[3360]早すぎた名著(予言の書) 副島隆彦「「実物経済」の復活 ―ペーパーマネーの終焉」

かたせ2号 投稿日:2022/03/12 18:23

(結論)
2003年に発行された表記著作が、ロシアによるウクライナ侵攻後の世界情勢を冷酷に予測・予言する内容だと私は考え、以下の詳細記述によって、副島先生を顕彰します。

(以下、詳細)

1.ウクライナ侵攻は、NATOの東方拡大という戦略的失敗によるものである。
伝説的な外交官ジョージ・ケナンは25年前にそのことを予見・警告していた。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/93280?imp=0
現代ビジネスサイト 長谷川幸洋「プーチンのウクライナ侵攻、実は25年前から「予言」されていた…!米・リアリズムの思考を読み解く 2022.03.11」

(一部引用開始)
ロシアは、なぜウクライナに侵攻したのか。「北大西洋条約機構(NATO)が東に拡大して、ロシアを脅かしたからだ」と答えれば、多くの人が「それは、ロシアの言い分」と思うだろう。その通りなのだが、実は、米国有数の識者たちが長年、唱えてきた分析でもあった。
その代表的論者は、かつての米ソ冷戦で「ソ連封じ込め政策」を立案した米国の伝説的な外交官、故・ジョージ・ケナンである。今日のロシアとの対立の原点とも言える、米国の対ソ戦略をデザインした当の本人が「NATOは東に拡大すべきではない」と主張していたのだ。
「致命的な失敗」と題された論考は、1997年2月5日付のニューヨーク・タイムズに掲載され、NATOの拡大方針を、次のように厳しく批判した。

〈NATO拡大は冷戦終結後の米政策で、もっとも致命的な誤りだ。この決定はロシア世論にナショナリスティックで、反西側の軍事的風潮を燃え上がらせ、ロシアの民主主義発展には逆効果になる。東西冷戦の空気を呼び戻し、ロシアの外交政策を、我々が望まぬ方向に追いやる結果になる〉
〈冷戦終結が大きな希望をもたらしたときに、なぜ、どの国がどの国と同盟を結び、どの国と対決するか、というような事柄が、東西関係の中心的な課題になるのか。それは、どこか空想的で、まったく予知不可能な、ありえない未来の軍事的対決の話ではないか〉
〈ロシアは「NATO拡大に敵対的意図はない」という米国の保障を真面目に受け止めないだろう。彼らは(ロシア人の心理で、もっとも重要な)自分たちの名誉と安全保障が傷つけられたと思うはずだ。彼らは「西側に拒絶された」とみなして、どこか別の場所に自分たちの安全保障と未来を求めていくだろう〉
〈最終決定を下す前に、まだ時間はある。すでにロシアの世論に与えた不幸な効果を和らげるために、拡大方針を見直すべきだ〉

1997年と言えば、第2次世界大戦終了後の49年に12カ国で創設されたNATOが、その後の冷戦中に16カ国に拡大した後、さらにチェコ、ハンガリー、スロバキアの3カ国を加えて、19カ国に拡大しようとしていた時期だ。ケナンは拡大が最終決定される前に、反対の論陣を張って、食い止めようとしていたのである。

この論考をいま読めば、ケナンの懸念が的中したことに、あらためて驚かされる。ケナンは25年前に、まさに「今回の戦争を予言していた」と言っても過言ではない。
(一部引用終わり)

かたせ2号です。
すごいぜ、ケナン! 
なお上記の論考では、ケナンの主張を、シカゴ大学の現実主義政治学者であるジョン・ミアシャイマー教授が引き継いで主張していることも記載されているので、ご興味のある方はご参照ください。
ミアシャイマー教授は「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1 単行本 – 2007/9/5」(講談社、副島隆彦訳)の著者でもあり、副島先生とゆかりのある方です。

2.実物資産の奪い合いになる世界経済

遠くない将来、以下の田中宇氏の予測の通りになるのではないかと、推測します。

https://tanakanews.com/220309russia.htm
「優勢なロシア、行き詰まる米欧、多極化する世界
2022年3月9日   田中 宇」

