[3369]ウクライナ戦争。8本目。

副島隆彦 投稿日:2022/03/26 07:46

副島隆彦です。今日は、2022年3月26日(土)です。

 昨日の7本目、に続けて、ウクライナ戦争 の8本目を書く。思いつくままに、ポイントフォーム(要点列挙)で書く。これらは、備忘(びぼう、メモランダム)として、表題だけ書くことにする。一点、一点が、大きなテーマだから、とても細かい説明は、それぞれ出来ない。

1.資源か、ドルか。 天然資源のエネルギーを持っているロシアが勝つか、世界を支配しているアメリカのドル体制が勝つか。資源とドルの戦い、である。ロシアを世界の悪者に、仕立て上げて、経済制裁(エコノミック・サンクション)と金融決済停止で、世界経済から締め出したつもりが、アメリカは、却(かえ)って自分の方が返り血を浴びて、米ドルの信用の衰退、崩壊につながりそうになって来た。 世界各国で、ドル離れが始まっている。・・・

2.イスラエルは、どうもディープステイトに嫌われている。イスラエルの軍人、兵士たちは、4回目、5回目のコロナ・ワクチンを打たされている。そのうち10万人ぐらいが死ぬだろう。 イスラエル国民は、クネセト(議事堂)でやって、街の大画面でも移したゼレンスキー演説に怒りだしている。・・・

3.アメリカの熱烈なトランプ派の下院議員たち数十人が、意気軒昂に、「ゼレンスキーは、とんでもない悪党だ」と、大声をあげている。Qanon 運動から出て来た、マージョリーナ・テイラーグリーンと、ポール・ゴーサー(車椅子の議員)たちが中心だ。私たちも日本からこれに呼応しなければいけない。・・・

4.ディープステイトが、ウクライナ戦争で始めたのは、 war economy 「ウォー・エコノミー」 である。「戦争をすることで、経済を刺激して、アメリカの景気を持たせる、というウォー・エコノミー「戦争経済」の手法である。 

 「アメリカは、この、戦争で景気を刺激(ブースト)する、war ecnomy でやるぞ 」という主題を、私、副島隆彦だけが、10年前から、自分の本の書名にもして、訴えてきた。ようやく経済専門雑誌が、「戦争経済」という特集をするようになった。だが、どこまで、分かって書いているのかを、私がチェックしないといけない。彼らは、戦争経済(ウォー・エコノミー) と 戦「時」経済(war time ecnomy ウォー・タイム・エコノミー)の違い、区別が付いているのか。

 ジェローム・パウエルFRB議長が、なぜ、ずるずると約束違反で、ここまで先延ばしにしてきた、政策金利(短期金利)のゼロ金利からの脱出、0.25%上げ、をようやく、3月16日にやったのか、を考えたら。そうだ、15年前の、2003年の3月20日の、イラク(侵略)戦争の始まり(バグダッド爆撃)の時に、グリーンスパンが、政策金利を、一気に、ガンガン上げ始めたのと、全く、同じことだ。

 アメリカは、うまくプーチンを策に嵌めて、罠に落として、ウクライナ戦争を始めさせて、「アメリカは勝った」で、それで、アメリカの戦略の勝利だと確信を得た。その、ところでの、インフレを阻止するための、金融引き締めのための 急激な金利上げだった。今度も同じだ。それと軌を一にして、NY株がどんどん上げ始めた。日本もそれに追随して、3月16日から、「反攻(はんこう。カウンター・アタック)に出るのだ」で、やった。

 さあ、どうかな。うまく行くかな。 短期金利(政策金利)を3%まで持ってゆけるか。無理だろう。2%がいいところだ。そして、「必ずしも(プーチンをまんまと策に嵌めた、と思った)アメリカの勝利ではない」

 「資源(長期戦)と、ドル(短期戦) の 戦いで」 そう簡単に、アメリカの勝ち、ということはない。ロシアのプーチンは、2月24日に、この大きな策略を見抜いた。だから戦略的な立て直しに出ている。この動きを甘く見る、アメリカ(ディープステイト)の専門家たちは、これから自分が痛い目に遭うだろう。・・・

5.3月24日に、南部の大都市マリウポリが陥落したようだ。チェチェンから、プーチンの助っ人でやってきた、カディーロフ首長が、都市ゲリラ戦をやって、ネオナチのアゾフ大隊を潰走(かいそう)させたらしい。ウクライナ南部の戦いは、ロシアの勝利だ。・・・

