については、次の機会に書きます。おそらく、中国が仲裁する形で、8月ごろに停戦するだろう。
(転載貼り付け始め)
〇 「 NATOトップ、バフムト「近く陥落も」 ウクライナは抗戦姿勢 」
2023年 3月8日 キーウ 、 ロイター
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は3月8日、激戦が続くウクライナ東部の要衝バフムトについて、今後数日で陥落する可能性があるとの見方を示した。
バフムトを巡っては、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が同日、市の東地域を完全に制圧したと表明した。 ウクライナ軍は抗戦を続ける姿勢を崩しておらず、軍や政府の幹部はロシア側にできるだけ多くの負傷者を出し、戦闘能力を低下させる戦略に言及している。
ウクライナ軍参謀本部は、3月8日の報告で「敵は大きな損失を負いながらもバフムトへの猛攻を続けている」と述べた。 バフムトが陥落しても、必ずしも戦争の転換点になるわけではないとしながらも、ロシアを過小評価すべきでないと警鐘を鳴らした。
ウクライナ国家警備隊の衛生兵トップは、バフムト近郊で7日、市外に出る全ての道路が常に激しい砲撃を受けているとロイターに述べた。救急車などが砲撃を受けるため人々を避難させるのが非常に難しく、特に衛生兵(えいせいへい。 副島隆彦注記。パラ・メディック para medic )の間で負傷者が多数出ていると語った。
〇 「 ウクライナがバフムト撤退の可能性 」
2023年3月8日 水曜 午後2:51 FNN(フジテレビ)
ウクライナ大統領府の高官が、近くウクライナ軍がバフムトを撤退する可能性があることを示唆しました。アメリカのCNNによりますと、ウクライナ大統領府のポドリャク顧問は、まだ決定されていないことを強調したうえで「バフムトの防衛に関しては、その目的を1000%達成した」と述べました。
一方で、ポドリャク顧問は、あくまで「戦略的撤退だ」と、バフムトを含めてロシアが占領した地域を奪還する準備をしていることも明らかにしました。ポドリャク顧問は、「戦略的撤退」をアピールすることで国民の士気を維持する狙いがあるとみられます。
〇 「 東部前線で戦うワグネルの「使い捨て兵士」 ウクライナ 」
2022年11月1日 発信地 バフムート/ウクライナ AFP
「そこにあるのは恐怖だ。地面はアスファルトのように真っ黒で、すべてが破壊された。遺体があちこちに散乱していた」
AFPの取材に応じたウクライナ兵のエウヘンさん(38)は、ロシア軍が撃ち込む砲弾が付近でさく裂する中、地下トンネルに退避した。そして、わずか1キロしか離れていない東部ドネツク(Donetsk)州バフムート(Bakhmut)の前線の状況を振り返った。
ロシア軍はウクライナ各地で防戦を強いられているが、バフムートに対しては過去数か月間、攻撃の手を緩めていない。
軍事専門家やウクライナ軍によると、暗躍しているのはロシアの民間軍事企業ワグネル(Wagner)だ。 ワグネルの創設者は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に近い実業家のエフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏(61)。ロシアによるウクライナ侵攻を機に存在感を強めており、政治的野心を抱いている可能性があるとの見方も出ている。
ウクライナ当局者によると、プリゴジン氏はロシア国内の受刑者に対し、報酬や恩赦という条件を提示してワグネルの兵士として採用し、数千人を前線に送っているという。
数人のウクライナ兵は、こうした元受刑者が「人間の餌」のような使われ方をしているとAFPに証言した。
ウクライナ軍第93旅団に属するアントンさん(50)は、「暗くなる午後6時前後から、経験のない兵士たちがわれわれの陣地に向けて前進を命じられ、ある地点で数分間とどまる」と説明する。こうした兵士が毎晩7、8人前後、ウクライナ部隊に向かってやって来るという。
第53旅団の少佐セルヒーさんは、「一行の任務は、前進してわれわれが発砲せざるを得ない状況を生み出し、陣地の場所を探り当てることだ」と話す。「その後、ロシア側は(われわれの陣地に向けて)大砲を撃ち込み、より経験豊富な精鋭部隊を送り込んでくる」という。
■ワグネル創設者に政治的思惑
ウクライナ側の説明によると、このようなロシア軍の「使い捨て兵士」の大半が戦死する運命にある。中には、負傷したり、拘束されたりする者もいる。
セルヒーさんはある朝、こうしたロシア兵のうち生存者1人を発見した。セルヒーさんが撮影した動画で、1か月前にワグネルに加わったという傭兵(ようへい)は、仲間もワグネルに採用された元受刑者だと語っていた。
