[2629]「本当は恐ろしいアメリカの思想と歴史」を読んで理解した事と副島先生の解題。

6227番 今野 投稿日:2020/09/07 21:29

 6227番の今野と申します。初めまして。

 副島先生の「本当は恐ろしいアメリカの思想と歴史」(秀和システム刊)を読ませて
頂き、私は、頭が解放される様な大きな理解を得て、先生に御礼のメールをお送りしました。
舌足らずの部分、曖昧な部分を先生に加筆頂いた上、掲示板に掲載する様、勧めて頂き
ましたので、掲示板に載せます。
 本当に重要な著作だと思いますので、まだお読みでない方に強くお勧めします。
以下にメールを転載いたします。

—————————————<ここから>—————————————
Subject: 御礼申し上げます。

副島先生
6227番の今野と申します。
 本日は、勝手なお礼を申し上げたく、メールをお送りしております。
これまで読ませて頂いた先生の著作から、欧米の歴史は、大きくはカトリック教会と、それ
に反対する民衆と知識人たちの動きであった事を大きく学ばせて頂きました。
 この度、「本当は恐ろしいアメリカの歴史」で、エドマンド・バークが、アメリカ
思想の展開の中で 保守思想(アレグザンダー・ハミルトンのフェデラリスト、
連邦主義者、中央集権主義者 )の起点となり触媒となったことを知り、今に至る連続
を深く納得しました。

 それよりも、自分の頭が一気に楽になり、本当に感謝申し上げたいのは、トマス・ホッブス
とジョン・ロック、ルソーの思想の違いを、副島先生が大きく解説した事です。

 ロック、ルソーによって、人類は、地から足が離れ、抽出、量産可能な化学薬品の様
になってしまい、先生の御言葉を借りますと、微分・積分される下地となった。
 これを信じ込んで、現実と合わないで苦しんで生きた人々は、これまで、一体世界に
どれほどたくさんいるのか、判りませんが、私もその端の一人であった様に思います。

(副島隆彦による、割り込み加筆。ルソーとロックのリベラル思想から影響を受けて、
 20世紀の民衆救済思想である社会主義(ソシアリズム)までが、現実の地から
足が離れた、大思想となった。人類は、大実験をして、ヒドいことになった。 ロシアと
中国で、さらの各国で、社会主義革命で、数百万人の政治活動家たちが収容所で死に、
民衆が数千万人餓死した。このことの解明をしなければ、済まなない。 副島隆彦は、
数冊の本で、独自にそのことをやった。割り込み加筆終わり)

 ジョン・ロックに対するリバータリアンの態度として、「そんな憲法が保障する人権なる
ものが本当に有るのか。有るなら、現実の経済法則に従って、冷たく現実と合う様に
説明してくれ」と、リバータリアンたちは言ったのだ、と副島先生は、書かれました。

 これはそのまま私が、長年、ずっと思っている事でした。天賦(てんぷ)の人権
(これが、ジョン・ロックが唱えた自然権=ナチュラル・ライツ=の思想 )を絶対
視することは、宗教と同じだ。”PC(ポリティカル・コレクトネス、言葉遣いの政治的
訂正 )”の運動 は、人間に対する信仰の強制、宗教的決まりの義務化の様だ、
と私はずっと感じていました。

 この近代啓蒙思想(エンライトンメント・ソート)の暴走が始まる、その直前の、思想
家が、リアリズムのトマス・ホッブスであり、彼は狂っていなかった。
それに対して、やってはいけなかった勝手な リープ(跳躍、飛躍 )を、やってしまった
のが、ルソーでありロックであった。現実に無いものを有る、と皆に信じ込ませた。この
ことが、現在に至る、それこそトランプに敵対する、アメリカのリベラル派(民主党の中
の過激派、理想主義者)たちの 人種差別反対、人間絶対平等主義だ。現実とは合わない
破壊活動の行動までがずっと連続して起きている。 

 まるでカソリックの異端審問(オーディール)による異端者(ヘレティック)への、火
あぶりの刑の様な事が、大きく続いたことの元凶がこれだ。 だから、啓蒙思想家として
は、トマス・ホッブスだけが、冷静であったので一番偉かった、と副島先生は、書きました。