6.ロシアと、中国が組んでユーラシア同盟(アライアンス)が出来る。それにインドが加わる。サウジアラビアも加わる。そのほかの小国たちも、これまでに、アメリカとイギリスに、ひどい目に遭ってきたから、このユーラシア同盟に加わる。 これは、地政学(地理政治学。ゲオポリティーク 英語では、geopolitics ジオポリティックス )の、マッキンダーと、ハウスフォーハーと、アルレッド・マハン「海洋権力論」 を組み合わせた、ハートランド(大陸の中央部)と、ペリフェリック=リム(端、縁)ランド との大きな闘いだ。

 私、副島隆彦は、今から30年前に、この「ハートランドと、リムランドの理論」の「ユーラシア大陸が世界の中心の時代が始まる」 を自分の「属国 日本論 」に書いて、さらにそれを、金融本でも展開してきた。私が早いのだ。

 ここで、ディープステイト側の小物(こもの)の言論人たちに教えて、ゾッとさせようと思うが、この、お前たちでも、ようやく言い出した「ユーラシア同盟(アライアンス)」には、実は、ドイツが密かに加わるのだ。ほら、ゾッとしろ。・・・

7.最大のワルの ジェイク・サリヴァンの 「蛇のようなサリヴァン」“ Snaky Salliivan  “ が、これから何をしようとしいるかを、私は、どんどん調べた。
中国の外交トップの 楊潔篪(ようけつち。政治局員)と、3月14日に、サリヴァンは、7時間、激論した。「ロシアに加担するな」と、中国を脅し上げた。が、中国がそんなものに負けるわけがない。

 「今、一番、困っているのは、当のお前だろ」と中国は見抜いた。「ロシアへの一方的な制裁は間違っている。やるなら、一律で、きちんとやるべきだ。欧米がやっていることは、ダブル・スタンダードだ。自分たちは、ウクライナにこれほどの大量の軍事支援をしていながら、よくも、そんなことが中国に言えるものだ」と応じた。 そして、中東諸国を始め、世界中でのアメリカからの「ドル離れ」である。 ・・・・

8.フランスのマクロン大統領 が、プーチンに、2月7日に、持ちかけたという
ウクライナの、「フィンランド化」Finland 化、 Finlandization 「フィンランダイゼイション 」がヨーロッパで、話題になっている。ウクライナを中立国にする、そうなるべきだ、理論だ・・・。日本もこれと同じだ。非同盟国政策 (non – alignment policy ノン・アラインメント・ポリシー)を国是とする 中立国 であるべきなのだ。どっちか一方の帝国(大国)に偏(かたよ)って、その忠実な子分をやり過ぎると、そこをうまく突かれて、いいように、鉄砲玉に使われて、手駒にされる。  ここのところが肝要だ。

9.ロシアで沸き起こっている neo- Eurasianism ネオ・ユーラシア主義の思想運動について。プーチンたちは、もう、ヨーロッパ人であることを捨てた。ユーラシアンであることの自覚を持った。

10.「パトリオット PAC2 」 、「 PAC3」 迎撃ミサイル。と シアター・ミサイル・デフェンス  MD を、アメリカはウクライナに配備できるか。 日本にはこの「PAC3]が配備されている。韓国にも、ロッテグループのゴルフ場に、このPAC3を米軍が置いた。そうしたら、中国が、激しく韓国政府に怒った。このPAC3 を ウクライナに送れるか。無理だろう・・・

11.プーチンは、2月24日に、自分が、ウクライナ侵攻で、策略に陥れられたのだ、と気づいた。そして核兵器に言及した。経済制裁が27日にあって、それに対して即座に、同日の27日に、「核抑止部隊を高度警戒態勢に置くこと(いつでも直ちに、発射できる状態)」の命令をロシア軍のトップ2人に出した。ショイグ国防相と、ゲラディモフ参謀総長の二人にだ。

 プーチンは、ディープステイトが、自分を大きく罠にかけて、絞め殺しに来たと、理解した時に、自分の持てる力を点検した。そして互角に戦うには、核戦力の使用を相手に言うことだ、と分かった。これには、バイデンたちディープステイト側は、真っ青になった。「あいつ(プーチン)は、本気でやるぞ」と。・・・・

