[3076]家で死ぬのが一番

イチヤナギ洋 投稿日:2021/04/14 09:13

会員の一柳です。
 今日のぼやきで副島さんが『在宅ひとり死のススメ』について書かれています。
 私も年寄りの人生の終わり方は副島さんと基本的に同じ考えで、歩けなくなって、更に口から物が喰えなくなったら、延命する事なく枯れる様に死んだ方が良いと思います。
 この40年、実に長生きになりましたが、それは高度経済成長で、栄養が取れて、衛生環境が良くなって寿命が延びたのです。翻って60年前までの生活環境が如何に劣悪であったかと言うことです。
 1961年に出来た国民皆保険制度により寿命が延びた。というのは評価不十分です。暮らしが良くなったので長生が出来るようになったのですが、ここまで長生きが多くなると長寿は、一概にことぶくばかりではない訳です。
 そして自分の人生をよく考えない人ほど、死を怖がり、生きたがります。こう言う年寄りは1日テレビ漬けで、コロナ怖いになってます。セカンドオピニオンの思考がない。
 本テーマから言えば、病院で死ぬより家で死んだ方が断然人間らしく死ねます。更に認知症でない限り、死ぬまで自由にやりたい人は在宅死が良いです。 
実は私は20年前に、腎臓がんと食道がんの2回の入院・手術をしました(合計3ヶ月半入院)。食道がんでは術後にいろいろ苦しいめにあい、満足する死はどのように迎えらるかを真剣に考え、退院後、在宅看取りを推奨する医師や看護師(当時こう言う活動する医療者は少なかった)とチームを作り、それから20年間、在宅看取りと辛い死に方の避け方を推奨、普及する活動をしています。
その活動で分かったことは、在宅での死亡を望むなら、それなりの準備をしておけば、思うようにいけます。セミナー時などに、参加者に何処で死にたいかを聞くと、今でも病院で死を望む人がいますが、病院では制約が多く、また人ごとですから味気なく、冷たいので、歩ける人なら在宅死がお薦めです。
 家で死にたい場合、家族に在宅死希望をしっかり伝えていないと、急変時、救急搬送で病院に送られ、心マッサージや延命治療させられて、つらい、痛い目にあってあの世行きとなるか、生かされ家に連れ戻されます(大体1,2年生かされるだけ)。
 また団塊世代が全員、後期高齢者となる4年後の2025年から老人死亡数は増加し、2035~2040年にかけてピークとなり、施設・病院では死ねない人が相当数出る状態になります。これにより在宅死を、かなりの人が強要されます。
 2025年問題はあと4年ですから、何処で死にたいか65過ぎは真剣に考えておくことです。但し2040年以降はピークが過ぎ、死ぬ老人は急速に減っていきます。
 私がこの20年の活動で見聞きした限りでは、在宅死には、がんが一番適しています。がんは死ぬ時まで頭はしっかりしているので、トイレにいける(体力、気力がある)までは自分でやりたいように出来ます。
 がんで、終末期と分かったら、看取りと在宅療養をしている医師を選び、往診して貰います(医師にかかっていれば、検死はありません)。この時には死亡診断書は先生にお願いと依頼し、且つケアマネと相談して要介護認定をしておくと介護サービスが受けられるようになって楽です。
 50過ぎたら掛かりつけ医を見つけておいた方が絶対い良いです。掛かりつけ医師は、名医である必要はなく、気があう医師、死についてや嗜好が一致する医師(酒飲みは飲める医師を選んだ方が絶対に良い)を選んでおくと、気軽なセカンドオピニオンとして様々な相談ができて、看取って貰えます。医師も「先生に死亡診断書をお願い」と言われると信頼されていると感じる(医者冥利に尽きる)と言います。
 もう一つ世帯構成から考えることも重要です。
