[3165]私の6年前の本「余剰(よじょう)の時代」を読んで感想をくれた優れた読者からのメールを載せます。

副島隆彦 投稿日:2021/06/20 04:18

副島隆彦です。 今日は、2021年6月20日(日)です。
 私の6年前の本「余剰(よじょう)の時代」を読んで感想をくれた読者からのメールを載せます。

(転載貼り付け始め)

◯◯◯さまへ
◯◯◯編集長へも
副島隆彦から
  メールをありがとうございます。
 一読して、貴方の真面目さが、よく分りました。私が書いた「余剰の時代」(ベスト新書、○○年刊)を丁寧に読んでくださって、ありがとうございます。 
 君は、生来、頭がいい。もし副島隆彦の学問道場に入ってくるなら、すぐに有段者に認定します。私の弟子になる必要は無いです。

 きっと、私と一緒にこの本を作ってくれた編集長も喜ぶでしょう。
私は、もっと君に教えたい、語りたいことがあります。以下の、君からのメールに、あちこちに、今、私が手を入れました。これで、何とか分ってください。
 私は、10年前の、大地震・津波、そして原発事故の時、君の住む郡山から、数十回、福島第1原発のそばまで通いました。もう10年になります。

 また、メールを下さい。私は、君のような若者に、自分が日本国で切り開いて来た、知識、思想、学問を、自分が生きている限り、伝えて行きます。メールをどうもありがとう。

 私は、以下の君からの文を、学問道場の重たい掲示板 貼り付けます。君の名前などは、周到に隠して載せますので安心してください。  副島隆彦拝  

—–Original Message—–
From: ******************
Sent: Saturday, June 19, 2021 7:17 PM
To: GZE03120@nifty.ne.jp
Subject: ベスト新書「余剰の時代」を読みました。

拝啓 副島隆彦先生こんにちは。
 私は高校3年次以降、此(こ)の方、精神科に通院していて、結局バイトも、なんやかんやで長続きせず、正社員として働いたこともなく、結果的に独学での読書は継続して出来ています。それこそ副島先生の「余剰の時代」
 (ここで副島隆彦割り込み、加筆。この本は、最後に 過剰生産、過剰在庫、余剰=サープラス、surplus = で余ってしまっているのは、人間、あなたたちだ。という本です)

 でも紹介されていた、アイン・ランド女史の リバータリアニスムが、案外福沢諭吉の「独立自尊(どくりつじそん)」にも通じているのかなということを一瞬、考えました。

 アリストテレス著の『政治論』(ポリティーカ)では、民主主義(デーモス・クラティア)と、寡頭(かとう)賢者(副島隆彦注記。 優れた独裁者である哲人政治家=てつじんせいじか=)による統治(オリガーキーと言う)の混合形態のレジーム が、一番うまくバランスが取れていて、統治者(とうちしゃ)と人民の両方がウインウインで幸せだと書いている、と、先生は説明しています。
 このことを、中途半端にしか(これまで、日本では)理解されて来なかった。

 そして、エドマンド・バークとジョン・ロックの保守思想の大きな違い(すなわち自然法=ナチュラル・ラー=と、自然権=ナチュラル・ライツ=の違い )を、解りやすく伝えてくださり、ありがたく読ませて頂きました。

(副島隆彦注記。この「自然法」と「自然権」の思想の違いが分る人から上が、
副島隆彦の学問道場の 有段者です。いつまで経(た)っても分らない人を、
私、副島隆彦は、じーっと見ています)

(副島隆彦注記。彼の死の10年後に起きた、フランス革命を指導した原理の思想を作った)ジャン・ジャック・ ルソーが、(下層階級の人々の怨念と)僻(ひが)み根性から書いた社会契約論(ソウシアル・コントラクト)が、悪い政治論だったとは! 
 
