[2644]日本学術会議の行く末に期待する

相田英男 投稿日:2020/10/06 21:50

相田です。
短く書きます。

日本学術会議という、あまりにもマイナー過ぎる団体の存在が、今になって、俄然、世間の注目を集めている。

私は、学術会議の会員だった訳ではなく、学術会議員に選ばれるような立派な研究者でも、未だかつてない。しかし、今回騒がれている問題の原因については、日本でもトップレベルの知識を自分は持っている。その自負がある。

そもそもは、私が原発の歴史を自己流で研究する際に、1953年の「茅・伏見提案」について詳しく調べたのがきっかけだった。その舞台となった「日本学術会議」とは、一体どのような組織なのか、興味を持った。自分で納得行くまで、資料を集めて調べた。

驚いたのは、学術会議を作る際に、マッカーサー配下の軍人達や、ニューディーラーと呼ばれる左翼知識人達が、積極的に援助していた、という事実だった。これは、副島先生の「属国日本論」そのものの世界ではないか、と、私の目から鱗が落ちた。

現在の学術会議という組織の、わけのわからなさは、発足当時の複雑な情勢に由来するものである。学術会議の成立過程については、広重徹が情熱を込めて書き残している。私は広重の幾つかの著作を手元に置いて、今でも折りを見て読み返している。なので、現在の学術会議員の当人達以上に、問題の状況がよく理解出来る。

新たに就任した首相のしでかした、最初のチョンボになったせいで、学術会議に関する新たな新聞のニュースや、識者のコメントが、毎日ネットに掲載されている。こんな情勢になるとは全くの想定外だった。私は今、出来る限りの記事に目を通している。

私は、広重や武谷三男が今でも生きていたら、どのように熱くコメントしていただろうか、と、思いを馳せずにはいられない。

今回の件については、コメントを書く多くの著者が、どの程度のレベルの見識や、勉強量を持っているかが、私には手にとるようにわかる。なので、大変興味深い。「この人は、よくわかっているな」と、私が思うのは、自民党の船田元(ふなだはじめ)代議士と、朝日新聞の高橋真理子氏くらいだ。この二人は、かつての当事者だったり、よく事情を調べられていたりして、内容に説得力がある。他の論者はみんな、とりあえず何か言っておくか、というノリで書く様子が透けてしまい、中身があまりにも薄過ぎる。

今から、広重の本を読み返して学術会議の勉強しようとしても、茅誠司、ハリー・ケリー、嵯峨根遼吉、小倉金之助、兼重寛九郎、矢内原忠雄、などの古い学者の名前に困惑するだけだ。内容を理解する頃には、ブームは終わっているだろう。

もうすぐ開催される臨時国会で、学術会議案件は、野党による追求案の筆頭に挙げられている。私は成り行きを期待して見守るつもりだ。学術会議がこれからどうなるか、よりも、外からコメントする識者達が、どの程度の見識とやる気を持って、記事を書いているかが、私には丸わかりになる。そっちの方が大変楽しみだ。書かないで済ませて、やり過ごした連中も、しっかり覚えておくつもりだ。

相田英男 拝