[3290]私はここに書きたいことがたくさんある。しかし体と頭がきつくてなかなか書けない。

副島隆彦 投稿日:2021/11/17 06:10

副島隆彦です。 今日は、2021年11月17日(水)です。
 私は、ずっと、本書き、本作りの仕事をしていました。10月と11月前半まで、ずっと、自分の本 および弟子たちの本を完成させるために熱中していました。それで疲れ果てました。
 自分の脳(頭)を使い過ぎて、それで、高血圧症 (血圧の上 180ぐらい)を起こして寝ていました。 降圧剤(血圧降下剤)を飲んで、なんとか鎮めています。私は、血圧は高齢者は150ぐらいでちょうどいい。120まで下げないといけない、などは、狂った医学知識だ。製薬会社の謀略だ。

この歳になると本当にもう、出版社に泊まり込んで、徹夜に近い、最後の仕上げのための、突貫工事での本作りは、きつい。それでも、私は、自分の運命を知っているから、本を書き続けます。

4冊の本に関わって、それらは、次々に出版されます。
1冊目は、 金融本の 「コロナ対策経済で 大不況に突入する世界」(祥伝社、2021年10月30日刊) 

コロナ対策経済で大不況に突入する世界 (単行本)

私は、この本の中に「トヨタが、水素自動車で、世界の自動車産業の最先端をゆく。トヨタは、すでに、ハイブリッドの次の フリーエネルギー(ただで手に入るエネルギー)のレベルに手を付けている」 と書いた。
 EV(電気自動車)なんか誰も買わない。電気自動車は、ダメなんだ。 EV人気は、もうすぐ下火になるだろう。イーロン・マスクのテスラのEVの人気もやがて、がっかりで、あと5年で収束する。 なぜならリチウムイオン電池の 蓄電池の技術が、この10年ちっとも進んでいないのである。

 私たちは、毎日、自分のスマホと携帯 の充電をやっている。リチウムイオン電池以外の電池の開発は遅々たるものだ。 EVもリチウムイオン電池だ。パナソニック(松下)が、最新型の電池をテスラに供給しはじめた。だが、それでも、EV車は売れない。それから、リチウムイオン電池の 劣化(れっか)の問題もある。

始め、フル充電で400キロ走れる、と言っていたのに、実際は、どんどん走行距離が落ちる。私たちのスマホの微弱電流の電池でさえも、どんどん劣化(デタリオレイション)する。この問題を隠して、「これからはEVの時代だ」と、まだ、本気で信じている者たちは騙されている。 騙されない日本人たちのうちで、本当に、地べたを這って生きている、

“ヤンキーの虎(トラ)”たちは、トヨタのAlferd 「アルファード」を買っている(佐藤優氏が、私との対談の企画書の録音で、この6月に言った)と。アルファード(ワゴン車)が、これからの世界の自動車の基本になるだろう。もうイタリアの名車のセダンたちは、もう自動車としての歴史を終えた。ビンテージ・カーとクラシック・カーとして博物館に入れられる。
 トヨタの豊田章男社長が、この5年間、ちっともEVに力を入れず、ずっとガソリン・エンジン車にこだわって来たことの正しさが、証明された。豊田章男を批判し続けた者たちの負けだ。彼が言った「550万人の自動車製造業に関わっている日本人の雇用を守る」が正しい。

 騙しである、EVに嵌(はま)っている脳をしている人たちは、さっさと切り替えた方がいい。世の中はダマしだらけだ。 

これは、今のコロナウイルス と、ワクチン接種の問題と同じだ。今、人類は、静かな集団発狂状態( しゅうだんはっきょうじょうたい mass hysteria マス ヒステリア 。精神医学の大家の思想家のジークムント・フロイトが作った理論)に陥(おちい)っている。

前にここに書いた、 Uber Ich ( ユーバー・イッヒ。super ego スーパー・エゴ、 エゴ(自我、主観)を超える、人間集団がまとめて罹(かか)る、集団幻想、共同幻想)の暴走だ。

私たち学問道場の、副島隆彦の本を読む勢力は、反ワクチン派 である。ワクチンを打たない。これを、 英語で、今、 Anti Vaxxer  「アンチ・ヴァクサー」 と言う。 まさしく 反ワクチン派だ。 anti vaccinated 「アンチ・ヴァクシネイテッド」とも言う。
ワクチンを打った者たちの中から、これから多くの者が、どんどん死んでゆく。私たちの周囲で、大きな異変が起きている。 恐ろしいことだ。 ディープステイトの一角である、 ビッグ・ファーマ( Big Pharma 巨大製薬会社)たちの思うがままだ。 日本政府は、すでに、ファイザーやモデルナに、合計7兆円を払ったという。3.5億回分の日本国民へのワクチン接種の代金だ。