 そして人権なんて、ほんのつい最近まで考えられず(副島隆彦、加筆注記。日本では、今からほんの75年前の、WW2での敗戦の後の日本国憲法で、やっと明記され保障された。それまで、デモクラシーも諸人権(ヒューマン・ライツ)も、日本には無かった。大正デモクラシーの吉野作造の民本主義=みんぽんしゅぎ=が、やっとのことだった。これは明治憲法体制である天皇制に遠慮したコトバ )
 そして平等(エガリタリアニズム)が、ある意味で悪であるのもよく理解できましたよ。

 ルソーが素晴らしい思想と思ったら大間違いなんて(副島隆彦は書いているが)、一瞬なんだよと思ったけど、ヴォルテールが、徹底的な懐疑主義に基づき、「(お前)ルソーのアイデアは危険であるし、フランス革命の恐怖政治やファシズム、ナチズムといった全体主義(トータリタリアニズム totalitarianism )の悲劇を導いてしまったのだぞ」という、ヴォルテールの(予言的な)主張が、この「余剰の時代」でよく分かりました。
 
 リバータリアニスム libertarianism と言えば、リバータリアン思想家のロバート・ノージック(副島隆彦割り込み注記。この人はリーバータリアンのアメリカ知識人の中でもたいした人ではない)を、マイケル・サンデルが、(副島隆彦注記。サンデルは、ハーヴァード大学の1年生のガキたち相手の初級授業を受け持っている。その程度の教授だ。「これからの「正義」の話をしよう」が、10年前に日本で馬鹿売れしたが、誰も、何にも分らなかった。どうして日本人インテリというのは、こんなにも、欧米の政治思想の全体見取り図が出来ないのだろう。このサンデルが、ノージックを論的として、本の中の数十カ所で、徹底的に名指しで)敵視していましたね。

 けれども、当のサンデルの「コミュニタリアニズム」(共同体優先主義)は、実は、あしきヤマギシズムみたいだ(副島隆彦割り込み加筆。その通り。このサンデルの思想は、今のイスラエルの建国時代の集団農場運動であるキブツkibbutz の 思想です )。 

 こういうのがいい生き方なんだ、とサンデルが、言っていて、そのように(日本の読書人たち)みんなにも思われていた( 副島隆彦割り込み。さあ、どうかなあ、日本のインテリたち程度では、東大の政治学の教授どもでも、分っていないですよ、今も何も )。(私は、ようやく)如何にサンデルは読むに値しないかが分かりました。

 トマ(ス)・ピケティの経済改革提言も、あんまりいい未来を導いてはくれないみたいですね?(副島隆彦、同感)

 ロバート・ノージックは、政治哲学的にはリバータリアンだと、マイク・サンデルの ライバルとして、私は、哲学者の関係図で確認はしていました。しかしノージックの哲学主著『考えることを考える』での、論理学と認識論と言語哲学が、シームレスに跨(また)がっているのかなあ、と私はずっと思いながら生きてきました。いつかこの本の翻訳を通読してコピーまで取りたいと思います。

 私はかねてから、この生きている世界はろくでもないし、誰もが結果的に幸せにはなれない、と絶望的に考えています。
私は発達障害(はったつしょうがい)持ちですが、それでも、今まで哲学することを是(ぜ)として生きてきたこともあり、個人的に愚かなりに、賢(さか)しらを発揮して、評論文を書けるようになりたいと思いますよ。
 
 副島先生のことは佐藤優(さとうまさる)がちゃんとした論客だ、と物の本で評価していた。だから本当かなと思いながらも、この新書「余剰の時代」を通して、確かに誠実な書き手だと認識しました。敬服いたします。

 なんと言っても(今から30年前の)別冊宝島の「道具としての英語 基礎の基礎」を、私はいまだに所有してます。丹念に読んで英語力を高めていけたらと考えるのですが、なまくらで無精でなかなか読み直していませんですみません。

