[3451]移動、異動についての感覚

宮林謙吉 投稿日:2022/08/09 05:47

以下の[3450]副島先生がお書きになった記事に
”「気に入らないから、他所の土地に、まとまって、ぞろぞろ移住してゆく」という考えは、島国の人間、島嶼(とうしょ)人にはあり得ない。”
との指摘が出てきます。言われてみると、これは日本社会のいろいろなところで移動あるいは異動について皆に本能的に染みついた感覚になっていて、それを無視した人事のシステムを作って運営しようとすると、身の丈に合わずうまくいかないということではないかと思います。
大学改革が一例で、研究者の流動性をあげるためと称して任期つきポストで研究者や教員を雇用するわけですが、「長期的に取り組む必要があるテーマには手をつけられない」「任期のうちに論文になる小粒のテーマが選択されることが増えた」など、成果があがる向きには機能していない、との批判があちこちにくすぶっていると思います。これも、気に入るところに移住する習慣がない文化のもとで生きていることを自覚せず、形だけ人の移動を強制するシステムを作ってしまっているところが賢くないということではなかろうかと思います。