[3431]「松田プラン」の革命性
参政党をキワモノ扱いしてはならないと思ったのは、松田学氏の『日本をこう変える 世界を導く「課題解決型国家」の創り方』(方丈社 2022.3)を読んだことによります。拙ブログでの議論(移ろうままに2 https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2022-07-05 から)を経て、松田氏の提唱する「松田プラン」について思い至ったことを書いておきます。ご批判ください。
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動画「新党討論SP!Part3参政党vs新党くにもりで激論!自公と連携?、消費税、デフレ脱却 山岡鉄秀×神谷宗幣×松田学×本間奈々×安藤裕【新党討論SPECIAL】
https://www.youtube.com/watch?v=wyrR6w3DwvA」
17分50秒あたりからの、松田学氏と安藤氏の議論の文字起こし。
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(松田)日銀は、中央銀行は民間のマネーを作る力は無いんですね。みなさ
ん、お札を刷りまくっているというのは大間違いで、日銀当座預金という帳
簿上のモノが膨らんでいるだけで、オカネ作ってるのは、要するに銀行が信
用創造で創ってるわけで、でも需要が無ければ信用創造ができないっていう
話になっちゃって、で詰まっちゃってるわけですね。だから僕は、財政が出
動して財政支出すれば、オカネが…、国債を銀行が買えば、その分マネタリ
ーベースが、市中マネーが増えますんでね、これでオカネを増やさざるを得
ないという状況に、黒田総裁のアレが始まって9年?くらい経ってるんです
かね。でも全然インフレ目標達成っていうメドがたっていない、っていう状
況ですからね。金融政策ではムリだっていうことがハッキリしたんですね。
もう財政しか手段が無い、ということだと思うんですね。
(安藤)最初からこれ、金融政策ではムリだということはわかってたんです
けれども、でも結局これ、さっき松田さんも、民間の資金需要がオカネを生
み出すんだと、信用創造のことをちょっとお触れになりましたけれど、政府
が国債を出すことも一緒で、政府が国債を出して、そして財政赤字の形で国
民に渡すと、新しい通貨が発行されるので、それで国民が豊かになるんです。
だから、政府の国債発行というのは、別に銀行が買ってくれるからオカネが
出来るんじゃなくて、政府が国債を発行して財政赤字の形で国民に渡すこと
によって日本国債…
(松田)違うんですよ。
(安藤)…という新しいオカネが生まれるんです。
(松田)私の方がそれは専門なんで、違うんです。それは議論したらキリが
ないんですが、結局市中マネーを増やすためには、銀行が国債を持って、初
めて預金通貨が増えて、それで市中マネーが増える。これいくら議論しても
そうなりますから。
(安藤)それは間違ってますよ。
(松田)いや正しいんです。
(安藤)いや、そこは違います。
(松田)いや違います。
(安藤)それはちゃんと、国会で議論してますから。
(松田)いやいや…
(安藤)日銀にもちゃんと答えさせていますから。
(司会)正しい、間違いじゃなくて、一言…
(松田)だって、投資家が国債を買っていれば、マネーは行って来いで終わ
りですよ。でも銀行が買うから、預金通貨が膨らむから、マネーって増える
んですね。だからその市中マネーをどういう風に定義するかによるかもしれ
ませんが、私が言っているのは、実際に皆さんが流動性として使える現金と、
それと要求払い預金、という範囲で考えると、そのときに初めてマネーが増
えるんですね。だから別にこれで言ってることを否定しているわけじゃなく
て、私が言いたいのは、国債をオカネに変えることによって国民みんなの資
産になると、わかりやすく言うとね、ここが他の人が言ってないという所か
もしれません。
(安藤)多分根本的に、これ考え方が合わないので、多分議論しても合わな
いと思いますけど、オカネを日本銀行…、日本銀行じゃない、政府が国債を
発行して、それで財政赤字の形で政府から民間企業に渡します。で、これを
小切手の形で渡して、これを銀行に持ち込めば、これがオカネに変わります。
そこで新しいオカネが生まれてきます。すると日銀当座預金もまた復活して
くるので、これで日銀当座預金の残高は変わらないんで、ずっと買い続ける
ことができるという循環は出来るんですよね。で、実際に…
(松田)いやだから…
(安藤)まあちょっと待ってください。実際に、例えば一昨年、12兆円の
国債を発行して国民に10万円ずつ配りましたよね。それで金融資産が増え
ました。だから、国債を発行すると、国民の金融資産は増えるんですよ。実
際に今までも、政府が国債の残高を増やせば増やすほど、民間の金融資産は
増えていく。だから誰かの資産、誰かの負債というのは、必ず別の誰かの資
産になるので、だから我々はずっと、政府の赤字はみんなの黒字って言って
るわけですけれども、政府が赤字を拡大すると、新しいオカネが誕生するの
で、これを国民に渡せば国民が黒字になります。こういう極めて当たり前の
こと…
(松田)そこにワンクッションがいるんですよ。
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安藤氏は、国債発行の時点で「オカネ」が生まれていると考える。そもそも国債発行は政策実行が前提されているのであり、政策実行とは、民間に「オカネ」が流れることである。それに対して松田氏は、《そこにワンクッションがいるんですよ。》と言う。政府発行の「オカネ」なら安藤氏の言う通りなのだが、「オカネ」は日銀が発行することになっている。そのことで利息がつく「オカネ」になる。そこに金融資本の秘密があるわけで、ほんとうは触れてはならない肝心なところなのだけれども、「松田プラン」はそこに手を突っ込む。国債が日銀の手にある限り、利息が付きまう「オカネ」でありつづける。その「オカネ」を日銀から引っ剥がして、単なる記号でしかない「デジタル通貨」にしてしまう。それが松田氏の言う「ワンクッション」の意味。そう考えると、安藤氏の主張は、考え方としては間違ってはいなくても、現実に即しているのは松田氏の方。その分DSの勘どころを刺激する。「松田プラン」は、金融資本的既成権力にとっての「危険思想」であり、その分、さりげなく「革命的」。そう思えたのですがいかがでしょうか。