 なぜ、今年の9月から、為替(円ドル相場)が、1ドル=114円の円安(ドル高)になったのか。それは、この7兆円(770億ドル。あるいは8兆円)もの巨額の国庫支出をして、モデルナ、ファイザー、アストラゼネカ社たちへの、ワクチン代の支払いを始めたからだ。その前は、1ドル=110円だった。7兆円もの円資金を、為替市場で、どんどん、ドル転(てん)して、それをアメリカに代金の支払いとして、次々に、5000億円ぐらいずつ送った。だから急激な円安、ドル高になったのだ。この他の理由は考えられない。
国家、政府と言うのは、こういう無残なことをするのだ。 これが、残念ながら、今の世界だ。

この狂気のワクチン接種にのめり込む者たちは、自分を守りたいという本能(インスティンクト)である、自分の、コワいコワいの恐怖心 が、そのまま「助けてー。私は死にたくない」のヒステリアのまま、そのまま社会統制(ソウシアル・コントロール)に向って言って政府、体制に屈従する方向へ向かう。「自分だけは助かりたい」の、この過剰な自己防御本能だ。

 この過剰な自己防御本能が、このあと、一転して、自己破壊衝動(セルフ・デストラクティブネス self destructiveness ) に変形する。そして、周囲の自分と同調しない者たちへの攻撃性となって現れる。この攻撃性は、自損行為、自傷行為の性質を持っている。

 それが、集団となって大きなマス・ヒステリア(集団発狂状態)に膨張すると、それが人類の集団、国家、民族の 一致団結した暴大走となって、それが戦争へとつながる。戦争(warfare ウオーフェア) の本質は、この集団としての共同幻想としての、過剰な自己防衛本能だ。 私は、このことを、ずっと証明してきた。このワクチン問題については、また書く。

私が関係した、2冊目の本は、今、今日のぼやきの広報ページで宣伝しています、古村治彦君が、精魂込めて、翻訳した、 今日のぼやき 「1965」番 
「 ジョシュ・ホウリー著『ビッグテック5社を解体せよ』(古村治彦訳、徳間書店)が発売 2021年11月15日 」
https://www.snsi.jp/tops/kouhou
です。 

ビッグテック5社を解体せよ
この 『ビッグテック5社を解体せよ』(ジョシュ・ホウリー著、古村治彦訳、徳間書店) のジョシュ・ホウリーは、今の現職のアメリカの上院議員(わずか41歳。ミズーリ州選出)で、トランプ大統領にずっと忠誠を誓っている、共和党のバリバリの秀才の、法律家だ。
この本は、NYT(ニューヨークタイムズ紙)の書評部門で、ベストセラー1位になった本だ。この本は、いわゆる、GAFA (ガーファ)の “メガ通信屋” である、アマゾン、アップル、グーグル、フェイスブック(変名して、メタ・プラットフォーム)、Twitter ツウイッター の5社。を、解体する、という大きな動きだ。これにはマイクロソフト(MS)も含まれる。さらにはネットフリックスも含まれているようだ。  

これら、ビッグテック5社を解体する。そしてアメリカ政府の財政の中に吸収して、アメリカ連邦政府が抱える巨大負債(累積の財政赤字。表面に出ているだけで、28兆ドル。3000兆円。本当は、この6倍ある)を減らすための穴埋めにしようという、動きだ。

日本語でわかり易く言えば、「かつての電電公社(NTTになった) 」とか、「国鉄解体(こくてつかいたい。JR各社へ)の動きと同じだ。ただし、今度のアメリカの「5大ビッグテック解体」は、丸々と肥え太った民間大企業の5つを、社会の敵として、公的に没収するかのように、解体して再編する( Break Up、ブレイク・アップせよ! の動き)だ。

これら、BigTech (ビッグテック)5社の創業者たちを、経営から追い出して、アンチ(反)トラスト法 (日本では、独占禁止法)違反で解体して、公共財産(パブリック・プロパティ)にしてしまおう、という アメリカ国家の重力を掛けた大きな動きだ。