(一部引用開始)
ウクライナ大統領のゼレンスキーがロシアの要求を飲めばウクライナ戦争は終わっていき、米欧とロシアとの制裁合戦は終わり、石油ガスの価格が下がる。だが、本当にそうなるかどうか怪しい。米大統領府は、対露制裁が引き起こすガソリンなどの高騰は長期化しそうだと言っている。間もなくゼレンスキーがロシアと和解しそうなら、米国がこんな予測を言わないはずだ。今後、中独仏が和解を成功させそうになると、米国が邪魔して潰すのでないか。米国は諜報界の隠れ多極主義者に動かされている観が強く、米欧とくに欧州がロシアとの制裁合戦に負けて潰れていく展開をこっそり好んでいる。中露も、欧米が自滅して自分たちが強くなる多極化を好んでいる。ゼレンスキーが譲歩してロシアとウクライナが和解したとしても、米国による過激な露中敵視が続くとか、他のシナリオもあり得るが、ウクライナをめぐる対立自体はたぶん長引く。 (White House Says U.S. Needs to be Prepared for Long, Difficult Road Ahead, ZeroHedge: Carnage Everywhere As Market “Begins To Break)

バイデンの米国はロシアから石油ガスなどを買わないことにしたが、それを穴埋めするため、これまで敵視・制裁してきた南米の産油国ベネズエラと和解することを模索している。米国がユーラシア大陸のロシアと縁を切り、代わりに南米ベネズエラから石油を買うことは、米国の「西半球化」「孤立主義」を意味している。きたるべき多極型世界において米国は、西半球つまり南北米州の地域覇権国になる。米国でバイデン政権を操っている勢力(諜報界=深奥国家)は、米国の西半球化、世界の多極化を誘導しているように見える。 (Biden Plans To Ban Russian Oil Imports But Buy It From Moscow’s Allies Instead of Producing It At Home)

これを田中宇の妄想と切って捨てられない現実が、少し考えると見えてくる。米国はロシアからの石油を輸入しなくても、ベネズエラやカナダや米国内シェール油田の石油があるので何とかなる。米国は、世界が多極型になっても米州内で自活できる。しかし欧州は対照的に、ロシアから石油ガスを輸入し続けないとやっていけない。すでに述べたように、イランやサウジなど中東の産油国は、以前よりはるかに非米側であり、欧州に石油ガスを売ってくれるとしても以前よりかなり高い値段になる。これまでのように中露イランを敵視したままだと、誰も欧州に石油ガスを売ってくれない。欧州が行き詰まって米国に相談しても、米国は何もしてくれず、「うちは西半球の国だからね」と言われる。 (Now Courted By Biden, Socialist Strongman Maduro Hails “Cordial” US Talks For Oil Supplies)

欧州だけでなく日本も同様だ。中露と敵対し続けていると石油ガスを得られなくなっていく。サハリン油田は大事にすべきだ。ロシアや中国で服を売り続けるユニクロが、これからのビジネスモデルとして正しい。逆に、軍産傀儡の道を行く楽天の経営者は、今後の世界が見えていない(軽信者ばかりの日本国内向けだけの演技なら、こっちの方が良いのかな?。一億総自滅。哀しいね)。多極化を妄想と言って軽視していると、日本はしだいに貧しくて行き詰まった状態になっていく。今ならまだ間に合う。それとも一億総自滅の方が楽か?
(一部引用終わり)

3.早すぎた名著(予言の書) 副島隆彦「「実物経済」の復活 ―ペーパーマネーの終焉 単行本 – 2003/3/26発行」

副島先生の上記の著作は、早すぎた名著だと考えます。

(著作紹介内容から引用開始)
2003年、ついに世界は恐慌に突入した!
世界の同時不況は、ニクソン・ショック以来続いてきたペーパーマネー経済が限界にきたことを示している。ITバブル崩壊以後のアメリカは、実物経済に軸足を移し始めており、石油も金もじわじわと値上がりを始めた。この流れはもはや止まらない。株、債券は暴落を続け、もはや頼れるのは金、土地、石油、穀物などの実物資産(タンジブル・アセット)しかない。ドルも円も紙くずとなり、預金は封鎖されるだろう。
では、あなたの資産をどう守ればいいのか? その答えがここにある!
(著作紹介内容から引用終わり)

かたせ2号です。
結局、今後の世界は、副島先生の上記著作の予測通りになるのではないか、と私は考えます。その意味でジョージ・ケナンと同じく、副島先生も予言者の一人ということになるでしょう。これが今回の私の文章の結論です。

(補足)予言者は、いずれ起きる出来事の内容が予測できても、その時期を言い当てるのは難しいものです。大宗教家・出口王仁三郎の大本において、日本の国に火の雨が降る予言が大正年間になされていましたが、その実現の時期(1944~45年、昭和19~20年)は、実現が予想された時期(1921年、大正10年)よりも20年以上遅れています。
https://reikaimonogatari.net/index.php?obc=B195401c2311
霊界物語.netの上記リンク先の記事を参考ください。

以上