私は(ロック・バンドの)SEKAI NO OWARI は、人を馬鹿にした縁起の悪いバンドだと考えています。
 何よりもフロントマン深瀬慧(ふかせけい、すう?)は、過去に閉鎖病棟にぶちこまれて可哀想でしたが、キモいです。なによりピエロ・マスクを被って外しもしないメンバーたちの存在を、私は忌々しく思う。
 この音楽性を支持してるやつらキモいです。大嫌いですね。 概してアイドルにしろミュージシャンにしろ、こうした芸能人のコンサートなんか宗教だ。嫌いなやつのコンサートなんか行かないでしょ? 呑み込まれてたまるか。バカにすんな、フザケンナ、糞(クソ)が、と私は思いますもんね。 芸能人のために自分の大事なことをフイにしたくないです。自民党は糞ですね。

 私は、(スイスのジュネーヴで宗教改革を始めた)ジャン・カルヴァンを依代(よりしろ)にした改革長老(ちょうろう)教会で洗礼を受けました。こういう私ですが、副島さんからすればカルヴァンも、案外、禄(ろく)でもないキリスト教神学者(セオロジスト)だったんだなあと驚きをもって迎えました。

(カルヴァンよりも20年早いドイツの)マルチン・ルターでさえ、自分の反対派への虐殺を主張したことがあったとか、キリスト教もけっこう残虐無道だから、そんな中で(副島隆彦の割り込み注記。人類の諸悪の根源であるローマ・カトリック教会の)ローマ法王が、世界平和のために(ミサを献げるとかの行為は)正しくないと(副島隆彦は言う)。

 それでは、私は、一体、何を信じたら良いのか分からなくなっている。この感じでなんだかモヤモヤしてますよ。
 実際問題、わたくしは、クレカと、禄(ろく)でもない騙(だま)くらかしメールのために、借金という負債が2百万円近くまで膨らんで気分的に嫌な思いをしましたからね。
 
 人から自己責任とか押し付けられるのは嫌だけど、自分で考えて責任をもって行動すること、自分のケツはてめえで拭くことだ、もまた大事な考え方だと、私も思いました。この「余剰の時代」の中で紹介されていた副島先生の別の著作も、いつか近いうちに読もうと思います。

 副島先生には、学校が教えない都合の悪い大事な考え方を教えて頂きたいと思っています。 リバータリアンは、ある意味で現実を見据えて奇麗事に逃げない強い人間なんだろうなと思います。だがリバータリアニスムの欠点は分かりますか? 気になります。 

(副島隆彦からの答え。リバータリアンの本当の始まりの姿は、ヨーロッパから順番に流れ着いてきた、アメリカの開拓農民の中でも、さらにド貧乏で、だから辺境に住んで、インディアン=先住民=たちの土地を奪って生きてゆくしかないので、自分と家族を、自分の銃で守るしかない、という人たちだ。

 同時に、このアメリカの貧乏な開拓農民=パイオニアだ=たちを相手にケチ臭い商売をしている、ユダヤ人の商店主夫婦も、またリバータリアンなのです。

 日本で昔、80年代にNHKでやっていた、ローラ・インガルス著の「大草原の小さな家」のテレビドラマが、真実を描いている。 本物のリバータリアンは、あのインガルス家の、お父さんのように、日雇い労働者であって、あっちこっち、家作りとか、農作業とか、頼まれ仕事をやって生きている。農場主(ファーマー)にさえなれない。自分が、気に入らないと、威張っている雇い主に向かって、ファック・ユー!と、指を突き立てて、さっさとやめる。

 そういう誇り高い貧乏人が、リバータリアニズムの始まりで有り体現者です。こういう、分かり易(やす)くて、大きな真実を、東大出の、アメリカ研究や、政治学者の、ぼっちゃんたちには、どうしても、理解できないんだ。

 だから、私、副島隆彦が、この新式の現代のアメリカ思想の紹介者、導入者=プロパカンディスト=として、ずっともう30年間も苦労している。
 このリバータリアニズムの、始まりからのけち臭さを、どうか、○○君、分ってください。 