 これらを教えて頂いた今は、私は、少し憑き物が落ちて、以前より心安らかに暮らす事が
できております。本当にありがとうございます。この様な読者もいるのだ、とお伝えしたく、
メールをお送りする次第です。

 また、西森マリーさん著の 「ディープ・ステイトの真実」も読了しました。私は、
「ショック・ドクトリン」(ナオミ・クライン著) の邦訳が待ちきれずに、原著で読ん
だ口なのですが、一つ一つ事実を積み重ねて大きく事実を提示する、優れたジャーナリスト
としての手腕で、あぶり出されて来る諸事実、特に、アメリカ帝国の属国群にとっての
シリアスな多くの内容を知って、大変に重要な著作だと思いました。

今後とも、先生やお弟子さんの著作と学問道場を通じて、学んで参りたいと思います
ので、何卒よろしくお願いいたします。  6227番 今野

2020年9月7日
6227番 今野さまへ
副島隆彦から
 メールをありがとうございます。
今野さんが、お書きのことは、人間(人類)の歴史の中の、欧米白人が築いた
この近代(モダーン)5百年(西暦1500年代から)が達成したものと、それの限界、とし
て踏まえることが出来ます。 

 今野さんが、私の本を読んで、この大きな真実を理解なさった、ということは、
貴兄はすでに、ヨーロッパの近代(モダーン、現代を含む )の政治思想を最高度で、
理解しましす。  私、副島隆彦が先に到達しましたが、少し遅れて、
到達した、ということです。 私の弟子たちでも、この水準にまで来ている者は、
少ししかいません。私は、自分の弟子たちの、学力の無さに、最近は、がっかりしています。

 それよりは、重たい掲示板に、投稿してくれる中高年の、私と同輩の 学問道場の
会員たちの方が、ずっと頭がいい。当たり前を言えば当たり前ですが。私は、最近は、
このことで考え込んでいます。 
 私のそばに寄って来たから、優れているということはありません。

 みんな、自分の人生を切り開くことで、手一杯です。こんなに生きることがキツくなって
いる 世の中で、自分が生活するだけでも、大変なことになりました。それでも人間(人類)
は、このまま生き続けます。

 今野さんが、到達なさった水準は、学問道場の会員としての最高段階です。
私は、このことを知って、大変、嬉(うれ)しく思います。今野さんと同格の
ヨーロッパ近代思想への高度の理解者が、私たちの学問道場から、数十人、数百人が
育って、そして、日本全国に、ざわざわと数千人の規模にまで広がるならば、まさしく
私、副島隆彦の本望(ほんもう)です。

 残念ながら、女性たちでは、子宮(womb ウーム。だからwoman ウーマン)を抱えて
生まれてきているから、抽象(アブストラクト)の能力が足りなくて、この水準には来れ
ません。こういうことを書くから、私は、女性たちから「先生は、ひと言、余計なんだ
よね」と嫌われます。それでも私は書き続けます。彼女たちを、真に励ますためです。
 将来、100キロ・マラソンになったら、女の選手が勝つでしょう。男は負けてゆきます。

 遅れてくる者たちが、真剣に這い上がってくるときに、人類の真の次の段階が現れます。
私は、今の中国の、すでにこれまでの人類の文明を超えて行こうとする恐ろしいまでの
勢いに、日々、目を瞠(みはって)います。
 私が、12年前に、気づいて、慌てて書いて出した本の書名の「中国 赤い資本主義
は、平和な帝国を目指す」(2008年、ビジネス社刊)の通りになりつつあります。

 文明(シヴィライゼイション)は、政治的な大帝国の存在を前提にします。周辺の属国
群は、それに引き摺られて生きてゆきます。敗戦後からの75年間の日本が、まさしく
アメリカ帝国の庇護(ひご)の下(もと)のプロテクタラット(保護国、protectorate )
でした。このあと、日本の運命が、どうなってゆくか、火を見るよりも明らかです。
日本は、丁度2千年来(紀元1世紀前後 の漢=かん、ハン=帝国以来)の周辺属国の地位に、
静かに戻ってゆくでしょう。 

 今野さん。私のこの文を含めて、どうぞ、貴方(あなた)が、お書きになった文を、
重たい掲示板に、このままお載せください。貴方の文は、私が少し書き変えました。
今後とも、共に研鑽(けんさん)を積みましょう。      副島隆彦拝  

————————-<ここまで>—————————-
 6227 今野 拝