[3370]柔道の技
ロシアの高官の発言には、「ロシアに経済制裁などをすると、自分に返ってくるぞ」というものがあります。これは、相手の力を利用して勝つ、という柔道に通じるものがあります。プーチンもこれまで何回か対外関係を表現するときに発言しています。日本企業は撤退によって、10年以上かかって築いた市場を失います。中国やトルコ企業が喜んで入っていくでしょう。
日本のロシア関係者も、総じてロシアに批判的な発信をしています。プーチンの声明は含蓄がありますが、きちんと分析し、その背景を説明しようとしません。ロシア関連を中心に自分の生計を立て、何回も出張をしていながらです。その言動も、自身に戻ってくるでしょう。企業が撤退すると、大きな基盤が失われるのです。はっと気づいた今は、事態を見守って、発言を控える、という動きになります。
副島先生が示唆された項目に関連しては、昨年に設立20年を迎えた上海協力機構(SCO)があります。昨年9月にタジキスタンで首脳会合が行われ、イランが正式加盟をしました。SCOは、北京に本部がある、正式な国際機関で、職員は加盟国から派遣されています。以前、ウズベキスタンで職員に、「中国やロシアの意向が強いんでしょう?」と聞いたことがありますが、彼は、「加盟国は皆同等の権利があるから、平等だよ。」と言っていました。
元は国境画定交渉からスタートして、中国、ロシア、インドの他、ユーラシア諸国を中心に加盟しています。トルコ、カンボジア、ネパール、スリランカもパートナー国として加盟しています。SCO加盟国は、新たな流れを意識しているでしょう。
新ユーラシア主義については、アレクサンドル・ドウーギンがいます。プーチン政権のイデオローグと言われています。私も「読むぞ」と思って彼の原著を以前買いましたが、ロシア語も難解なので、読みきっていません。
ロシアは、今も欧州やウクライナに天然ガスは供給し、今のところ止めることはない、と発言しています。供給を絞る、という選択肢もあるでしょうが、大切な収入源でもあり、大人の対応です。また、原発については、チェルノブイリの事故の怖さを知っていますから、軍事作戦の直後に、ウクライナ側と共同で管理をしています。細心の注意をしていると伺われます。