 ビッグテック5社 は、ディープステイト(陰に隠れた大富豪たち)の一角で、今年の1月の“アメリカの政治動乱” で、散々トランプ大統領の再選を阻止する動きに関わった。トランプ支持派の、アメリカの多数派の国民の ネット上の発言の、 アカウントをすべて削除(デリート)した。アメリカ憲法が定める、言論の自由違反だ。グーグルのユーチューブも、日本でも、トランプ支持派と、反ワクチン派の、アカウントをすべて削除、閉鎖させた。許されざる暴挙だ。

アメリカのビッグテックは、この本の英文の原書の書名どり、
“ The Tyranny of Big Tech “ 「ザ・タイラニ―・オブ・ビッグテック」、 「ビッグテックの 専制政治、独裁者たち」として、アメリカ国民からも、怨嗟(えんさ)と怒りの標的になっている。ディープステイトの中枢部が、自分たちの一部である、ビッグテックを、もう野放しにすることを止めた。

それで、この30年間の間に、超(ちょう)成金(なりきん)になったビッグテックの創業者たちに、その個人の所有株式で、10兆円(1千億ドル)ぐらいずつを与えて、経営から追放して、そのあと、ある種の公営企業のようにして、政府部門に吸収しようとしている。 今日のぼやきに載せた解説文を読んで下さい。それから、この本を読んでください。

 この30年間、アメリカの支配層(ディープステイト)は、わざとビッグテックたちに、計画的にインターネット(1995年から)で世界の通信を荒らしまわり、占領させた。税金も払わせないで上手に、アメリカ国内と、世界中を逃げ回らせて、アメリカの世界支配の新しい目標、すなわち「通信技術で世界支配を続ける」を達成してきた。そして、今頃になって、ようやく「もう、これ以上は目障りだ」で、ビッグテックをお取り潰しにすることを決めた。

 私たちの日本の通信とメディアも、テレビ、新聞、出版業を始め、本当にビッグテックの為にボロボロにされた。私が生きている出版業界も、彼らの、戦略的なスマホ文化のために悲惨で哀れな状況になってしまった。

 3冊目は、もうすぐ発売される、私の恒例の中国研究本である。
そのタイトルは、「ディープ・ステイトとの血みどろの戦いを勝ち抜く中国 」(2021/12/3発売、ビジネス社)である。


ディープ・ステイトとの血みどろの戦いを勝ち抜く中国

この本は、今の世界で、最先端の政治情報と、世界の見方(アウトルック)の全体像を示している。私は、この本の突貫工事での仕上げを、11月7,8、9,10日の4日間でやって、本当に自分の脳が擦り切れたように感じた。 
この本の表紙を見てくれたら分かる通り、最新の最新の中国研究の本である。

習近平(しゅうきんぺい)体制が、この10月、11月に、何をやって、10月23日に、集中して、「7つの巨大勢力」を、叩き潰したことを、私、副島隆彦の洞察力で、大きく見破った。
そのひとつが、“中国版ビッグテック” であり、その頂点である、巨大化したアリババと、テンセントたちを、実質的に、中国政府が乗っ取って、それで、「デジタル人民元」による、新しい世界通貨体制(ニュー・ワールド・カレンシー・オーダー)の建設に向かって突き進む動きである。 アメリカのドル覇権(はけん)による世界支配は、もうすぐ終わる。
 IMF世銀(せぎん)体制=金ドル体制=ブレトンウッズ体制 は、あと数年で、終わるだろう。なぜ、アメリカとヨーロッパのディープステイトが、ビッグテックを、急激に、実質的に国家が召し上げる動きになったか。その理由は、中国が、ここでも先行したからだ。

 中国政府は、この「デジタル人民元」のために、もうひとつ荒技をやった。9月24日に、中国政府は、ビットコイン他の、仮想通貨(正式には、暗号資産 cript currenncy クリプト・カレンシー)を、すべて、最終的に、一気に禁圧した。そしてビットコインの鉱山堀り
(miner マイナー。仮想通貨の製造屋)たちを、一斉に国外追放にした。多くは、アメリカのテキサス州に逃れた。ビットコインの生産(貨幣製造)の世界の7割は、中国でずっと行われてきた。それを中国政府は粉砕した。このことも、私の今度の中国本で詳しく書いた。

 この最新の中国本の宣伝は、12月3日の発売 間近(まじか)に、今日のぼやきで始める。

4冊目は、私の弟子が書いて、1月に出す金融本 の仕上げを、彼と一緒に、3日間掛けて、やった。この本のことも12月に宣伝します。
私は、自分の脳(思考力 mind マインド。知能 intellect インテレクト )の限界まで考えて本づくりをしている。そのために体と頭に打撃が来る。それを跳ね返しながらなんとか、生きている。体も少しは鍛(きた)えなければいけない。