ロシアは戦線で後退を強いられており、約30万人の徴兵に踏み切ったことで社会の動揺を招いた。専門家は、受刑者を兵士として採用しているのは、ロシアが弱点を露呈し始めたと兆候とみている。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は、プリゴジン氏は元受刑者を最大2000人採用した可能性があるとの見方を示している。
ここで、同氏はなぜ戦略的に重要でもない都市を掌握するのに固執するのだろうかという問いが生じる。
ウクライナ軍の退役大佐であるセルゲイ・グラブスキー氏はバフムートについて、「ロシア軍は技術的には同市を掌握できる。ただし、近い将来の話ではない」との見方を示した上で、多大なる犠牲を伴うため、割に合わない「ピュロスの勝利」になるだろうと述べた。
プリゴジン氏には、ロシア軍の将軍よりも頼りになる人物との評を得るという、政治的な利得に対する思惑があるのではないかと専門家は指摘する。
ウクライナ国立戦略研究所(National Institute for Strategic Studies)のミコラ・ビエリスコフ氏は、「ロシア軍は防戦状態にあるが、プリゴジン氏は攻勢に出ているように振る舞っている。これが同氏の最大の関心事であり、戦いを政治的な影響力、そしてカネに変えるのが目的だ」と分析する。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。今から10日前に、このようにゼレンスキーは、自分が最高司令官である大統領の命令として、以下のように、バフムートからの撤退を、軍の総司令部に命令していた。それを軍が聞かない、という事態のようだ。
(転載貼り付け始め)
〇 ウクライナ軍、バフムートから「戦略的撤退」も ゼレンスキー氏顧問
2023年3/1(水) CNN
ウクライナのゼレンスキー大統領の経済顧問を務めるアレクサンドル・ロドニャンスキー氏
(この記事の 若い経済顧問の写真を貼る)
(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領の顧問は2月28日、ロシア軍との激戦が続くバフムート周辺の戦況について、ウクライナ軍は必要なら「戦略的撤退」を行う可能性があるとの認識を示した。 【映像】ロシアの燃料気化爆弾発射装置、破壊の瞬間
経済顧問を務めるアレクサンドル・ロドニャンスキー氏は民間軍事会社ワグネルの傭兵(ようへい)に言及しつつ、「ロシアはバフムートの包囲を試みており、そのために最も練度が高く経験豊富なワグネルの部隊を使っている様子だ」と述べた。
「我が軍はもちろん全ての選択肢を検討する。今のところ彼らはバフムートで持ちこたえているが、必要なら戦略的に撤退するだろう。全員の命を無駄にするわけにはいかないからだ」としている。 今後の予定についてさらに質問したところ、ロドニャンスキー氏はCNNに対し、撤退が必要かを判断するのは軍だと説明した。
また、バフムート西部は要塞(ようさい)化されているため、「たとえ我々が撤退しても、ロシアがその後すぐに進軍できるとは限らない」とも指摘した。 バフムートを巡る戦闘はウクライナにとって最大の軍事的課題だ。ロシア軍が圧力をかける中、現地のウクライナ兵からは状況悪化を訴える声が上がっている。ゼレンスキー氏は2月28日夜の動画で、「最も状況が難しいのは依然バフムートだ」などと述べた。
〇 ロシア国防相がマリウポリ視察…露主導の再開発を内外に誇示か
2023年3/7(火) ロイター
ウクライナ南東部マリウポリを視察するロシアのショイグ国防相(中央)=露国防省提供、ロイター
ロシア国防省は3月6日、セルゲイ・ショイグ国防相がウクライナ東部ドネツク州視察の一環で、ロシアが昨年5月に完全制圧を宣言した港湾都市マリウポリを視察したと発表した。ウクライナ東部で露軍が攻勢拡大しているのをアピールする狙いがあるとみられる。
発表によると、ショイグ氏はマリウポリでロシアが新設した医療施設や12階建ての集合住宅などを訪れた。露主導で進めているマリウポリの再開発を国内外に誇示する意図があるようだ。露国防省は昨年12月にも、ショイグ氏がウクライナ侵略の前線地帯を視察したと発表していた。
一方、ドネツク州の要衝バフムトで戦闘に参加する露民間軍事会社「ワグネル」は3月5日、新たな志願兵募集の案内をSNS上に投稿した。バフムトで消耗戦となり、多数の戦死者が出たためとみられる。モスクワやサンクトペテルブルクなど30都市に募集センターを設け、22~50歳の志願兵を募っていると呼びかけた。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦 拝