 日本の、すばらしいNHKドラマの、橋田壽賀子原作の「おしん」の あの、貧乏小作人の、どん百姓の、貧乏娘が、いろいろの苦労をして、それを物ともせずに、這い上がって、やがてスーパーのチェーン店の経営者になってゆく姿に、アジア諸国も、中東のアラブ、イスラム諸国の民衆も、みんな、涙を流しながら「おしん」を見たのだ。

 おしんが、密かに愛していた、あの金持ち家庭出身の帝大生の共産主義者のコウタロウ?さんという人がいて(すでに転向していた)彼が、時々、出てくると、ここで、アジア民衆と、中東民衆と、南米民衆までが泣く。一番泣いたのは、イランと、エジプトと、トルコの国民だったようだ。私も泣いた。今から、これから「おしん」を、それぞれの国営放送局のテレビで見るだろうアフリカ民衆も泣くだろう。

 まだ世界中の後進地帯では、今も猶(なお)、農地解放=自作農創出法(じさくのうそうしゅつほう。日本はマッカーサーの占領政府がやってくれた)=が出来ていなくて、大地主制の国々だからだ。なのに自由主義世界(西側同盟)である振りだけはしている。日本製の「おしん」の真のスゴさは、世界基準(ワールド・ヴァリューズ)で、この地球全体の、巨大な真実を暴き立てたことです。

(副島隆彦です。ここから、私が更に加筆します。2021年6月20日。 この大地主制度による、巨大地主たちが、どこの国でも、今も、陰に隠れた真の、世界支配者、世界権力者たちだ。彼らは、政治の表面には絶対に出てこない。 だから、彼らをランドロード( landlord 大土地の経営者貴族 )という。 

 彼らランドロード ( Land Lord 巨大土地貴族 )は、インドや、ブラジルなどの農地や山林の巨大地主たちだけではない。大都市も裏から支配している。例えば、フランスのパリのシャンゼリゼ大通りの超高級アパルトマンの大家たちとか、ドイツのフランクフルト大都市のほとんどの重要な高層ビルを所有している、大土地(旧)貴族たちだ。

 この人類の土地私有の不公平の問題は、今ではほとんど語られることがない。20世紀から後、とりわけロシアのボリシェビキ革命(レーニンたち)への憎悪と恐怖心に駆られた、反(はん)社会主義、反共(はんきょう)ヒステリーの大洪水で、上手にかき消された。

 だから、今現在でも、世界の農業地所有の不公平、圧倒的に貧しい農民たちの、存在、というのは、人類の土地問題は解決していない、ということだ。この問題は、地球規模での、スキャンダルなのだ。単にアフリカで干魃(かんばつ)や民族間の紛争で、難民となって飢えている民衆、とかいうことではない。大土地所有制こそは、人類の巨大な問題なのだ。この問題には、どうも光を投げかけてはいけない、ことになっている。

 アメリカのヘンリー・ジョージという、優れた真剣な土地改革の唱道者の政治家が出現した。それと、やっぱりエマーソンが、この土地占有問題の解決を、強く主張したことが重要だ。

 ランドロードたちが、現代世界の、まさしく ディープステイト( the Deep State
陰=かげ=に隠れた支配者たち)だ。 だから、こいつら巨大土地貴族と闘うために、ロシアでトルストイが現われ、インドでガンディが現われた。 2人とも、アメリカの思想家のラルフ・ワルドー・エマーソンの本を読んだ。 そして穏やかな社会の改革を唱えた。副島隆彦加筆終わり) 

 ○○君、こういう事との、類推=アソシエイション=で、どうか、アメリカのリバータリアン思想 を、身近に理解してください。そろそろ、何とかしてくれよー、分ってくれよー、という 私、副島隆彦 の血の叫びを聞いてください。)

 返事を待っています。いずれまた先生の著作をよませていただきます。
引き続きよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。 敬具   2021年6月19日 ◯◯◯◯

(転載貼り付け終わり)


余剰の時代 (ベスト新書)

副島隆彦拝