私は、今、思想家として、目の前に迫っている人類の危機のことを、必死で考えなければいけない。だが、その一方で、ただの独居老人としての、自分のつつましい一般国民としての生活が有る。自分の頭の中だけで、大きな幻想、妄想を引き起こしてはいけない、と自分を戒めながら、ポツンと生きる、ただのひとりの老人の人生に常に引き戻す。 

  今日は、最後に、昨日(11月16日)の 朝日新聞の記事を一本だけ貼る。
日本は、隣国の朝鮮王国(李朝、りちょう )の 王妃(おうひ)すなわち皇后である 閔妃(ミンビ。ミンキとも)を「126年前の1895(明治28)年10月8日」に、ソウルの王宮である 景福宮(けいふくきゅう、韓国の皇居)に乱入して殺したのである。そしてその死体を辱めたうえで、裏庭で証拠隠滅のために焼いた。この事実は、当時、フランスの新聞などでも報道された。なんという残虐なことをしたことだろう。 日本人は、そして、とりわけ、日本の右翼たちは、しっかりと、この事実を正面から考えなければいけない。

  日本と朝鮮の歴史の中心にこの問題があるのだ。ここを通らないで、日本人が、朝鮮、韓国と隣国として付き合ってゆく道はない。 日本外務省も、もはや逃げ回らないで、隠しおおせない事実だと自覚して、国家としての日本がやったことを、正面から考えないといけない。なぜ、あれほどに、朝鮮民族が日本からの独立のために、激しい抗議行動と救国の戦いをはじめたか。その一番、大きな理由と原因は、閔妃(ミンビ)暗殺にある。

 「いつまでも拉致問題ばっかりやって、北朝鮮と対決する」という、偽善極まりない今の路線を、日本政府は変更しないといけない。日本国民も、いやがらないで、「誰も、これまで、こんなこと教えてくれなかった」などと言っていないで、この問題を正面から受けとめなければいけない。  副島隆彦記 

(転載貼り付け始め)

●「外交官「王妃殺した」と手紙に 126年前の閔妃(ミンビ)暗殺事件で新資料」
2021年11月16日   朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASPCH54VBPC6PTIL008.html

  126年前の1895(明治28)年10月8日、日本の軍人らが朝鮮王妃を殺害した「閔妃(ミンビ)暗殺事件」で、実行グループの一員だった外交官が、事件翌日に郷里の親友に宛てたとみられる書簡が見つかった。「自分たちが王妃を殺した」と経緯が詳しく記されており、研究者は「事件の詳細を解き明かす貴重な資料」としている。

 書簡の差出人は、現地の領事官補だった堀口九万一(くまいち)(1865~1945)。郷里、新潟県中通村(現・長岡市)の親友で漢学者の武石貞松に宛てた、1894年11月17日付から事件直後の95年10月18日付の計8通が見つかった。

 名古屋市に住む切手や印紙の研究家、日系米国人スティーブ長谷川さん(77)が古物市場で入手し、「朝鮮王妃殺害と日本人」の著書がある歴史家、金文子(キムムンジャ)さんが毛筆の崩し字を判読した。手紙がもともと保管されていたとされる場所や記されていた内容、消印、封書の作りなどから、本人の真筆とみられる。

 8通のうち6番目の書簡は、事件翌日の同年10月9日付で、現場で自分がとった行動を詳細に記していた。王宮に押し入った者のうち「進入は予の担任たり。塀を越え(中略)、漸(ようや)く奥御殿に達し、王妃を弑(しい)し申候(もうしそうろう)」(原文はひらがなとカタカナ交じりの旧字体。以下同)と、王宮の奥まで押し入り、閔妃を殺したことを打ち明けた。「存外容易にして、却(かえっ)てあっけに取られ申候」と、感想まで添えていた。
 事件は日清戦争の講和から約… (以下、有料記事)

ここから続き
 事件は日清戦争の講和から約半年後のこと。宮中の実力者だった閔妃(みんび)は、講和直後に起きた三国干渉を機に、ロシアを頼って日本を排除しようとしていた。朝鮮公使に前月着任した長州藩出身の元軍人、三浦梧楼(みうらごろう)が主導し、実行グループは日本の外交官や警察官、民間人らだった。

