[3247]人間が余剰の時代

末席の新参者 投稿日:2021/09/11 03:34

「新装版 思考の技術 エコロジー的発想のすすめ」(立花隆)
https://chuokoron.jp/science/115293.html

>動物集団には、生存に最も適した密度があって、個体数がそれ以上になる
>のも、それ以下になるのもよくない。とりわけ、過密と過疎は致命的である。

>いままでとも食いをしたことがなかった動物が、密度がある程度以上に
>高くなるととも食いをはじめるという現象もしばしば観察されている。
>ときには集団発狂でもしたかのごとく、水に飛び込んだりして集団自殺を
>とげる動物もいる。 

>動物は適正密度を保つために、さまざまの手段を講じている。
>過密になったときに、集団自殺やとも食いをしたり、成長速度、生殖能力を
>遅らせるというのもその一つの手段だが、手っとり早いのは、引っ越しである。

先生の著書「余剰の時代」で指摘されているように、現代は余剰の時代です。しかも余剰なのは人間に他ならないから厄介な問題です。

上記引用部分の、立花隆氏の著書にもあるように動物の世界でも群れが増えすぎると、群れに属する個体数を調整する現象が発生するようです。有名なのはレミング(タビネズミ)の集団自殺です。タビネズミは何年かおきに大発生することで知られています。そして、群れの数が増えすぎると一部の集団が川や海に突入して集団自殺をするというのです。

一方で、タビネズミの集団自殺は迷信とする説もあります。増えすぎた群れの中では、食べ物を平等に分け与えることが困難になる。それ以外にも、生殖競争で負けて子孫を残せない集団が群れを離れて別の場所で引っ越しをする途中で海や川にはまって死んでいるのが実態と主張する人もいます。

真実はネズミのみぞ知るところですが、群れが増えすぎると何かと問題が起こることは想像に難くないと思います。他にもウサギの集団死など自然界には個体数の調整のために死を選択したことを示唆するような現象が散見されます。

動物の場合は、大きい動物に食べられてしまう食物連鎖による個体数調整もあります。しかし、人間の場合は別です。
人間を捕まえて食べる捕食者は存在しない上に、科学や医学の進歩もあり自然法則に逆らって生きることができます。それゆえに、人間の個体数は増え続けてしまい、現在の人口爆発につながっていると言えます。

戦後はニクソンショックにより石油ドル体制に移行しました。金本位制なら紙幣発行量に歯止めをかけられました。無尽蔵とは言えなくてもある程度豊富にある石油を通貨価値の担保にしたことで紙幣発行に歯止めがかからなくなったのも一因と思えます。近年でも行き場を失った投機マネーが新興国に流入して、「新興国投資」としてもてはやされたことは記憶に新しいところです。
増殖したマネーが世界を駆け巡ったところで、極貧だった国もある程度の文化水準になってますます人工爆発につながっているのかもしれません。

宇宙船地球号はもう満員で降りてもらわないといけない状態かもしれません。動物のように個体数の調整機能が人間においては働きません。そこで、この問題を解決するために、支配層は優生学思想に基づいた人工削減に行きついたとしても不思議ではありません。しかし、ほとんどの大衆は削減される側になるので、到底容認できません。

本来ならば、中国の一人っ子政策のように人工抑制について国際的な条約でも締結するべきなのでしょう。しかし。話し合いで平和的に人工抑制できるはずもなく、支配層が増えすぎた人間の個体数を調整すると・・・。

世界がどうならか未来は分かりません。
しかし、人類が90億や100億の時代を迎えるならば、食料やエネルギーの奪い合いは避けて通れません。培養肉やら遺伝子編集食物などかびすましい世の中になっています。

食料もまともに自給できない日本は未来の資源争奪戦からキレイ事抜きで目をそむけずに対峙する覚悟が必要かと思いました。