12.核戦争の脅威は、どれぐらいあるか。プーチンは、戦術核(タクティカル・ニュークレア・ウエポン)をどのように使うか。・・・

13.安倍晋三と、橋下徹が、2月28日に、テレビで言いだした、「日本もアメリカの核を配備する(配備してもらう)」の ×「核シェアリング」を考える、議論すべきだ、は、決定的な弱さがある。 まず、「核(ニュークレア)シェアリング」という英語は無い。存在しない。ヨーロッパにもない。

 アメリカは、日本ごときに、自分たちのお宝である、核兵器を、与えたり、貸したりすることはない。 危なくて仕方がない、と考える。北朝鮮が核兵器を持っていることと、それはアメリカにとって全く同じ危険だと考える。アジア人だから。もし日本に核を貸したら、アメリカに向かって打つかもしれない、と考える。

 アメリカの核配備は、自分だちだけでの決定だ。「置いて(install インストールして )もいいか」と、ベルギー、オランダ、ドイツ には聞いて、OKを貰って置いている。この3カ国には、アメリカ軍による「核兵器の配備( instalment of nuclear weapon ) をしている。 だが、日本には、アメリカは、絶対に、核兵器を持たせない。自分たち米軍が、勝手に、知らん顔をして、沖縄とか三沢とかに戦略爆撃機で持ち込むことはする。戦艦(水上戦闘艦)なら横須賀だ。それに対して、日本政府は、そのことをアメリカ政府に、問い合わせることもしない。知らん顔をする。そのように決まっている。それが日本の上手な生き方だ。

イギリスは、自力で核保有していることになっているが、これもウソで、アメリカの核を、借りて持っているだけだ。発射する権限はアメリカにある。だからヨーロッパで本当に自力で核を持っているのは、フランスだけだ。だから、フランスは原発をたくさん動かして、電力を作って、しかも、それをまわりのヨーロッパの小国にまで売っている。

 福島の原発事故をきっかけに、ワーワー議論(愚論)が起きて、馬鹿タレの緑の党(グリューネ)というのがいるものだから、ドイツのメルケルは、原発を全部止めてしまった。それで、今、ロシアからの、ノルドストリーム1(これは止まっていない)のパイプラインでの天然ガスの供給によるガス発電に頼っている。それで、国内の電力供給に危機が訪れている。いくらアメリカが、ロシアから天然ガスを買うな、経済制裁に従え、と言ったって。ドイツ国民も、静かに怒りだしている。

 日本を操(あやつ)っている、ジャパン・ハンドラーズの頭目の、リチャード・アーミテージも、マイケル・グリーンも、×核シェアリングなどという、奇妙奇天烈な日本人の造語のコトバを、受け付けない。鼻から相手にしない。このことも秘密になっている。

 だから、×核シェアリングと 言う議論は、そもそも存在しない。このことを。副島隆彦が、はっきりと暴露しておく。 バレたか、と思う者たちは、このことを、次の日米合同委員会で、言え。

 同じく、国連憲章第51条 を根拠とする、「集団的自衛権(しゅうだんてきじえいけん)の行使を、日本は推進する」と言ったって、アメリカは、全く相手にしない。リチャード・アーミテージもマイケル・グリーンも相手にしない。
 アメリカは、日本ごときと、集団、仲間だ、対等だ、などと、思っていない。だから、この日本だけで、専門家を自称する者たち(馬鹿たち)が勝手な議論している、「集団的自衛権の行使」の議論も成り立たない。アメリカは、これも鼻から相手にしない。これも、バレたか、である。

 たしか、内閣法制局の横溝(よこみぞ?)・・・長官が、10年ぐらい前に、国会の答弁で、「日本は、国連憲章 と 日本国憲法の解釈から、個別的自衛権しかありません。 集団的自衛権の 議論は出来ません。やりようがありません(どうしても、そうしたいなら、憲法を改正してやってください。それなら官僚として、新しい憲法に従います)」と頑張った。偉かった。 日本国内の、反共バカ右翼たちの議論なんて、こんなものだ。世界基準(world value ワールド・ヴァリュー)で通用しない。・・・・・
 
 取り急ぎ、上記の13項目を挙げて、「ウクライナ戦争。8本目」として、簡単に要点だけ書いておいた。   副島隆彦拝