[2631]副島先生の代表作『覇権アメ』本 第4章を分かりやすく解読した動画があります

片岡裕晴(かたおか のぶはる) 投稿日:2020/09/13 06:46

副島隆彦先生の代表作『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社α文庫)を私は十数年前(2005年ごろ)に読みました。初版は1995年に筑摩書房より『現代アメリカ政治思想の大研究 世界覇権国を動かす政治家と知識人たち』というタイトルで単行本として刊行されてものです。現在でも大学でアメリカの政治思想を扱う授業でテキストとして使われているということを聞いています。

ところが、初めてこの本を読んでみた読後感は「ほとんど理解できなかった」というのが正直な感想です。その後、折に触れ何回か部分的に拾い読みするようなことをしています。しかし知らない人名や用語が沢山出てくる上に、アメリカの政治思想の基礎にある18世紀のヨーロッパの古典の知識がないので、なかなか難しい本でした。

話は横道にそれますが、バブル崩壊後の1990年代初め、私は(40歳代後半でしたが)あるきっかけで銀座で有名な天ぷら屋の創業者と二度ほどお話をする機会がありました。この方は美術品のコレクターでもあり、高麗・李朝の陶磁器や有名作家の絵画作品を集めていて、群馬県に美術館を持っているような人でした。当時80歳位だったと思いますが、大変元気で高貴な人という印象を持ちました。

この頃は、株価が大暴落して、繁華街にある大きなビルがロックアウトされ、新宿の西口の地下広場や都庁に通じる地下道にホームレスの段ボールハウスが沢山出来た頃です。確か「段ボール村」と呼んでいたと思います。

二度目にお会いした時、この創業者の高級自動車の後部座席に並んで座り、銀座辺りを移動していました。信号で車が止まった時、歩道を歩いているホームレスの姿が目に入りました。この方は「これは自然現象です」「仕方がない事です」といわれました。

私は多少異論があったのですが、余りにも堂々と自信をもって話されたので、自説を述べることなく、ただ頷(うなづ)きました。

それから十数年後、私は『覇権アメ』本を読みました。アメリカの政治思想は大きく分けると4つに分かれていて①②保守と③リベラル(人権派)そし④人定法派(反税金、反福祉のリバータリアン)に分かれる。

ところが保守の内部が思想的に大きく2つに分かれているが、このことを理解している日本人はいないということが最初に解説されています。

第四章 「法」をめぐる思想闘争と政治対立の構造 を読んでいて、「アメリカの法思想・法哲学界は、保守派内部が大きくは①ナチュラル・ローnatural law(自然法)派と、②ナチュラル・ライツnatural rights(自然権)派に分かれている」という下りで、ギリシア古典哲学の 人間社会には、それを成立させて、社会を社会、人間を人間たらしめている自然のきまり・おきてがある・・・・・①ナチュラル・ロー(永遠の保守の思想)派は「現在のわれわれに救えないものは救えないものとして放っておくしかない」「助ける余裕がない以上、助けられないのだ」・・・・・それがナチュラル・ロー=自然のおきてだ。

・・・・・②のナチュラル・ロー派は、「現実の汚い政治」をたいへん嫌って、それらに近づこうとしない。①派は出来る事なら山の中にこもって隠者となって生きたい人々なのである。

この辺りを読んでいる時、十年前に出会ったこの老紳士の言った「これは自然現象です」という言葉を思い出し、同時にこの老人が山の中に立派な美術館を建て、美術品を愛(め)でて暮らしていたのを納得したのです。

話を本題に戻します。YouTubeに『覇権アメ』本の第四章を尾崎全紀(おざき まさのり 49歳)という人が分かりやすく解説した動画があります。この動画(一時間ほど)を観て第四章を読んでみると、とてもよく理解できました。

尾崎全紀のyoutubeチャンネル
  ↓   ↓   ↓
https://www.youtube.com/watch?v=wdLl2LNSZAs

 2020年9月13日投稿