 65才以上の老人がいる世帯は現在、全世帯の半数ほどで、大体2400万世帯です。うち老人の世帯構成は高齢夫婦のみが32%、独居27%、未婚の子との同居(いわゆるパラサイト家庭)が20%で、これで8割となります。嫁や家族に見て貰える人は1割以下と言うことですね。
 夫婦2人の世帯は、自分はどのように死にたいか、どうお互い看取るかを、しっかり話し合っておくことが大事です(子供がいれば遺産相続についても)。
 ところが私の周りを見てもこれをしていない人が多いですね。これだと往生際は悪いです。独居の場合はまさに副島さんが書いているように、自分なりの1人死をどうやるのか、心がけと準備をしておくことが更に大事です。
 独居でも認知症以外なら、十分に在宅死は可能です。家なら最期まで自分の好きなようにやって、酒でも煙草でも、長生きしたい訳じゃないので、死ぬほどやっても良いわけです。子供がいるなら、十分自分の気持ちを尊重するよう伝えておくことです。
 尊厳死協会に入るのも1つの手です。そして弱ってきたら必ず医者を見つけて在宅で看て貰うことです(その医師に死亡診断書を書いて貰う)。そう言う準備をしてないと、意識不明の時、「死にそうだ」というので救急車呼ばれて、延命治療をされてしまいます。
 尊厳死と延命治療の拒否
 私は25年ほど前に尊厳死協会に入りましたが、このコロナ騒動で尊厳死協会がコロナの治療を高齢者が受けた方が良いかで揺らいでいるのをみて、笑いました。
 80過ぎてコロナと診断されて重症化したら、エクモだの侵襲度の高い治療を望むんでしょうか?今までの肺炎や風邪で死にそうなら、死の受容だったはずです。
 行きたい所にも歩いて行けず、そして更に口から食べることが出来なくなったら、枯れるように死ねば良いのです。この場合、苦痛は殆どありません。
 痛い苦しい場合は十分な緩和医療を主治医にして貰えば良いし、モルヒネだって副作用が出るまでには死ぬんですから心配せず、痛まぬように処方して貰えば良いんです。看取り医師なら苦しませる、痛がらせることはしません。
延命治療のうち胃瘻やチュウブからの栄養補給なんて、福祉施設の利益の為にやっていたんです。厚労省は胃瘻規制をし出しているけど、まだこれをやる進める所と、言われるがママの家族がいます(パラサイトの場合は親の年金欲しさに延命を望む)。
 「口から食べられなくなったら医師の領域ではなく神父の領域」だと。スエーデンはそこが国民合意になっているから、馬鹿なロックダウンなどはせずに、憲法が保障する私権制限をしない方針を優先したようです。
 年取って衰弱し口から食べられなくなったら、お迎えが来たと言うことです。水分補給だけして、穏やかに召されるのが大往生です。
 後は死後のことで、葬式はどのようにするのか、墓は要らないのか?散骨が希望なのかも、ハッキリしといた方が良いでしょう。
最期にですが、在宅死を担保するには、やはりある程度の蓄えが必要です。福祉担当者らとも話しましたが最低600万円ほど必要だろうと言ってました。これだと貧困世帯は自分の思いのままを貫くのは難しいですが、反面全て放り出せば楽になります。
それと在宅死の場合は医療の心配は殆どありませんが(治療はあまりない)、死ぬまで家で暮らすので生活(福祉領域)サポートが重要です。
 福祉サービスを受ける場合(特に入浴サービスなど受ける場合)、車が玄関先まで入る家は問題ありませんが、車の入らない高台や、階段を何十段も上る家は厳しいことを承知した方が良いでしょう。
 更に認知症で老老介護なら施設介護の方が良いでしょう。それでも特養は1,2年待たされるでしょうから、その間、老健施設か民間の有料施設に入れるしかなくなりますので、やはりその為の資金は必要です。
 生老病死は選べませんが、がんは老人病ですので、がんで死ぬことが一番良いです。大往生シリーズを書いた医師の中村仁一さんの本などを読むこともお薦めします。