 金さんは「事件の細部や家族についての記述などからも、本人の真筆とみて間違いない。現役の外交官が任地の王妃の殺害に直接関与したと告げる文面に、改めて生々しい驚きを覚えた。いまだに不明な点が多い事件の細部を解き明かす鍵となる、価値の高い資料」と話す。

手紙の記述、後年の釈明と矛盾
 堀口のものとみられる書簡のうち、事件の直前と直後に記された文面からは、関係者らの後年の記述とは異なる事件の経過もうかがえる。
 事件は、ロシアに頼って日本を排除しようとした宮中の実力者・閔妃を殺害するため、国王の父・大院君(だいいんくん)を担いだ「親日派」のクーデターを偽装し、警護の名目で襲撃部隊が宮中へ押し入る計画だったとされる。堀口はソウル郊外の別邸に住む大院君を王宮まで連れ出すため、襲撃前に大院君を説得する役も受け持っていたといわれている。

 見つかった8通のうち、5番目は事件前日の10月7日付。堀口は「過日より大院君と往復し詩文書函(しょかん)の応対度々有之(たびたびこれあり)」(原文はひらがなとカタカナ混じりの旧字体。以下同)と、大院君から贈られた漢詩を披露。だが、詩の内容は「何の事やら不分明」と打ち明けている。大院君を「朝鮮大一(だいいち)の(第一の)老英雄、話せる人なり」「滑稽(こっけい)洒脱(しゃだつ)何とも申様(もうしよう)なき狸爺(たぬきじじい)なり」と論評し、「近きに一大乱騒あらん」とほのめかした。

 「この漢詩のくだりは重要だ」と歴史家の金文子さんは指摘する。
 堀口は約40年後の1930年代、事件を回顧した複数の随筆の中で、大院君が事前に決起の野心を打ち明けたとする漢詩3首を公表していた。「しかし、今回見つかった書簡の漢詩とは全く違う。堀口はじめ関係者らは事件後、大院君が首謀者だったと主張したが、その言説が虚構だと証明する有力な手がかりだ」

 6番目の手紙では、自分たちが「閔妃を殺した」と親友に打ち明ける一方、堀口はその2日後の10月11日には上司に促され、当時の外務次官・原敬(はらたかし。後の首相)に私信で事件を報告した。この私信では、堀口は事件を実際に目撃したと述べ、大院君の連れ出しに加わったことも認める一方、暗殺の場面は「王妃逝く」と、第三者のような表現をしていた。

 これまでの研究で、堀口が事件の実行グループに加わっていたことは知られる一方、王妃を実際に斬殺した人物は特定できていない。計画を事前に知らされず、事件の処理をした現地の内田定槌(さだつち)・一等領事は、事件当日に原へ送った手紙で、王妃を斬ったのは「某陸軍少尉」とした。他にも複数の名が挙がっている。

 一行は、計画を実行後、暗いうちに引き上げる予定だったとされる。だが、大院君が連れ出しになかなか応じなかったことと、二手に分かれた実行グループが行き違いになったことから、襲撃は夜明け後となり、凶行後に立ち去る一団は大勢に目撃され、日本人の関与を隠せなくなった。だが、今回見つかった書簡には、そうした不手際への言及はない。

 金さんは「事件に関与した日本人の手記は多数あるが、虚実を取り混ぜた粉飾の多いのが実態。今回見つかった書簡は信頼する故郷の友人へ宛てた私信だけに、さらなる検証は必要だが、信頼度は高いとみられる」と語る。(編集委員・永井靖二)

事件の詳細解明へ「重要な鍵」
 朝鮮半島との関係史に詳しい中塚明・奈良女子大学名誉教授(日本近代史)の話 昭和期との対比でとかく肯定的に語られがちな明治時代の日本軍だが、日清戦争も日露戦争も、朝鮮を侵略する過程で起きた。だが、現代の日本人にそんな認識は希薄だ。

 清やロシアへの勝利をうたった公刊戦史の陰で、日本が朝鮮半島で何をしたのか。閔妃暗殺事件も含め、その詳細を明らかにする研究はまだ緒に就いたばかりだ。事件から120年余を経て、当事者の手による一次資料が出てきた意味は大きい。彼らが現地の人々をどう見てどう振る舞ったのか伝える、重要な鍵になるだろう。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。この問題については、私は、もうここでは説明しない。私が、自分の後援会用に作った、画像を一枚、以下に貼るだけにする。

閔妃(ミンビ)殺害事件

副島隆彦拝